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90日間の冬 総集編 ~GP広島~

2009/12/11 01:40更新

90日間の冬 総集編 ~GP広島~

Written by 小堺透雄

90 日間の冬が終わりを告げようとしています。

長いようであっという間だったエクステンデッドシーズンは先週末に開催された GP 広島でひとまず幕を下ろし、5 月の PT 横浜のマスターズで一瞬蘇ったあと、来シーズンへと続いていきます。

90 日間の冬シリーズの最終章は、PT ベネチアを目指したラストステージ“GP 広島”のお話です。

その世界が意味したもの

GP が始まる直前。どこのサイトを見ても、どの攻略記事を読んでも『一番人気は青緑とサイカ』、そして『マルカ・デスはいないだろう』と書いてありました。その流れと PTQ ベネチア東京 4 次の結果を見て、漠然と「広島ではコンボデッキが再び火を噴くのでは?」という考えを抱いていました。

しかし決定的な理由付けには辿り着けず、青緑とサイカトグをメタの中心と考えて広島に乗り込むことにしました。

実はここまでの内容で充分な回答を得ていたにもかかわらず、それを見落としてしまっていたわけです。

青緑メタでのサイカトグ、サイカトグメタでの赤スライ。そして《破滅的な行為/Pernicious Deed》の不在。このパズルを組み上げれば出てくる回答に、GP 当日まで気付けなかったのでした。

結局、私自身は青緑で参戦して 5-3(Bye 2)の初日落ちでした。実質 3-3 ですね。

2 つの“サイカトグ”には勝利したものの、“エンチャントレス”“ティンカー”に大敗を喫して 2 日目通過ラインから転がり落ちていきました。

その世界が意味したもの。それはメタられ過ぎた“青緑”と“サイカトグ”の壊滅と、《破滅的な行為》不在によるコンボデッキの躍進でした。2 日目に残る為に多くのプレイヤーが選択した“青緑”と“サイカトグ”はその役割を大きく果たすことはなく、2 日目に残ったプレイヤーもベスト 8 へと進むことができなかったのでした。

次項からは、ベスト 8 デッキに焦点を絞ってお話を進めていきます。直接対戦(観戦)した感想なんかも一緒にお届けしましょう。

不変の速度

優勝は“エンチャントレス”。

実際 GP に参加していなかったプレイヤーからすれば「何があったの?」と思いたくなるところですが、今大会にかぎっては“エンチャントレス”を取り巻く環境すべてが追い風となってこの成績となったことは疑いようがありません。

私は 4 回戦で同タイプの“エンチャントレス”と対戦しました。

私も最初はなぜ 3-0 のテーブルにこのデッキがいるのか不思議に思いました。が、3 ターン後には「これはクリーチャーデッキではまず勝てない」と考えを改めることとなりました。

その 3 ターン目にゲームが終わったからです。

Champion's Deck - Eternal Wind / Played by Azuma Motokiyo
 3  アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress
 3  フェアリーの大群/Cloud of Faeries

6 Creatures 4 繁茂/Wild Growth 4 肥沃な大地/Fertile Ground 4 踏査/Exploration 4 退去の印章/Seal of Removal 4 女魔術師の存在/Enchantress's Presence 4 大あわての捜索/Frantic Search 3 生ける願い/Living Wish 2 交易路/Trade Routes 3 気流の言葉/Words of Wind
32 Spells 13 /Forest 7 島/Island 2 セラの聖域/Serra's Sanctum
22 Land 60 Total Cards
 4  軽快なリフレイン/Lilting Refrain
 2  浄化の印章/Seal of Cleansing
 2  プロパガンダ/Propaganda
 1  セラの聖域/Serra's Sanctum
 1  ラクァタス大使/Ambassador Laquatus
 1  アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress
 1  現実主義の修道士/Monk Realist
 1  マスティコア/Masticore
 1  金粉のドレイク/Gilded Drake
 1  フェアリーの大群/Cloud of Faeries

