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「ミラディン」世界への船出 ~1章 生物界の秩序

2003/09/26 21:49更新

「ミラディン」世界への船出 ~1章 生物界の秩序

Written by 吉川祐輔

プレリリース・トーナメントに参加された皆様、お疲れ様でした。 公式のカードリストも発表され、10 月 3 日の正式発売に向けて期待感が高まる今日この頃です。

さて、今回は、前回の予告通り、クリーチャーの評価方法を中心に、「ミラディン」によるリミテッド環境に対する理解の足ががりを作っていきたいと思います。

今後の連載予定、及び過去の記事の内容は以下の通りです。

序章
プレリリースに向けて(新ルールなど FAQ の確認を中心に)
1章
生物界の秩序(コモンを中心にクリーチャーカードの解析)←今回
2章
装備品の構造(これもコモンを中心に、装備品の重要性と価値判断)
3章
呪文書の考察(色の特色をつかみながら、重要なスペルの把握)
4章
現状のまとめ(大阪予選前での一応の結論)
5章
大阪予選を振り返って(発売直後のトーナメントを、体験からまとめる)
6章
1 章のフィードバック(印象がどう変わったか、実際のプレイから 1 章を見直す。以下同じ)
7章
2 章のフィードバック
8章
3 章のフィードバック
9章~
適宜、実際のドラフト体験からの留意点のまとめ(未定)
最終章
グランプリ静岡レポート

プレリリース雑感~コスト感覚の変化

Myr Enforcer

「えっ、これがこの段階で場に出るの?」

私がプレリリースのジャッジをしている中で、驚いたものの一つに「《マイアの処罰者/Myr Enforcer》の軽さ」がありました。 右肩には「7 Mana」と書いてあるこのカードですが、最速 3 ターン、大抵は 5 マナ程度でプレイされていたのです。いくら親和(アーティファクト)を持っているとはいえ、やはり重いだろうと感じていた私を驚かせるには十分でした。 親和能力もさることながら、《~のマイア/Myr~》シリーズやアンコモンの《~のタリスマン/Talisman of~》など、マナ・アーティファクトの充実もその一因と言えるでしょう。 つまり、マナ・コストに対する感覚を根本から改める必要があるのです。

また、良く見た光景の一つに、「双方装備品はたくさん場に出ているのに、クリーチャーがいなくてにらみ合い」というものもありました。 装備品というパーマネントカードの存在で、デッキに入るクリーチャーの総数が減ったと同時に、そもそもパックに含まれるクリーチャーカード枚数の期待値が減ったという事実により、クリーチャーカード 1 枚 1 枚の重要度が増してきているのです。

その点を踏まえ、「この環境における強いクリーチャー像」を探っていくことにしましょう。

装備品全盛時代に対応する能力とは?

さて、「この環境における強いクリーチャー像」を考える上で、忘れてはいけないのが装備品の存在です。 クリーチャーを大幅に強化し、「クリーチャーが場を離れても場に残る」「クリーチャー間での移し変えができる」という特質により、場全体に多大な影響を与えつづける装備品。しかし、それもクリーチャーがあっての話。最良の受け皿たるクリーチャーを得てこそ、装備品は活かされるのです。

そうなると、「強いクリーチャーの能力」は、おのずから見えてきます。

攻撃してもタップしない

Yotian Soldier

攻撃と防御の両方を兼ねるこの能力は、単純に装備品を 2 倍使い倒すことができます。また、この能力を与える装備品は「ミラディン」には存在しないため、必然的にクリーチャーに依存する能力と言えます。《ヴァルショクの篭手/Vulshok Gauntlets》(+4/+2、通常のアンタップしない)という分かりやすいコンボも存在し、今後の戦いの軸になっていくのがこの能力でしょう。

この能力を持っているのは、《ヨーティアの兵/Yotian Soldier》3 Mana,1/4…マナコスト、サイズの順。以下同じ)のみ。《レオニンの居衛/Leonin Den-Guard》1 ManaWhite Mana,1/3,装備時さらに +1/+1)も、装備時限定とはいえこの能力を持っているので加えて良いでしょう。それだけに、この能力の重要性も分かろうというものです。特に前者は、プレリリースの上位卓で良く見られたカードの一つでした。

飛行orブロックされない

Clockwork Condor

いくら強化しようとも、チャンプブロックされてしまえば時間を稼がれてしまいます。そもそも、相手にも同様に強化されたクリーチャーがいることを考慮すべきでしょう。それだけに、戦いの軸線をずらすことは、今まで以上に重要なことといえます。 条件付きのものも含め、コモンでこの能力を持つのはアーティファクトに 2 種(1 種は起動に青マナが必要)、白に 2 種、青に 4 種、黒に 2 種。アンコモン以上を考えても、これらの色に集中しています。

