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「ミラディン」世界への船出 ~7章 漆黒の脅威を学ぶ

2004/02/05 17:15更新

「ミラディン」世界への船出 ~7章 漆黒の脅威を学ぶ

Written by 吉川祐輔
http://d.hatena.ne.jp/yossy54/

日に日に寒くなり、「もうすぐ Finals か」と思う今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は黒にスポットライトを当ててみたいと思います。

デッキの方向性

長所

打撃力に富む。非アーティファクトクリーチャーへの除去が多くかつ軽い。アーティファクトへの親和性が高い(依存性も高い)。

短所

環境の大半を占めるアーティファクトに干渉できない(特に、コモンではアーティファクトクリーチャーへの対処も難しい)。クリーチャーの足元が弱く、《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》で完封されかねない。全体的に質の高いカードが少ない。

「アーティファクトが割れない、触れない」という弱点。黒という色の性質として、それは致し方ないものだったのですが、今環境においてはそれが致命的な弱点になってしまっています。その上、そもそもデッキに入るカードが少ないのでは、最弱色とされてしまうのも致し方ないところです。

そんな不人気の黒ですが、言い換えれば競争相手が少ないということでもあります。上手く立ち回れば、今回唯一のコモン X 火力である《魂の消耗/Consume Spirit》などの強力カードを独占したデッキを構築することも可能です。つまり、黒に必要なのは、強いカードの見極めと周りの動向の把握、ということになります。逆に言うと、黒には《強奪する悪魔/Reiver Demon》《力の確約/Promise of Power》などの強力レアカードもありますが、これらに過度にこだわっているようでは勝利は望めません。時としてこれを捨てる勇気も必要でしょう。

黒の特性としては、《屍賊/Nim》シリーズなどに代表されるようにアーティファクトがそのまま戦力となる点が挙げられます。それゆえ、《ヨーティアの兵/Yotian Soldier》《先陣のマイア/Alpha Myr》、各種マナマイアなどの重要度は高くなります。それらの枚数も、黒へ進むかどうかの判断基準となります。

色の組み合わせとしては、青・赤に良く合う一方で、白はあまり良くなく、緑は最悪と言わざるを得ません。それはひとえに、黒の持つアーティファクトへの依存性によるものです。つまり、もともとアーティファクトと相性の良い色は合うが、そうでない色は合わないということです。白に合わないのは、色マナ拘束がともに厳しすぎることが理由になります。

いずれにせよ、8 人ドラフトでは定員が 2 人以上になることはありません。一か八か、慎重かつ大胆な決断が要求される、難しい色であることは間違いないでしょう。

ピックアップカード

コモン 《浴びせかけ/Irradiate》《魂の消耗/Consume Spirit》

Consume Spirit
期待値を高めるようなデッキを

これらのカードは強力です。《浴びせかけ》は多少重いながらも有効な除去兼トリックカードですし、《魂の消耗》はこの環境唯一のコモン X 火力です。しかしながら、その運用には条件が付きまといます。

一見、特に関係のない 2 枚を並べたようですが、私がこの二つに共通して主張したいのは、質の高い黒デッキを目指すためには、これらのスペルが有効に機能しなければならないということです。これらが満たされるためには、周りの状況の見極めが必須となる上、ある程度の幸運も見込まなければいけません。しかし、それが成された時、黒の真価が発揮されるのだと思います。

つまり、相当数のアーティファクトが含まれ、かつ黒単色もしくはそれに近い構成のデッキが、黒の最終形なのです。

アンコモン 《血のやりとり/Barter in Blood》

Barter in Blood
強力だが、過信は禁物

効果は 2 倍、コストは 4 倍の《無垢の血/Innocent Blood》。そう聞くと弱そうな気がしますが、このカードはそれに留まらない可能性を持っていると言えます。

それというのも、このカードは展開次第では 1 対 2 交換を取ることが可能だからで、これを意識した相手の展開を遅らせる効果もあります。どう頑張っても 1 対 1、しかもたいした効果が望めなかった《無垢の血》とはこの点で大きく異なります。

しかし、最大効果を望んで自らの展開を抑制するのは、時折リスクが伴います。実際、PT アムステルダム大阪予選において、私の対戦相手がこの最大効果を狙ってマナマイアを出し惜しみしたばかりに展開が遅れ、結果敗北したという例もあります。また、マナマイアが多いこの環境においては、狙ったクリーチャーを除去するのはあまり容易なことではありません。

使い手に決断と妥協を要求するこのカード。上手く使いこなしていきたいものです。

レア 《力の確約/Promise of Power》

Promise of Power
トークン出してる場合じゃないよ

1 枚でゲームを決めるカードはそう多くありません。その中にあって、このカードはそれに該当するものです。

その理由はやはり「5 枚のカードが引ける」こと、単純計算で 1 対 5 の交換ができてしまうことです。なかなか一対多交換が出来ないこの環境にあって、この差は恐るべきものです。これは極端な言い換えをすれば「相手に 5 体のクリーチャーがいる状況での《神の怒り/Wrath of God》」なわけで、その前には 5 点のライフなど惜しくもないでしょう。そういった意味ではスカージの《流れ込む知識/Rush of Knowledge》に似ていますが、この環境は膠着しやすくカードアドバンテージも取りにくいため、相対的な価値は上昇しています。

デーモン・トークンを生成する機能はおまけのようなもので、双呪でプレイするか、よっぽどライフやブロッカーに困窮していない限り、考慮すべきではありません。このカードは一対多交換こそが強みなのであり、トークン生成で使えばそれは大抵の場合 1 対 1 にしかならないのですから。