15 Sideboard Cards

コンボ決定の速度は《大地の知識/Earthcraft》《時のらせん/Time Spiral》等の現在では禁止カードとなっているパーツを擁したかつての“エンチャントレス”と変わらず、3~4 ターンで相手のパーマネントを全て返すかライブラリーを全て墓地と化すことができました。

Argothian Enchantress
今も昔も、彼女は超高速詠唱

あっさり 1 本取られた 2 本目はコンボ決定の様子をじっと観察していました。もうロックが決まっていたので投了しても良かったんですが、興味深かったので最後まで見せてもらうことにしました。いくら《堂々巡り/Circular Logic》しても、その度 3 ~ 4 枚カードを引かれては全く勝負になりませんでした。

結局のところ、相手のクリーチャーは関係なく、《アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress》《女魔術師の存在/Enchantress's Presence》さえ通してしまえば“サイカトグ”などのデッキに後続をカウンターされてもアドヴァンテージを取れ、エンチャントを全て破壊するようなカードは《破滅的な行為》以外には皆無で、例え《破滅的な行為》が一度は起動してもそこまでの順目で必要なパーツをもう一度引いてしまえば良いですし、何よりデッキがネタバレしていないというのが大きかったのです。

この「太さ」が GP 優勝へと導いた原動力ではないかと思います。

また、プレイヤーが“エンチャントレス”慣れしているというのも大きな勝因です。安易にコピーしても回し切れるデッキではありませんので、PT 横浜のゲートウェイで使用を考えているプレイヤーの方は要特訓です。

ちなみに、12 位に入った伊藤も全く同じレシピでのエンチャントレスをプレイしており、そこからも更に“エンチャントレス”の成功ぶりがうかがえるのではないでしょうか。

残党狩り

残党狩り。

駆け上がっていったコンボ系デッキや同系デッキに食い荒らされ、マッチアップにも恵まれなかった“青緑”“スライ”“サイカトグ”に対して圧倒的な強さを誇った藤田修の“ステロイド”を指してこの表現をさせていただくことにしました。

私は初日 3-2 で迎えた 6 回戦で対戦してますので、そこから怒涛の快進撃を見せたということになります。このあたりから、このデッキがベスト 8 のテーブルにたどり着いた論拠を検証してみましょう。

Finalist's Deck - Two Deuce / Played by Fujita Osamu
 4  ジャッカルの仔/Jackal Pup
 4  モグの狂信者/Mogg Fanatic
 4  渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
 4  リバー・ボア/River Boa
 4  野生の雑種犬/Wild Mongrel

20 Creatures 4 炎の印章/Seal of Fire 4 炎の稲妻/Firebolt 4 呪われた巻物/Cursed Scroll 4 怨恨/Rancor
16 Spells 8 山/Mountain 4 森/Forest 4 カープルーザンの森/Karplusan Forest 4 樹木茂る山麓/Wooded Foothills 4 樹上の村/Treetop Village
24 Land 60 Total Cards
 3  帰化/Naturalize
 4  火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu
 3  貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth
 3  血の誓い/Blood Oath
 2  一瞬の平和/Moment's Peace

15 Sideboard Cards

2 日目に残ったデッキのうち、2 敗ラインでは辛うじて生き残った“サイカトグ”“青緑”が中心で、1 敗ラインには各種コンボ系デッキと“スライ”という状況。同率ラインの“残党”を狩り、『落ちてきた』メタデッキをしっかり倒してベスト 8 ラインに踏み止まったという図式がまずは見て取れると思います。

River Boa
水辺の暗殺者

さて、デッキ構成は単純明快で『出す・焼く・殴る』、これに尽きます。

しかし《怨恨/Rancor》などによって“スライ”ほど線が細いわけではなく、火力は豊富でスピードはスライ並。低マナ域で赤と緑の両方のマナを揃えなければならないことと、《樹上の村/Treetop Village》のタップインによるスピードダウンを差し引いても、GP 直前まで本命視されていたデッキに対して勝率が見込めるデッキを選択したことは大きな意味がありました。