しかしながら、これらの色はアーティファクトへの対応力に欠けているため、シールド戦で主に見るのは《機械仕掛けのコンドル/Clockwork Condor》4 Mana,0/0,+1/+1 カウンター 3 つ)ということになるでしょう。攻撃なりブロックなりで、この鳥を上手く活かすことが、勝利への近道となると思います。 「攻撃してもタップしない」能力とは異なり、この能力は《ニューロックの滑空翼/Neurok Hoversail》というコモンの装備品でつけることができるのですが、この装備品はパワー/タフネスを強化しないこともあり、やはり「飛行」と書いてあるクリーチャーは優秀と言えます。

プロテクション(アーティファクト)

Tel-Jilad Archers

緑の 2 枚、アンコモンを含めてもアーティファクトの 1 枚のみが持つこの能力。今まで挙げてきたものとは全く逆で、これらは装備品に全く親和性がありません。印刷されている額面通りの能力で戦わなければならないのです。 しかしながら、戦線を支えるクリーチャーの大半がアーティファクトであるこの環境において、この能力は非常に重要な意味を持ちます。いくら能力を強化しようとも除去できない限り突破できず、また任意のタイミングで確実なダメージソースとなるクリーチャーは、脅威でないわけがありません。中でも飛行をブロックできる《テル=ジラードの射手/Tel-Jilad Archers》4 ManaGreen Mana,2/4)は、緑の防御面を語る上で欠かせない存在になっていくものと思います。

逆に、今までとは価値が下がった能力もあります。その一つが畏怖/Fearで、今までは半アンブロッカブルだったのが容易に止まるようになり、大きく割引をせざるを得ません。それは黒という色の優位性が減少したことの現れでもあると言えます。

この世界の「標準」を探る

基準サイズ

さて、強いクリーチャーを考えていくと、この環境の「基準サイズ」が見えてきます。 先程の《マイアの処罰者》《ヨーティアの兵》《テル=ジラードの射手》……これらに共通するのは、「タフネス 4」という値です。他にも、1 マナ 0/4 の壁である《鋼の壁/Steel Wall》、4 マナ 1/4 でパワー増強可能な《ヘマタイトのゴーレム/Hematite Golem》などがあり、これらがアーティファクトであることを考えると、出現頻度は今までの環境よりずっと多いと思われます。 地上の戦線を語るさい、これらを突破できないことにはどうにもならないという基準になり得るのがこの「タフネス 4」という値であり、それゆえにクリーチャーの強さを考える上で基準になると考えます。つまり、単体でこれらを突破できる「パワー 4」を越えるクリーチャーは問答無用で強い、ということです。 しかしそれだけでは評価として不十分なので、コモンの装備品を踏まえて考えると、最もポピュラーになるであろう《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》(+2/+0)があれば突破可能な「パワー 2」までが及第点、と言えます。今まで以上に、大した能力のない「パワー 1」クリーチャーは出番がありそうにありません。 「自分のデッキはタフネス 4 を越えられるか」、それがデッキの強さを考える上での最低条件となるでしょう。

また、タフネスに関して言えば、「タフネス 1」クリーチャーは、1 点のダメージを与える《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》や(アンコモンですが)《花崗岩の破片/Granite Shard》が存在し、それらがどの色でも使われることを考えると、今まで以上に脆弱になっていると考えられます。 ダメージ呪文からタフネスを考えるという意味では、2 点のダメージを与える《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》(これはアーティファクトクリーチャーなら 4 点)しか存在していないため、逆に「タフネス 3 以上」はかなり除去されにくいということになります。

以上をまとめると、「1/1 は基本的にゴミ、2/2 はデッキに入る最低ライン(あんまり多くても困る)、3/3 が主戦力、4/4 以上は神(やっぱり多すぎても困る)」という感じになるでしょうか。

基準コスト

前環境では、「変異」の存在により 3 マナ圏のクリーチャーが多くなり、その結果 2 マナ圏が重宝され、逆に 4 マナ圏はやや冷遇される傾向にありました。 「ミラディン」環境においては、確かに 3 マナ圏が多いことは変わりがないのですが、それ以上に 4 マナ圏が重要になっていると考えます。これは《マイア》シリーズやアンコモンの《タリスマン》シリーズなどマナ・アーティファクトの充実により、2 マナ圏からのジャンプアップが容易になってきたことによるものです。 もちろん、それらのマナブーストが取れていないデッキではまた話が違いますが、4 マナ圏を充実させることがこれからのデッキ構築のポイントになっていくものと思います。4 マナはそんなに重くないのです。

