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リミテッド・脱初心者講座 特別編 プロツアー横浜・名古屋予選レポート

2003/05/25 06:02更新

リミテッド・脱初心者講座 特別編 プロツアー横浜・名古屋予選レポート

Written by 吉川祐輔

去る 3 月 8・9 日、名古屋港湾会館で行われたプロツアー横浜予選大会で幸いにも準優勝し、同大会の参加権を得ることができました。そこで今回は、今までの連載のまとめも含めて、私の体験したプロツアー予選を振り返ってみたいと思います。

デッキ構築

前日に軽くシールドの練習をしてみました。シールドセットを 2 セット用意して、見た目普通の緑黒と《稲妻の裂け目/Lightning Rift》《めった切り/Slice and Dice》《ショック/Shock》《陽光の突風/Solar Blast》《狙いすましたなだれ/Pinpoint Avalanche》と考えられる火力がほぼ全て入った赤黒が完成し、友人とスパーリングを繰り返してみたのですが、何度やっても赤黒側が勝てないのです。タフネスによらない除去がなかった結果、緑のサイズに押し切られてしまってたのでした。シールドでは《残酷な蘇生/Cruel Revival》のような除去はそうそう手に入りませんから、やはりサイズは重要であることを再確認することになりました。よほどのことがない限り、緑メインでいくことが必須であるのでしょう。

これを踏まえて、まずは構築後のメインデッキをご覧下さい。

QT Yokohama - Nagoya Sealed Deck - Yusuke Yoshikawa
 1  意志を曲げる者/Willbender
 1  激浪の生物学者/Riptide Biologist
 1  エルフの戦士/Elvish Warrior
 1  火花鍛冶/Sparksmith
 1  無神経な抑圧者/Callous Oppressor
 1  疑い深い濃霧獣/Leery Fogbeast
 2  霧衣のウミツバメ/Mistform Seaswift
 1  クローサのむさぼり獣/Krosan Vorine
 1  毒吐きゴルナ/Spitting Gourna
 1  冠毛の岩角獣/Crested Craghorn
 1  針撃ちゴルナ/Needleshot Gourna
 1  にらむローガン/Grinning Rogan
 1  樹を跳ねるロリアン/Treespring Lorian
 1  共生する獣/Symbiotic Beast
 1  ハンドルーグ/Hundroog
 1  逃げ出したプライモック/Primoc Escapee

17 Creatures 1 ショック/Shock 1 背教/Backslide 1 干渉/Meddle 1 締めつける綱/Choking Tethers 1 神話的体形/Mythic Proportions 1 部族の団結/Tribal Unity
6 Spells 8 森/Forest 7 島/Island 1 山/Mountain 1 平穏な茂み/Tranquil Thicket 1 忘れられた洞窟/Forgotten Cave
18 Land 41 Total Cards

0 Sideboard Cards

リミテッドでのデッキには「勝ちプラン」が必要です。そして、この環境においてそれはレアによるところが大きいことは、皆さんもご存知のことだと思います。

Callous Oppressor

幸いにして私は、《無神経な抑圧者/Callous Oppressor》《神話的体形/Mythic Proportions》という勝負を決めるレアカードを入手することができました。前者は除去に対して脆弱ながらもシールド戦では決定打たり得ますし、後者は見ての通りの最終兵器です。まずはこの 2 枚を軸にデッキを構築していくことにしました。

あとは色の組み合わせですが、ラインナップの悪くない緑は上記の理由により即決定、青には 2 枚の《霧衣のウミツバメ/Mistform Seaswift》《逃げ出したプライモック/Primoc Escapee》があり、やや不十分ながらも地上を緑のビーストで止めて殴りきるというプランが想定できるのでメインカラーとしました。しかしながらこの 2 色では除去がないという大きな不安を抱えることとなるので、赤を第 3 色として追加しています。《火花鍛冶/Sparksmith》は単体でも十分強力ですし、また《冠毛の岩角獣/Crested Craghorn》は再利用のギミックはないものの擬似《狙いすましたなだれ/Pinpoint Avalanche》として機能しました。一方で白は《魂を見つめるエイヴン/Aven Soulgazer》《騎士団の防衛者/Defender of the Order》などクリーチャーはそこそこ優秀でしたが決定打がなく、黒は《墨吐く発動者/Smokespew Invoker》以外に除去がなかったので見送りとしました。