“青緑”に対しては、共鳴者を焼き払って《怨恨》をその身に纏った《リバー・ボア/River Boa》が、《野生の雑種犬/Wild Mongrel》が吠える岸辺を横目に悠然と泳いでプレイヤーに襲い掛かり、“サイカトグ”に対してはビートダウンの基本スピードと豊富な火力で押し切ることができ、“スライ”に対しては生物サイズ+《呪われた巻物/Cursed Scroll》で沈黙させ、サイドからの《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》《貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth》で圧殺というパターンで勝利の方程式が見えてきます。

24 枚というマナベースから“スライ”では積み込むことが難しかった、多少重めながら抜群の効果が期待できるカードがサイドに用意されている点も注目でしょう。

しかし、そんな“ステロイド”も《炎の印章/Seal of Fire》によって“アルーレン”は封じて見せたものの、“エンチャントレス”“リアニメイト”“ティンカー”などの『空中戦デッキ』に対する耐性までは付けられず、あと一歩のところで栄冠を逃したのでした。

The 広島

デュエリスト 100 人に聞きました。『広島といって思いつくモノは?』

……MTG プレイヤーからすると、広島という地は『原爆ドーム』でも『お好み焼き』でもなく『ティンカー』だったりするのはないでしょうか(多分)。

このイメージを定着させたのは今シーズン“ティンカー”で戦い通した檜垣貴生その人なのですが、PT ヒューストン、Finals、そして今回の GP 広島と、回を追うごとにそのレシピが洗練されているのがわかると思います。

檜垣の“ティンカー”に関しては、過去にも記事を書いておりますので、そちらもご参考頂ければより理解が深まるかと思います。

Semifinalist's Deck - Hato Up / Played by Higaki Takao
 4  金属細工師/Metalworker
 4  マスティコア/Masticore

8 Creatures 4 通電式キー/Voltaic Key 4 厳かなモノリス/Grim Monolith 4 スランの発電機/Thran Dynamo 4 修繕/Tinker 4 激動/Upheaval 3 天才のひらめき/Stroke of Genius 3 からみつく鉄線/Tangle Wire 1 崩れゆく聖域/Crumbling Sanctuary 1 ミシュラのらせん/Mishra's Helix 1 次元の門/Planar Portal 1 ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor
30 Spells 7 島/Island 3 裏切り者の都/City of Traitors 4 古えの墳墓/Ancient Tomb 4 リシャーダの港/Rishadan Port 4 サプラーツォの岩礁/Saprazzan Skerry
22 Land 60 Total Cards
 2  ファイレクシアの処理装置/Phyrexian Processor
 3  防御の光網/Defense Grid
 3  退去の印章/Seal of Removal
 1  阻止/Interdict
 1  無のブローチ/Null Brooch
 1  次元の門/Planar Portal
 1  からみつく鉄線/Tangle Wire
 2  渦まく知識/Brainstorm
 1  認識のはかり/Noetic Scales

15 Sideboard Cards

Upheaval
まさに激動の冬を駆け抜けた

このデッキもクリーチャーデッキを黙らせ続けて勝ち上がってきたデッキの一つと言って良いでしょう。

また、メタの変遷もレシピから読み取れます。

Finals 時点ではメインだった《渦まく知識/Brainstorm》《からみつく鉄線/Tangle Wire》に変更されている点は、“マルカ”の壊滅を意味するところ。つまり《陰謀団式療法/Cabal Therapy》《強迫/Duress》の本数が減ってキーカードを隠す必要が無くなり、増え出した各種クリーチャーデッキとコンボデッキを封じる手段を迷うことなく投入した結果であると思われます。

サイドボードに目を移すと、《防御の光網/Defense Grid》《認識のはかり/Noetic Scales》と“サイカトグ”“青緑”をメタったカードが見受けられ、スキの無い仕上がりを感じさせます。

決勝ラウンドに残ったデッキの中では、唯一『高速《激動/Upheaval》』によって“エンチャントレス”に対抗できるデッキであっただけに、今シーズン果たせなかった環境の制覇を来シーズンに再び期待することにしましょう。

その世界が意味したもの 2

ある意味。この GP を象徴するデッキがベスト 8 に残った、と言って良いと思います。

“アルーレン”