システムクリーチャー論

Spikeshot Goblin
《火花鍛冶》の後継者

前環境では「2 ターン目に出て生きてたら勝ち」とまで言われていた《火花鍛冶/Sparksmith》ですが、「ミラディン」にもその後継者というべきクリーチャーが存在します。《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》2 ManaRed Mana,1/2)がそれです。 プレイコスト・能力の起動コストともに重くなりましたが、反動がなくなると共に、ダメージ量を規定する値がゴブリンの数から自身のパワーになったことで安定性が増し、より使いやすくなった印象を受けます。そのままだと 1 点というダメージ量には不安が残りますが、何しろここは装備品に満ちた世界です。パワーの増強などお手のものです。 間違いなく初手級であり、このクリーチャーを巡る攻防が勝敗を分けることになりそうです。

一方で、今回はアーティファクト限定の能力が多く見られます。《オーリオックの貫通者/Auriok Transfixer》White Mana,1/1,タッパー)など、それらは従来のものより軽かったり、クリーチャーとしてのスペックが高かったりします。 当初は、制限つきなので大したことはないのではないかと思っていたのですが、実はほとんど制限がないものとして扱っても良いようです。それだけ、この環境はアーティファクトに依存しているということなのです。アーティファクトに作用できる能力は、十分評価に値します。

冒頭でも触れましたが、今回はコモンに 5 種の《マイア》シリーズがあり、どの色でもマナブーストがしやすくなっています。 装備品はマナ食い虫であり、また 1 回 1 回の攻撃力が高くなりがちなこの環境にあって、展開力の差は負けに直結する要素になります。そんな中で、《マイア》シリーズはマナを生み出すだけでなく、自ら装備品をまとって攻撃することもできる貴重な存在となります。 もはやデッキに入っていないということはありえなく、何枚確保できたかが重要になるのではないでしょうか。

少数精鋭の時代を生きる

以上をまとめると、「ミラディン」環境において強いデッキというものは、以下のようなクリーチャーがふんだんに入ったデッキ、ということになります。

  • 攻撃してもタップしないクリーチャー
  • 回避能力つきクリーチャー
  • タフネス 4 以上、あるいはプロテクション(アーティファクト)のがっちりクリーチャー
  • パワー 4 以上のクリーチャー、もしくはパワー 2~3 の中堅クリーチャー
  • アーティファクトに作用できるシステムクリーチャー
  • マナブーストをする《マイア》

こうして見ると、「当然」と言われるような結果が並んでいるのですが、改めて確認するということも必要なのではないかと思います。 先に申し上げました通り、装備品の存在によりデッキに入るクリーチャーの数は少なくなる傾向にあります。それだけに、質の高いクリーチャー選択をしたいものです。

次回は、今回少し触れた装備品と、加えてノンクリーチャー・パーマネントの考察をしたいと思います。 今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。

yossy54-lj@infoseek.jp

Tags: Strategy
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記事へのツッコミ(2) [ツッコミを入れる]
_ アス 2003/09/26 21:17

考察お疲れさまです。<br>楽しく拝見させていただきました。<br>これからもぜひ頑張って下さいね。期待しています。<br><br>さて、実は僕もミラディンプレリリースへ参加しまして、そのとき感じたことで今回の考察と異なる部分が1ヵ所だけありました。<br>それは、「プロテクション(アーティファクト)は強い」という部分です。<br>確かに、テル=ジラードの射手は強いです。これは文句のつけようがありません。<br>ただ、テル=ジラードに選ばれし者(1G 2/1 P銀)はデッキに入れましたがほとんど活躍しなかったです。<br>いくらこの環境がアーティファクトだらけ、といっても相手のデッキには普通のクリーチャーも入っています。それらを前にしてこの強化できない2/1クリーチャーはあまりに頼りなく、2マナという軽さを生かしてのビートダウンというのも、後続が続かず戦略的に無理があるように思います。<br>というわけで、僕はプロテクション(アーティファクト)が強い、という1点のみに反論したいと思います。

_ yossy 2003/09/26 21:49

>アスさん<br>早速のご感想ありがとうございます。<br>《テル=ジラードに選ばれし者/Tel-Jilad Chosen》に関してですが、確かにおっしゃる通り、《テル=ジラードの射手/Tel-Jilad Archers》と比べ、やはりその脆弱さが目立ってしまうようです。これは、やはり「プロテクション(アーティファクト)」という能力の防御的な性格によるものだと考えています。<br>私自身、まだまだ分かっていないことも多く、これから手探りで進んでいくような状態です。ご指摘感謝致します。


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