最終的に迷った結果、土地 18 枚 (うちサイクリング土地 2 枚) の 41 枚デッキとしたのですが、これは結果的に妥当であったようです。

しかしながら、カードの選択で後悔した部分はいくつかありました。特に《干渉/Meddle》は、レギオン導入によりスペルが少なくなったこの環境では全くといっていいほど役に立たず、《にらむローガン/Grinning Rogan》も増幅できる機会はあまりありませんでした(もっとも、これについては 4/4 で十分な場面も多かったため一概には言えませんが)。逆に《撹乱するピット魔道士/Disruptive Pitmage》はただの変異として、また相手のテンポを撹乱する役割として、意外なほど役に立ちました。また、実際には上手くいっていたものの、やはり赤いスペル (非変異、サイクリング) が 3 枚ある構成で《忘れられた洞窟/Forgotten Cave》を入れるのはさすがに無理があったようです。完成形としては《干渉》《ローガン》《洞窟》を抜いて《魔道士》《山》を加えた 40 枚デッキが良かったと思っています。

それでは実際のマッチレポートに入りたいと思います。

初日・シールド編

1 回戦 緑赤-黒

第 1 ゲーム

相手がマリガン。こちらは先手から《エルフの戦士》《濃霧獣》《ウミツバメ》と都合良く展開して、最後は《締めつける綱》でとどめ。

第 2 ゲーム

《島》の 2 枚目が出ずに展開が滞ったところに、相手 4 ターン目変異表向けて《ヒストロドン/Hystrodon》。どうにもならず。

第 3 ゲーム

相手がマリガン。《森林守りのエルフ/Timberwatch Elf》が出てくるがこれを即座に《ショック》して、《抑圧者》を展開(指定はビースト)。相手は土地 4 枚で止まり、有効牌がないのかそのまま文字通りに「タコ殴り」。

Won-Lost-Won 通算 1-0

2 回戦 赤緑

第 1 ゲーム

《宝石の手の徘徊者/Gempalm Strider》《森林守りのエルフ》→変異→《テフラダーム/Tephraderm》と綺麗に展開されて負け。

In 《ピット魔道士》 Out 《ローガン》

第 2 ゲーム

微妙な攻防が続くが、相手のほうがやや展開が遅く《ピット魔道士》が裏向きで睨みを利かせる。何故かその変異に《神話的体形》が付くところまでいってあとは 10/10 トランプルで圧殺。

第 3 ゲーム

ここで相手がマリガン。2 ターン目の《スカークの教練教官/Skirk Drill Sergent》を《生物学者》と相打たせると後続が来ない。途中《稲妻の裂け目》が出てきてヒヤリとするが、土地 4 枚で止まる相手を尻目に《共生する獣》《針撃ちゴルナ》と展開して勝利。手札に《神話的体形》があって 6 マナで止まっていたせいか、あせって一度《ハンドルーグ》をサイクリングしてしまうミスがあった。気をつけよう。

Lost-Won-Won 通算 2-0

3 回戦 黒赤-緑

知り合いでジャッジをしている方に当たる。デッキを見せてもらってサイドボーディングのアドバイスもしているので、カードパワー的にかなりの苦戦が予想され……果たしてどうなることやら。

第 1 ゲーム

《エルフの戦士》で変異クリーチャー攻勢を耐えていると《うろつくセンザンコウ/Prowling Pangolin》が出てきて防衛線決壊。《ハンドルーグ》まで繋げるも《脅しつけ/Threaten》で終了。