今シーズン開幕時に本命と噂されるも、《炎の印章》《仕組まれた疫病/Engineered Plague》《要塞の監督官/Stronghold Taskmaster》や、ヘビーハンデスの憂き目に遭ってトーナメントから抹消されていたのも今は昔。《魔の魅惑/Aluren》 1 枚から展開される死のダンスは、忘れた頃に帰ってきました。

Best 8 Deck - Aluren / Played by Kang Jisang
 3  洞窟のハーピー/Cavern Harpy
 4  極楽鳥/Birds of Paradise
 3  ワタリガラスの使い魔/Raven Familiar
 1  魂の管理人/Soul Warden
 2  ワイアウッドの野人/Wirewood Savage
 1  フェアリーの大群/Cloud of Faeries

14 Creatures 4 魔の魅惑/Aluren 3 直観/Intuition 4 生ける願い/Living Wish 4 渦まく知識/Brainstorm 3 吸血の教示者/Vampiric Tutor 1 破滅的な行為/Pernicious Deed 4 陰謀団式療法/Cabal Therapy
23 Spells 3 島/Island 3 森/Forest 2 沼/Swamp 3 真鍮の都/City of Brass 4 ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast 4 汚染された三角州/Polluted Delta 4 ヒッコリーの植林地/Hickory Woodlot
23 Land 60 Total Cards
 1  真鍮の都/City of Brass
 1  顔なしの解体者/Faceless Butcher
 1  洞窟のハーピー/Cavern Harpy
 1  魂の管理人/Soul Warden
 1  ワタリガラスの使い魔/Raven Familiar
 2  破滅的な行為/Pernicious Deed
 1  現実主義の修道士/Monk Realist
 1  アカデミーの学長/Academy Rector
 2  金粉のドレイク/Gilded Drake
 1  蛆たかり/Maggot Carrier
 1  起源/Genesis
 2  骨砕き/Bone Shredder

15 Sideboard Cards

追い風の原因は“エンチャントレス”と同じですが、レシピを考えるとこのデッキが『GP レベルで考えるプレイヤーを相手にした時機能する』というギミックが見え隠れしてきます。

まず《直観/Intuition》が入っているのに各コンボパーツ(主に生物)が 3 枚ずつ入っていないレシピに首を傾げた方も多いと思います。特にコンボの根底であるドローエンジンの《ワイアウッドの野人/Wirewood Savage》はわずかに 2 枚。《直観/Intuition》しても持ってこれないことは明らかな状況で、あえてこのような選択を取ってまでなぜ他のドローサポート呪文にこのスロットを割いたのでしょうか?

さて、ここでクイズです。

場に何も出ていないと仮定して、“アルーレン”のプレイヤーがキャストしたこの《直観》で何を相手に渡しますか?

考えてみましょう。

まずこの状況では『《野人》が欲しい』という推測はしづらいはずです。

順番に考えていくと、“アルーレン”というデッキは《野人》でも《ワタリガラスの使い魔/Raven Familiar》でも回せるデッキです。その中で《ハーピー》×3 という選択ではなく《野人》を加えているということは手札には既に《ハーピー》がいるというところまで推測ができます。

《生ける願い/Living Wish》を使用した最近の“アルーレン”では、デッキの中にキーとなる生物を 3 枚ずつ仕込んでいるパターンが多いからです。

つまり、読みとしては『手札には《ハーピー》と《野人》 or 《使い魔》が揃っており、レスポンスで邪魔されるのを嫌って安全の為に 2 枚目の《ハーピー》を手札に加えようとしている』と考えに及ぶのが自然かと思います。

逆に手札に《ハーピー》がいると考えるなら《野人》を渡さないのでは?という考え方もあるのですが、ここまでで説明した通り、推測ではデッキの中に《ハーピー》は 3 枚、《野人》《使い魔》は 6 枚と考えてるわけですから(この時点では康のデッキに《野人》が 2 枚だとはわからないですし)、確率的に考えても《野人》を渡すのが自然になるわけです。