コストに黒マナが 3 つ含まれている点から、このカードも黒の濃い構成を要求します。このカードを取ること、このカードを流すことはそれなりのリスクを背負うことになります。そのことを頭に入れて、ドラフティングを進めていきたいものです。

特に親和性の高いアーティファクト 《金屑ワームの鎧/Slagwurm Armor》

Slagwurm Armor
安いからこそ

《屍賊/Nim》シリーズのクリーチャーはいずれも高い打撃力を誇り、黒系デッキの主戦力を担ってくれます。しかし、タフネス 1 がどうしてもネックになり、《ヴィリジアンの長弓》や素の状態の《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》に完封されてしまう恐れがあります。

その欠点を補うのが、この《金屑ワームの鎧/Slagwurm Armor》と考えます。装備コストこそ 3 マナと重いですが、プレイコストが軽く、《屍賊/Nim》シリーズをお手軽に強化します。また、これ単体でも黒に欠けた防御力を補うことができるため、場面を選びません。

《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》があれば当然そちらを優先するでしょうが、黒の場合、「タフネスの上がる装備品」は他の色に比べ重要度が高くなるものと思います。

しかしながら、反論もあります。先週末に行われた GP イエテボリにおいて、かの Kai Budde は黒赤デッキを構築したのですが、彼はこのカードより 18 枚目の土地(マナマイアがなし、《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》 1 枚なので 19 枚目のマナソース)を優先していました。私が思っているのとは別のストラテジーがあるのかもしれません。

デッキ例

Black - Komuro Shu / GPT-Shizuoka Chiba *Champion*
 1  大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault
 1  モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger
 1  屍賊のシャンブラー/Nim Shambler
 1  屍賊の金切り魔/Nim Shrieker
 1  強奪する悪魔/Reiver Demon
 1  流血スリス/Slith Bloodletter
 1  ボトルのノーム/Bottle Gnomes
 1  銅のマイア/Copper Myr
 1  金属ガエル/Frogmite
 1  マイアの処罰者/Myr Enforcer
 1  屍賊の模造品/Nim Replica
 2  ピューターのゴーレム/Pewter Golem

13 Creatures 2 魂の消耗/Consume Spirit 2 浴びせかけ/Irradiate 2 恐怖/Terror 1 骨断ちの矛槍/Bonesplitter 1 氷の干渉器/Icy Manipulator 1 迷惑エンジン/Nuisance Engine 1 耽溺のタリスマン/Talisman of Indulgence 1 団結のタリスマン/Talisman of Unity
11 Spells 16 沼/Swamp
16 Land 40 Total Cards
 1  武装解除/Disarm
 1  ルーメングリッドの管理人/Lumengrid Warden
 1  踏みにじり/Override
 1  煙突のインプ/Chimney Imp
 1  ドロスの収穫者/Dross Harvester
 2  ドロスをうろつくもの/Dross Prowler
 1  屍賊の嘆き/Wail of the Nim
 1  金床の拳/Fists of the Anvil
 1  クラーク族のシャーマン/Krark-Clan Shaman
 1  エルフの模造品/Elf Replica
 1  ゴーレム皮の篭手/Golem-Skin Gauntlets
 1  レオニンの刃罠/Leonin Bladetrap
 1  活生の呪文爆弾/Lifespark Spellbomb
 1  マラカイトのゴーレム/Malachite Golem
 1  屍気の呪文爆弾/Necrogen Spellbomb
 1  ニューロックの滑空翼/Neurok Hoversail
 1  鋼の壁/Steel Wall
 1  ヴォラックの戦角/Vorrac Battlehorns

19 Sideboard Cards

まとめ取りしてこそ黒は活きる。それを突き詰めるなら、目指す形は黒単となることは自明の理でしょう。ですが、いくら不人気色とはいえ、単色化を成功させることは容易ではありませんし、状況の助けを必要とします。今回は、それが成功した例を紹介したいと思います。

上に挙げたデッキは、11 月 2 日の GP 静岡トライアル千葉大会で小室修さんがドラフトしたものです。ご本人の日記でも振り返られていますが、デッキのカードが上手く噛み合いあってまとまりの良いデッキになっています。

2 枚ずつ(!)の《恐怖/Terror》《浴びせかけ》《魂の消耗》が光りますが、地味なところでは 3 枚のマナサポート、守りを支える《迷惑エンジン/Nuisance Engine》、そしてその《迷惑エンジン》と噛み合って瞬殺も期待できる《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》なども見逃せません。《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》は多少力弱いですが、決定力に富んだこのデッキならそれほど気にならないでしょう。

黒デッキにおいては、下手に装備品を優先するよりも、戦線を支えられるアーティファクトを取っていった方が良い結果が出るのかもしれません。

まとめ

黒は難しい色です。自分が上手く立ち回っても、周囲の選択ミスで台無しになってしまうこともしばしばです。しかし、それだけのリスクを負って成功した時には、素晴らしい結果が出せる色だとも思っています。

次回は、強力カードを擁する最強色候補、赤に迫ってみたいと思います。

今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。

Tags: Strategy
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記事へのツッコミ(3) [ツッコミを入れる]
_ 名無し 2003/11/27 18:56

黒の定員は3人以上はきついですけど、2人はまだ許容範囲内なのでは?

_ yossy 2003/11/28 00:56

>黒の定員<br>おっしゃる通り、「2人以上」→「3人以上」の誤りです。意図の伝わらない文章になり申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。

_ 2004/02/05 17:15

白黒でも案外いけると思いますが・・・


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