In 《ピット魔道士》 Out 《ローガン》

第 2 ゲーム

相手の変異と《ウミツバメ》で殴りあう。《意志を曲げる者》をスタンバイさせて機をうかがうがライフが 10 になったところで相打ちにする。そうこうするうち、相手に《皇帝ヘルカイト/Emperor Hellkite》が降臨。相手のライフは 7 で、変異と《ヘルカイト》が並んだ状態でフルタップ。こちらは《ウミツバメ》と《共生する獣》をコントロールし、土地は 6 枚、手には《部族の団結/Tribal Unity》《背教/Backslide》。待っていても状況は悪くなるので両方でアタックすると、

彼「《ウミツバメ》を《ヘルカイト》でブロック……」

私「《獣》はスルーですね? では《団結》を X=3、指定はビーストで」

彼「いや、《獣》は変異でブロックするって言ったけど」

私「え゛」「聞こえてなかったです……」

彼「俺も不明瞭だったから……」

ジャッジを呼び説明すると、ブロッククリーチャー宣言まで巻き戻して両方に注意の裁定。巻き戻り後、《ヘルカイト》に《背教》。ホントごめんなさい。

その後《獣》が《脅しつけ》されたりするも、それ以上はなく。

第 3 ゲーム

ここでも相手がマリガン。こちらの初手を見ると《背教》がある。《島》もある。通常なら即サイクリングコースだが、ちょっと考えを保留しておくとドローが《忘れられた洞窟》《山》もあるのでこちらを先にサイクリングすると、《エルフの戦士》をドローする。とりあえず 3 ターン目に出して変異と睨み合い、4 ターン目に《ウミツバメ》、5 ターン目に《曲げる者》変異。すると返しで《原初を囁く者/Primal Whisperer》が表になって殴ってきたので《背教》して撃退。結果的に正解。

あとは《曲げる者》《ピット魔道士》《干渉》で《ウミツバメ》を守り 7 回殴って終了。

Lost-Won-Won 通算 3-0

4 回戦 緑黒(中村修平さん)

この辺から苦しくなるなあ、と思っていたら。《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》からの《鉤爪の統率者/Caller of the Claw》という卑怯くさいコンボを内包しているデッキ。

第 1 ゲーム

相手先攻から《卑劣なアヌーリッド/Wretched Anurid》《腐れざる喧嘩屋/Embalmed Brawler》(増幅 2 枚……《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》《墨吐く発動者/Smokespew Invoker》)とスーサイド・ブラックされて、《生物学者》で耐えるふりをしてみるが、《発動者》を相打ちにした返しの《統率者》で死亡。

In 《ピット魔道士》 Out 《ローガン》

第 2 ゲーム

Mythic Proportions

ゆっくり目の展開だが《エルフの戦士》が《喧嘩屋》(増幅 1 枚)で止まる。そこからお互いにドロー、土地セット、ゴーが続くが、相手には《発動者》が。土地が 7 枚ずつになったところで、動かざるを得ない。

私「《神話的体形》を《戦士》に」

中修「甘い! 《虫つぶし/Swat》!」

ちーん。後で《発動者》を《曲げる者》してはみたが無意味。

Lost-Lost 通算 3-1

5 回戦 緑赤-黒

第 1 ゲーム

静かに土地を並べる展開になり、《ローガン》(増幅 1 枚)で耐えてみる。初手から《神話的体形》を持っており、あと土地 1 枚という状態になるが引かない。《ハンドルーグ》をサイクリングしても引かない。そのうちに相手に《ゴブリンの働き者/Goblin Dynamo》を出される。マナを残された状態で待たれるとまずいが、《うなるアンドラック/Snarling Undorak》にマナを使われたところで運良く土地をドロー。13/13 トランプラーが出現し勝利。

In 《ピット魔道士》 Out 《干渉》

第 2 ゲーム

《森》 4 枚、《ローガン》《体形》《ショック》の初手でマリガン。マリガン後は普通。

《岩石樹の発動者/Stonewood Invoker》やビーストなどで攻め立ててくる相手を《生物学者》でいなすが、《幸運を祈る者/Wellwisher》でライフが 37 点あっていろいろ大変。何とか《山》を引いて《火花鍛冶》を出し、《働き者》は《冠毛の岩角獣》で即相打ちし、何とかライフ 2 点で耐える。何も引かれずに済んだので削りきる。