そもそも《野人》単体ではコンボは起動しませんが、《ハーピー》はゲームを終わらせる力があります。

Wirewood Savage
究極の 2 択
Cavern Harpy
強い相手でこそ機能する

ここで、あえて《野人》と《使い魔》を《直観》しなかった理由は、相手の妨害を考えてドローの素となるエンジンを少しでもライブラリーに残すためだったのではないかと考えます。手段によっては《ハーピー》は戦場から逃げ出すことができますが、《野人》と《使い魔》は自らの意思で危険を回避することができない生物です。

つまりコンボが不発に終わった時に、再び除去されやすいコンボパーツをナチュラルドローで引き込むことを考えてのプレイングであり、その中で対戦相手がほぼ確実に《ワイアウッドの野人》を選ぶ選択をした、と考えられるのではないでしょうか。

なぜこんなことを聞いたかといいますと、実際手札に《ワイアウッドの野人》《ワタリガラスの使い魔》も無い状態から、康は先程の例の《直観》を打ち込んで《ワイアウッドの野人》を手に入れ、次ターンにコンボを成し遂げたというデュエルがあったからです。

デッキを自分のものに仕上げたプレイヤーの強さが際立つ GP だった、という印象が徐々に深まってくるのではないでしょうか。

西方は赤く燃えている

関西の両プレイヤーが選択したのは、毎度お馴染みの『赤』。

その構成は木下が“ラッキースライ”、藤田剛史が“ Red Deck Win 2002”と呼ばれる GP Reims での優勝デッキを基調にしたタイプと、同じ赤でもデッキの中身は似て非なるものでした。

Best 8 Deck - Sligh / Played by Kinoshita Junichi
 4  火花鍛冶/Sparksmith
 4  モグの下働き/Mogg Flunkies
 4  ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver
 3  渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
 4  ジャッカルの仔/Jackal Pup
 4  モグの狂信者/Mogg Fanatic
 4  ゴブリンの従僕/Goblin Lackey

27 Creatures 3 無謀なる突撃/Reckless Assault 3 溶岩の投げ矢/Lava Dart 2 火山の鎚/Volcanic Hammer 4 炎の印章/Seal of Fire
12 Spells 7 山/Mountain 4 樹木茂る山麓/Wooded Foothills 4 血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire 3 不毛の大地/Wasteland 3 リシャーダの港/Rishadan Port
21 Land 60 Total Cards
 1  リシャーダの港/Rishadan Port
 3  モグの分捕り/Mogg Salvage
 4  火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu
 3  罠の橋/Ensnaring Bridge
 4  からみつく鉄線/Tangle Wire

15 Sideboard Cards
Best 8 Deck - Burn / Played by Fujita Tsuyoshi
 2  火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu
 4  ジャッカルの仔/Jackal Pup
 4  モグの狂信者/Mogg Fanatic
 4  渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer
 4  焦熱の火猫/Blistering Firecat

18 Creatures 2 ウルザの激怒/Urza's Rage 4 火山の鎚/Volcanic Hammer 2 炎の稲妻/Firebolt 4 呪われた巻物/Cursed Scroll 4 炎の印章/Seal of Fire 2 溶岩の投げ矢/Lava Dart
18 Spells 8 山/Mountain 4 樹木茂る山麓/Wooded Foothills 4 リシャーダの港/Rishadan Port 4 不毛の大地/Wasteland 4 血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire
24 Land 60 Total Cards
 4  火薬樽/Powder Keg
 4  湯焼/Scald
 3  略奪/Pillage
 2  火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu
 2  スランの鋳造所/Thran Foundry

15 Sideboard Cards

勢いと対青緑では木下の“ラッキースライ”に分があり、同キャラ対戦や《破滅的な行為》と対峙した際は藤田の“Burn”に軍配が上がるので一概にどちらのデッキが正解とは言えませんが、年明けから急増した“サイカトグ”に対する回答、それが『赤』だったわけです。