Won-Won 通算 4-1

6 回戦 緑黒-赤

第 1 ゲーム

初手に《森》《島》、緑サイクリング土地、赤サイクリング土地、《抑圧者》《ウミツバメ》《毒吐きゴルナ》とあって悩む。できるだけ早く《島》を 2 枚揃えたいし、4 ターン目には《ウミツバメ》を表で出したい。そこで赤サイクリング土地から入って、次に《島》。3 ターン目までに《島》は引けなかったが《森》を置いて《ゴルナ》変異。相打ち後 4 ターン目に《島》を引き、無事《抑圧者》降臨(指定はビースト)。相手に《アンドラック》が出てくるが、土地をサイクリングし《エルフの戦士》を入手。《森》の 2 枚目があったので 5 ターン目にこれと《ウミツバメ》変異で上手くマナを使い切る。《アンドラック》に全力でしばかれ、《超大なベイロス/Enormous Baloth》まで出てくる展開になるが、《背教》を引いたので裏にしてコントロールを得る。相手が割り切って並べてくるも《ウミツバメ》が止まらず勝利。しかしながら、最後のドローで《無頓着の波/Wave of Indifference》を引かれると死んでいた。

In 《ピット魔道士》 Out 《干渉》

第 2 ゲーム

《エルフの戦士》→《ピット魔道士》変異→《ゴルナ》変異とテンポ良く展開。相手も《ワイアウッドの野人/Wirewood Savage》《ナントゥーコの鞘虫》と出してくるがこちらが主導権を握る格好になる。その後も《冠毛の岩角獣》を《ピット魔道士》でカウンターし、《ウミツバメ》変異から表、《ローガン》増幅 2 枚、《曲げる者》変異と都合良く展開して圧倒。気づいたら生物しか引いていなかった。

Won-Won 通算 5-1

7回戦 緑黒

あと 1 勝でベスト 8 がほぼ確定する状況で、緊張が高まってくる。悔いだけは残らないように、念入りにシャッフルをして戦いに臨む。

第 1 ゲーム

しばしの変異の並べ合いの後、《ウミツバメ》と《アフェットの禿鷹/Aphetto Vulture》の殴り合いになる。しかし一時《枝折りロリアン/Branchleap Lorian》でダメージを先行されていたのと、《禿鷹》《骨を組む者/Boneknitter》で再生するのとでかなり分の悪い戦いを強いられる。

自分のライフが 4 となったところで、自分の記録と相手のライフが食い違っている事に気づく。前者は 5 だったが後者は 3 らしい。ジャッジを呼んで遡って確認したところ、3 が正しいことがわかる。警告の裁定を受ける。

結局、次のターンで《禿鷹》《活力の魔除け/Vitality Charm》で +1/+1 して死亡だったのだが。

In 《ピット魔道士》 Out 《干渉》

第 2 ゲーム

相手の土地が 3 枚で止まるも《森林守りのエルフ》が 2 体現れて吐きそうになる。だが、アタッカーが《骨を組む者》《ただれたゴブリン/Festering Goblin》だけだったので何とかチャンプブロックで能力を使わせながら耐える。そうしているうちに《ウミツバメ》が間に合って、《抑圧者》が《残酷な蘇生/Cruel Revival》された後に《神話的体形》が通る。11/9 になって《ウミツバメ》は止まらず、危惧していた《皮を剥ぐ者/Skinthinner》も現れず勝利。

第 3 ゲーム

泣いても笑っても最後の戦い。

変異からのゆっくりした展開になるが、相手に常に先、先を行かれ、《森林守り》も出てきてピンチ。こっちも必死で《火花鍛治》で除去するが、結果ライフが残り 1 となって今にも死ねる状態になる。しかし何とか耐えて 5/5 の《ローガン》で攻勢に転じる。しかしここでまた記入ミスか、ライフが合わなくなってしまう。先程同種のミスで警告を受けているだけにゲームロスも覚悟したが、ゲーム自体の進行に支障を及ぼすものではないとして再度警告の裁定。命拾いして、トップデッキした《冠毛の岩角獣》と抱えていた《部族の団結》で勝負を決める。だがやはり冷静さを欠いていたのか、実はもう 2 ターンほど早く勝てるタイミングがあったことを観戦していた中修氏から後で指摘された。

Lost-Won-Won 通算6-1

8回戦

最終戦インテンショナルドローで安定、と思っていたら、マッチポイント 16 点のプレイヤーと当たる可能性が出てくる。もしそうなればリアルファイトになってしまう…が、無事 19 点のプレイヤーと当たり ID。お互いの明日の健闘を祈り合う。

Draw 通算6-1-1

結局 7 位、マッチポイント 19 点の中では一番下ながらも通過を果たす。

自分自身、個人戦では初の PTQ 決勝進出となり、感動もひとしおだったが、この時点では犯したミスの多さと明日の決勝への不安で素直に笑えずにいた。

ともあれ、ここで終わるわけにはいかない。美味しいものを食べて、カプセルホテルで休息を取り英気を養う。

2 日目・ドラフト編

宿で休んでいる時、自分はどのようなプレイングを目指すべきなのか考えていました。

準々決勝の相手は強豪として知られる浅原晃氏に決まっていました。技術も経験も彼に遠く及ばないのは明白です。……ならば自分の得意なことで真っ向勝負をしよう、となると、最も得意な色の組み合わせ……赤青に決め打っていこう、と決意しました。

その上で赤青の理想形を思い描いてみると、レギオンの導入により 4 マナ域のアタッカーは豊富になっていることに気が付きました。逆に、低マナ域のクリーチャー及びスペル全般はオンスロートでしか入手できない貴重品です。そのことを意識して、いかに完成形に近いデッキを構築していくかに重点をおくことにしました。

明けて日曜日の朝。

集合時間の 30 分ほど前に会場に着いてみると、ほぼ全ての参加者がすでに会場入りしていました。その中の一人、信下淳氏が話しかけてきました。彼はスイスラウンド1位のため、ドラフトでは私の左側、下家になります。

信下「何色が好き?」

私「赤ですね。緑はやりたくないです」

信下「じゃあ、俺は緑黒をやるかな」

この予選は通過者が 2 人であるため、このドラフトの命題は「いかに 2 勝するか」に集約されます。両隣のプレイヤーとは決勝まで当たらないため、上手く協調できるかが重要で、両隣がいくらゴッドデッキになっても構わないのです。その点で、この会話は非常にありがたいものになりました。早速、もう片方の隣である大坪氏にも話をしておき、大坪氏も同様に緑に向かいたいとのことだったので棲み分けが完成しました。以前アレックス・シュバルツマン氏の記事にありましたが、やはり、ロチェスタードラフトのみならずブースタードラフトもまた「外交(Diplomacy)」であるのでしょう。

ドラフト

初手は赤のカードからと決めていたので、《スカークの猛士/Skirk Commando》から。私自身はこのカードをあまり評価していないのだが、まあ仕方のないところ。《燃えさし魔道ゴブリン/Embermage Goblin》もあったが、前述の通り 4 マナ圏はレギオンで余るほどあるので却下。2 手目はさらに目ぼしいカードが減って、この順目で取るべき赤か青のカードは無かったのだが、協調を乱すことはできず、また絶対に必要なカードではあった《激浪の生物学者/Riptide Biologist》をピック。これで覚悟は完了。3 手目に決定打たり得る《運命をかたどるエイヴン/Aven Fateshaper》を入手し、あとは《ゴブリンの監督官/Goblin Taskmaster》 2 枚など軽め軽めを意識してドラフトを進めていく。ただし線が細くなりすぎてもいけないので《アヴァラックス/Avarax》も確保しておく。1 パック目終了時では火力が無く、不安があった。