また、この選択はベスト 8 に残った 2 名の他にも多くの 2 日目進出者を生み出し、GP 広島最大の勢力ではなかったでしょうか。

それだけプレイもしやすく、勝ちに行けるデッキだったわけです。

説明不要の両デッキかと思いますが、一応簡単に各デッキの解説をしていきます。

まずは“ラッキースライ”。

このデッキを勝ち組たらしめたのは須らく《火花鍛冶/Sparksmith》の存在によるところが大きいです。《呪われた巻物/Cursed Scroll》をも廃した木下は、おそらくは同キャラ対戦での不利を承知で《火花鍛冶》《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》の共存を選択したのでしょう。

一般的に“ラッキースライ”ではこの 2 種類の『ショットガン』の共演は無く、《火花鍛冶》をメインにとってサイドに《呪われた巻物》というパターンが多いのですが、『“サイカトグ”の《火薬樽/Powder Keg》で流れるなら一緒』と割り切っての構成であると考えられます。実際それは成功し、ベスト 8 一番乗りを決めています。

しかし当日のメタを考えると、それでも数本は《呪われた巻物》を仕込んでおいて良かったように思います。4 枚投入された《火炎舌のカヴー》がこの土地構成でどれだけ機能したかが気になるところですが……。

Mountain
最強の基本地形

続いて“Burn”です。

コントロール色の強いこのタイプは同キャラでは『のろまきゲーム』に持ち込み、中速デッキ相手では土地を縛ってソフトロックの状態に持ち込みながら《呪われた巻物》《焦熱の火猫/Blistering Firecat》でダメージを稼いで行きます。

基本ベースは生物ではなく火力である為“ラッキースライ”よりも《破滅的な行為》に強く、一度足を止められても立ち直ることができるのが特徴です。

《破滅的な行為》不在が叫ばれる GP 広島では“マルカ”失墜の中、Finals で藤田本人が使用した“リアニメイトコントロール”が台風の目として活躍していました。自身が使ったデッキが隆盛する中、メイン・サイドともに“リアニメイト”を意識した構成を取っていたように感じます。

ともあれ、多くのプレイヤーが大差無いレシピで使用した『赤』においてベスト 8 まで残ったプレイヤーが強豪であるという事実は、最大ダメージ効率を追求するプレイングと、抜き差しの駆け引きに長けている=経験という 2 つの点だったのではないでしょうか。

もちろん Bye と当たり運という要素もありますが、単純なデッキだからこそ腕の差が出るということを教訓として覚えておいて精進すれば、いつか役に立つ日が来るかも知れません。

本丸攻め

藤田修の“ステロイド”が『残党狩り』なら、中野の“スーサイド”は『本丸攻め』でしょう。

増加する“スライ”と“青緑”に対する不利を覚悟の上でこのデッキを持ち込んだのだと思いますが、結果として悪夢のような『8 Duress』からのビートダウンの前に、今大会の『本丸』であるところの各種コンボ系デッキは屍の山を築いていったのではないかと思います。

Best 8 Deck - Black Deck Loose 2003 / Played by Nakano Yoshitaka
 4  カーノファージ/Carnophage
 4  ダウスィーの殺害者/Dauthi Slayer
 4  ナントゥーコの影/Nantuko Shade
 4  ダウスィーの怪物/Dauthi Horror
 4  ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator

20 Creatures 4 肉占い/Sarcomancy 4 強迫/Duress 4 陰謀団式療法/Cabal Therapy 2 悪魔の布告/Diabolic Edict 2 燻し/Smother 2 殺し/Snuff Out
18 Spells 18 沼/Swamp 3 不毛の大地/Wasteland
21 Land 59 Total Cards
 1  殺し/Snuff Out
 2  非業の死/Perish
 3  棺の追放/Coffin Purge
 4  疫病吐き/Plague Spitter
 1  吸血の教示者/Vampiric Tutor
 1  次元の門/Planar Portal
 1  不毛の大地/Wasteland
 1  虐殺/Massacre
 1  燻し/Smother

15 Sideboard Cards

メインデッキがリストを見る限り 59 枚だったり、デッキタイトルが『Zoo 3』だったり『2003』だったりしてますが、この辺はあまりこだわらずに解説していきましょう。