2 パック目初手でようやく《ショック/Shock》に巡り会い、確保。2 手目に流れてきた《火花鍛冶/Sparksmith》で協調を確信。さらに《焦熱の火猫/Blistering Firecat》という思いがけぬプレゼントもあり、あとで拾った《焼けつく肉体/Searing Flesh》ともどもデッキの攻撃力が上がる。また、《背教》《魔道士の悪知恵/Mage's Guile》も狙い通り 2 周目で入手し、小技も万全。しかしながら赤青に必須である《溶岩使いの技/Lavamancer's Skill》《霧衣の壁/Mistform Wall》が取れなかったことに一抹の不安を感じる。

レギオンに入って、必要なカードは絞られていた。初手は《意志を曲げる者/Willbender》、2 手目で《ゴブリンのうすのろ/Goblin Goon》と想定外の強力カードだったが、3 手目で《スカークの匪賊/Skirk Marauder》、中盤で《残響の追跡者/Echo Tracer》《霧衣のウミツバメ》《秘密調査員》と火力・バウンス・回避能力つきを確実に入手。不足していた壁も《詐欺の壁/Wall of Deceit》の入手で解決し、《宝石の手の焼却者/Gempalm Incenerator》という火力の補強もあり、《技》以外は想定通りのデッキになる。

やはり最後まで協調を意識し続けたのが良かったのか、デッキは相当強力なものになった自信があった。完成したデッキは以下の通り。

QT Yokohama - Nagoya Draft Deck - Yusuke Yoshikawa
 2  ゴブリンの監督官/Goblin Taskmaster
 1  火花鍛冶/Sparksmith
 1  スカークの匪賊/Skirk Marauder
 1  激浪の生物学者/Riptide Biologist
 1  意志を曲げる者/Willbender
 1  詐欺の壁/Wall of Deceit
 1  スカークの猛士/Skirk Commando
 1  宝石の手の焼却者/Gempalm Incenerator
 1  残響の追跡者/Echo Tracer
 1  乱打する岩角獣/Battering Craghorn
 1  焦熱の火猫/Blistering Firecat
 1  ゴブリンのうすのろ/Goblin Goon
 1  霧衣のウミツバメ/Mistform Seaswift
 1  アヴァラックス/Avarax
 1  秘密調査員/Covert Operative
 1  運命をかたどるエイヴン/Aven Fateshaper

17 Creatures 1 ショック/Shock 1 背教/Backslide 1 魔道士の悪知恵/Mage's Guile 1 締めつける綱/Choking Tethers 1 まごつき/Discombobulate 1 焼けつく肉体/Searing Flesh
6 Spells 8 山/Mountain 8 島/Island 1 忘れられた洞窟/Forgotten Cave
17 Land 40 Total Cards
 1  撹乱するピット魔道士/Disruptive Pitmage
 1  霧衣の仮面/Mistform Mask
 1  変容スリヴァー/Shifting Sliver
 1  詮索好きなゴブリン/Nosy Goblin
 1  ゴブリンの空襲部隊/Goblin Sky Raider
 1  熱病の魔除け/Fever Charm

6 Sideboard Cards

通常の赤青よりも火力(特に恒久的なもの)が少ないが、その分打撃力に秀でた構成。序盤にゴブリンで先行してダメージレースで優位に立ち、削りきれなかった分を青のスペルでサポートした回避能力つきクリーチャーや 2 枚の 7 点火力でもぎ取る展開が想定される。とにかく序盤の出足を大事にしたい。

準々決勝 白+青(浅原晃さん)

緒戦にして最大の山場。いやがおうにも緊張が高まる。

じっくりとシャッフルをして、高ぶる精神を落ち着かせる。

第 1 ゲーム

相手が先攻で、初手を見てすぐにマリガン。こちらも土地 1 枚だったのでお付き合い。マリガン後は満足のいく初手。《ゴブリンの監督官》→ 2 点パンチ→《ウミツバメ》変異と快調に飛ばす。一方相手のファーストアクションが《急降下爆撃兵/Dive Bomber》だったので、もう 1 体《監督官》を出し《焼却者》で焼くと平地 4 枚で止まり後続が無く、そのまま圧倒。

第 2 ゲーム

今度はお互いマリガンなし。《冷静なチャンピオン/Stoic Champion》が出てくるが、どうやら土地 2 枚で発進したらしく 3 ターン目の気合を込めたドローも空しく土地が止まる。こちらはターン終了時にサイクリングして手札を整理した後《スカークの猛士》変異から。4 ターン目に平地を引かれて《羽ばたく戦士/Winged Warrior》が出てくるが、《猛士》の攻撃が通ったので表にして《チャンピオン》を除去。変異が出てきて《羽ばたく戦士》ともども待たれるが、ここで都合良く《山》を引けたので《アヴァラックス》。相手はしばし悩んだ後、《猛士》と変異(《斧のしもべ/Lidge of the Axe》)を相打ちに。《羽ばたく戦士》に殴られて変異が出てくるが、これは《ショック》《騎士団の防衛者/Defender of the Order》)。戦線に《スカークの匪賊》変異を追加すると、意味深に土地を立てて《羽ばたく戦士》に待たれたのでとりあえず 2 体で攻撃してみると《アヴァラックス》ブロックから《宝石の手の報復者/Gempalm Avenger》サイクリング。もちろん《匪賊》表にして除去。《監督官》も追加し、最後はブロッカーを《締めつける綱》して勝利。

Won-Won 準決勝進出

意外にあっけなく勝利し少し拍子抜けするも、次こそが大事と気を引き締めなおす。まだ終わっていなかった対戦相手の試合を見ると、どうやら《無神経な抑圧者》がいる赤青らしい。タコさんに昨日は助けられたけど、今日は最後の難関かと思いを巡らす。

準決勝 赤青

全てはこの 1 戦のために。

第 1 ゲーム

ダイスロールに勝ち、先攻を取ってとりあえず《監督官》から。2 点殴ると 3 ターン目に《火花鍛冶》を引く。こればかりはテンポよりも優先すべきで、即出す。返しで《霧衣の壁》。《監督官》で攻撃してみると、ブロックしてくれたので《火花鍛冶》で 2 点与えて《監督官》を《背教》で守る。……のだが、実際には 2 点与える前に《背教》してしまい、改めて表にして《火花鍛冶》とやってしまっていた。その時はお互い全く気づいていなかったのだが、これだと……思い返すのも恐ろしいミスプレイ。やはり「あと 1 勝」のプレッシャーはプレイングを鈍らせていたのだろうか。やはり実力が足りないのか。

ともあれ戦線を維持できたので、出てくる変異も次々焼いて殴る。《噛みつくスラッグ/Snapping Thragg》が出てきた時には《スカークの猛士》表出しから除去。まさに「スミスゲー」で圧倒。

In 《魔道士の悪知恵》2枚目 Out 《激浪の生物学者》

考え直してみると、これは非常に嘘臭いサイドボーディング。赤のビーストも多いというのに……。

第 2 ゲーム

何故か後攻を取られる。こちらとしても先攻は非常に好都合。サイクリングで手を進めて《匪賊》変異からという展開になるが、返しで《抑圧者》が現れる。もちろんいつでも焼けるのだが、手札に《ショック》があったのでテンポ的にこちらを優先。攻撃し《意志を曲げる者》変異。《エイヴンの賢人/Sage Aven》が出てくるがお構いなしに殴る。《火花鍛治》の返しで《冠毛の岩角獣》が出てくるが、挑発能力の対象を《曲げる者》自身に変えることで守る。《スラッグ》は《火花鍛治》と《匪賊》の合わせ技で除去し、2 体目も《残響の追跡者》でテンポを取る。最後は手札に《焦熱の火猫》がある状態でドローが《焼けつく肉体》。万が一の逆転も許さない完璧なドローで勝利。