デッキ構成は、先程までにお話しました通り『コンボ殺し』『サイカトグ殺し』です。しかし、それだけでは生き残れないのが今回の GP。並み居るクリーチャーデッキを無視しては勝ち上がることは不可能だからです。特に“スライ”系デッキに対しては地獄のような相性の悪さを誇っており、特に“スライ”の多かった 2 日目を勝ち上がった理由は 1 体のクリーチャーによるところが大きかったと見ます。

それは《疫病吐き/Plague Spitter》です。

Plague Spitter
破滅的な生物

タフネス 1 の生物が多い“スライ”では、例え《疫病吐き》を除去しても場は壊滅状態。放っておいてもターンを返せば壊滅状態。まさに黒単での《破滅的な行為》的な働きをしたと考えられます。

初日、“ストンピィ”と対戦している中野のデュエルを観戦していましたが、その際にもこの《疫病吐き》は劇的な効果を発揮していました。どうしても他のビートダウンデッキと比較して立ち上がりが遅れ気味な序盤を凌いで、《疫病吐き》で時間を稼いで《ナントゥーコの影/Nantuko Shade》につなげる戦い方ができれば勝機は見えてきます。

『スーサイドが遅い』という台詞に違和感を感じる方も多いと思いますが、その理由は“マッドネス”の《尊大なワーム/Arrogant Wurm》《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》、“スライ”の《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》からの高速展開などのようなオプションはなく、マナ通りにクリーチャーを展開していかなければならないからです。

かろうじて《ファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator》がそれに該当しますが、対抗のデッキと違ってその能力はデメリット。つまり“スーサイド”は『超高速ビートダウン』ではなく、数々の妨害手段を用意している横で回避能力付きクリーチャーが打撃するデッキであると理解しておくことが必要になります。

つまり積極的なビートダウンという戦法を取るのなら、別のデッキを選択するのが正しいということにつながってきます。

エクステンデッドにおける“スーサイド”の正体は決して『自殺』では無く、安全を追求した結果だったのです。

その世界が意味したもの 3

Finals 2002 でデビューを飾り、2003 年に入ってから瞬く間に人気デッキとなった“リアニメイトコントロール”。

一瞬で勝負を決めてしまう戦い方と《破滅的な行為》によって安定感を持たせた戦い方、それから《汚染/Contamination》によるロックと様々なアプローチで勝利へと導いてくれる、GP 広島でも本命視されていたデッキです。

Best 8 Deck - Tottori-Sakyu Reanimate / Played by Tabuchi Atsushi
 3  顔なしの解体者/Faceless Butcher
 1  冥界のスピリット/Nether Spirit
 1  戦慄をなす者ヴィザラ/Visara the Dreadful
 1  幻影のニショーバ/Phantom Nishoba

6 Creatures 3 獣群の呼び声/Call of the Herd 4 強迫/Duress 4 燻し/Smother 4 陰謀団式療法/Cabal Therapy 3 納墓/Entomb 1 汚染/Contamination 3 吸血の教示者/Vampiric Tutor 4 再活性/Reanimate 4 破滅的な行為/Pernicious Deed
30 Spells 12 沼/Swamp 4 汚れた森/Tainted Wood 4 ラノワールの荒原/Llanowar Wastes 4 樹上の村/Treetop Village
24 Land 60 Total Cards
 2  棺の追放/Coffin Purge
 1  汚染/Contamination
 1  蔓延/Infest
 1  罪を与えるもの/Guiltfeeder
 2  窒息/Choke
 1  非業の死/Perish
 1  仕組まれた疫病/Engineered Plague
 2  悪魔の布告/Diabolic Edict
 1  幻影のニショーバ/Phantom Nishoba
 3  ドルイドの誓い/Oath of Druids

15 Sideboard Cards

このデッキは、これまでに解説しました『残党狩り』『本丸攻め』の双方をバランスよく行えるデッキです。

ただ、対応できるどちらかのパーツを引いてこないことには一瞬で負けてしまう側面も持ち合わせていますので、このデッキが『最強』であるという認識は少し早計かと思います。