Won-Won 決勝進出

それにしても、対戦相手の方の知り合いらしいギャラリーの方が「あの引きに勝てって言う方が無理だよ」と言うくらい、引きが乗っていた。ドラフトの段階でも上手くいったとは思ったが、やはりこの結果は運の要素もあったのだと思う。

早めに戻らなければならない用事があったため、決勝は賞金折半の約束で私が棄権。参加権を得ることとなった。

教訓と謝辞

思い返してみると、今回は普段から気をつけていることをきちんと実行できたことで良い結果が出た反面、注意すべき点を新たに見つける機会でもありました。今後の改善のため、いくつか例を挙げてみたいと思います。

気をつけたこと

テンポが大事

戦術的な面で一番気を配ったのがこれでした。この場合の「テンポ」とはすなわち、「どれだけマナを余らせずに行動できるか」ということです。初手を見たときには、呪文コスト、変異コスト、サイクリングコストを見て、どの順で土地やスペルをプレイすれば一番効率が良いのかを考えました。また、プレイ中では「次のターンで土地を引いた場合」と「引かなかった場合」の 2 つを常に念頭に置き、どちらの場合も安定して行動が起こせるように考えました。マナが余ってしまう場合も、できるだけ相手に脅威を感じさせるように土地を残しました。

これと関連して、この環境では特に土地が3~4枚で止まって負けるということが多くあることを実感しました。やはり土地は多めに取っておいたほうが良いようです。

シャッフルはしっかりと

土地事故はデュエリストの共通かつ永遠の敵です。勝つにしても、相手が事故だと複雑な心境になるものです。また、上に行くにつれて一試合ごとの緊張も高まってきます。それを軽減するためにも、丁寧に、確実にシャッフルすることが良いと思います。これは対戦相手のデッキをシャッフルするときにも言えることです。要らぬ不安を感じないためにも、特に大きな大会では対戦相手のデッキのシャッフルを心がけたいものです。

栄養補給に気を配る

今回のプロツアー予選は 8 回戦の長丁場でしたし、グランプリともなればそれ以上の戦いが予想されます。そして大抵の場合昼休みもありません。ですから、おにぎり、パンなどの小分けにして食べられるものを朝のうちに用意し、ラウンドの合間に少しずつ摂っていくと良いと思います。また、私はゼリータイプの栄養補助食品やドリンク剤も併用してみました。マジックはスポーツですから、それを念頭において、それぞれ好みに合わせて用意すると良いのではないでしょうか。

気をつけなければいけなかったこと

意思疎通ははっきりと

3 回戦の項にもありますが、最もトラブルになりやすくこじれやすいのが「言った、言わない」の水掛け論です。今回はたまたま上手く収束できましたが、厳しい中にも楽しく、後味の良いプレイをするためにも、宣言と意志の確認はしっかりすべきだと改めて反省しています。マジックがプレイヤーの相互コミュニケーションの上に成り立つものだということを常に気をつけていきたいものです。

まずは記録から

7 回戦のトラブルは本当にヒヤリとしました。やはり緊張で冷静さを欠いていたということもあるのでしょうが、やはり自分と相手のライフの管理は第一にするものだと思い知らされました。ライフは勝負の趨勢を決するものですから、ごまかしを未然に防ぐためにも自分のライフだけでなく相手のライフにも常に気を配るべきでしょう。

今回私が良い結果を残せたのも、やはり私の周りで支えてくれている人々あってのものだと改めて思っています。練習場所であれ、大会会場であれ、生活の場であれ、そのような方々がいなければこの試合はもっと苦しいものになっていたでしょう。だからこそ、これに報いることができるよう、更なる研鑚と礼節をもって、これからを過ごしていきたいと思います。そして、今予選に参加した 131 名の方々のためにも、プロツアー横浜で良い戦いをすることを誓いたいと思います。

いつも以上の長文、お読みいただき本当にありがとうございました。

それではまた連載で、もしくはグランプリ京都の会場でお会いいたしましょう。

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