しかし、裏番組の PTQ でも平林和哉が同系の“リアニメイトコントロール”を使用して権利を獲得していますので、このデッキは環境の解決策にはなり得ることは証明されています。

今大会で“リアニメイトコントロール”が活躍したのは、“スライ”の増加によるところが大きかったでしょう。実際クリーチャーデッキでこの“リアニメイトコントロール”に勝つには、相当に恵まれた展開で無い限り厳しいですし、“サイカトグ”は手札破壊の後に《汚染》ロックを決められてしまえばそれまでです。

Pernicious Deed
破滅の数だけ創造がある

ではなぜこのデッキが勝ち切れなかったかというと、4 ターン目に起動する《破滅的な行為》では間に合わないデッキが卓上に多数存在していたからに他なりません。

決勝ラウンドに進んだデッキのうち、東の“エンチャントレス”、檜垣の“ティンカー”(実際、準々決勝で田淵は檜垣に敗戦している)、康の“アルーレン”がそれに当たりますが、この“リアニメイトコントロール”はあくまで『地上戦』を基調に組み上げているだけに、高速コンボ系デッキのように『空中戦』を挑んでくるデッキに対して 75 枚の限られたプールの中で対応しきるのは難しかったのです。

デッキ構成だけを見るとそれほど不利なように映らないかも知れませんが、連続して手札破壊をしながら《破滅的な行為》を置いて《汚染》ロックを早いターンで毎回決めるにはどれだけ恵まれた手札が必要か、お分かり頂けると思います。

しかし、GP 広島においてこの“リアニメイトコントロール”は成功だったと言えるでしょう。

弱点が少なく安定した戦いを演出できるデッキは、GP という長丁場では必ず生きてくるからです。

その安定感を演出したのは、やはり《破滅的な行為》。今シーズンも数知れぬ回数の破滅を繰り返し、多くのパーマネントを恐怖の渦に陥れてきました。きっと来シーズンも多くの破滅による創造を誘ってくれるに違いありません。

次のステージへ向かって

ひとまずこれで今シーズンのエクステンデッドは終了です。今年も様々なデッキタイプが出て来ましたが、デュアルランド、IA ブロックの退場によってスタンダードライクなデッキがここまでエクステンデッドの世界で幅を利かせるとは、シーズン開幕当時どれだけの人が予想できたでしょうか。

今回もまた、『コンボデッキ→中速コントロール→ビートダウン→クリーチャーコントロール(コンボ)』の順目を辿ったということになります。今年エクステンデッドに参加しなかった方も、このポイントだけでも抑えておけばエクステンデッドシーズンは充分に戦っていけます。

実際、私もエクステンデッド構築戦は苦手でして、去年まではほとんど成績を残せませんでしたが今年はこれらいくつかのポイントを抑えて構築を進めることによって、ある程度の手ごたえは感じることができました。

また来シーズンも 90 日間の冬を迎えるでしょう。その時に今年学んだことを生かせれば、と思います。

さあ、構築戦はいよいよ“レギオン”が参戦し、PT ベネチアでは OBC(オンスロートブロック構築)が、そして国内では日本選手権予選が始まり、スタンダード構築戦に向けて始動する時期に来ています。

ひとまず、この冬お世話になった昔のカードたちにしばしのお別れを告げて、新たなる魔法に手を伸ばそうではありませんか。

再びエキサイティングな冬が訪れることを祈りつつ。

それでは、また次回に。

(文中敬称略)

Tags: Strategy
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記事へのツッコミ(1) [ツッコミを入れる]
_ 中佐 2009/12/11 01:40

自分のMTGプレイヤー最後の大会を振り返ってNETを漂っているうちにたどり着きました。<br>確かにあの大会は”サイカトグ””UGマッドネス””スライ”が非常に大きなメタの中心になっていましたね。実際によく見ましたし。<br>私も最後のタイプ・リアニメイトコントロールの変形”スーサイドジャンク”(かなりメタに合わせて歪な形になりましたが)で二日目までには残りましたが、いかんせんプレイヤーの腕がついていかずに微妙な成績に終わりました。<br><br>あぁ・・・またマジックがやりたくなる


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