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悪漢について 二、三

2004/01/15 11:14更新

悪漢について 二、三

Written by 奥元

(筆者より)

所謂怪しげな伝聞情報は採用しておりません。

また、本記事の意図は毀貶ではなく、イカサマを推奨するものでもないことを改めて明言しておきます。

マイク・ロング

Mike Long

話すべきは多すぎるほどだが、書けるスペースは少なすぎる。Budde と Finkel がゲームの最も偉大なプレーヤーである一方、他の誰よりもマイク・ロングが論争、憶測、討論、侮辱、パラノイア、議論、当惑と驚きをプロツアーをめぐる物語に付け加えてきた。

「私は、自分がマジックのマイケル・ジョーダンだと思っている」ロングは1998年のアメリカ選手権のビデオの中でそう言っている。'His Airness'(ジョーダンのこと)がコート上でそうしていたように、ロングが、ゲームを圧倒的に支配していたかというと、そうではない。しかし、確かにニュースの見出しの上では(ジョーダンのように)大きな存在だった。

歴史におけるロングというのは、噂話のような憶測の中にある。

「偉大なプレイヤー?」

「はい」

「イカサマは?」

「多分」

「悪党なのか?」

「全くそのとおり」

カタベラス・ブルーム(プロス・ブルーム)デッキとロングというように、インビテーショナルの賞品のカードというのはそのプレイヤーと同義語で切っても切れない関係がある。そして、それは彼のレガシーでもある。

たびたび灰色の存在と見なされていたが、逆にめったに捕まることはなかった。マイクはマジックの最初期から最大のストーリーラインを作り出してきたし、その頂点でプレイして来た。彼はプロツアー・パリで優勝した。彼は3回アメリカ代表チーム入りを果たしたし、他に2回アメリカ選手権の決勝ラウンドに進んだ。彼はプロツアーで多数のトップ8入りとトップ16入りを果たしたし、インビテーショナルで優勝した。

マイクは新しいフォーマットの焦点を見抜いて、人よりも早く、そこから最高の成果を得るにはどうすればいいのかという答を出せるだけの上手さがある。また同時に、常にスポットライトの当たる場所に戻ってくる方法を見つけだして、それをやってのける大家でもあるように見える。それらの要因が、その比類なき勝利への意志とともに、彼をこの位置に導いた。

Braingeyser / Wise Words - Best of the Best より)

私は世に言う悪漢が好きだ。特にマイク・ロングが大のお気に入りである。ゲイリー・ワイズの言は実に的を射ているのではないか。もっとも私とゲイリーとでは、まったく意見は合わないだろうが。

かつて何をとち狂ったか冬の東北に私は行った。当然のように記録的な豪雪に襲われた GP 仙台。私の心を捉えたのがマイク・ロングであった。

彼はその時、改良型のミラクルグロウを使用していた。当然のようにベスト 8 に入り、そして事故。私は我が事のように悔しがった。

その冬の世界には、クリス・ベナフェルも来ていた。こちらも、ヒールと称される男だ。だが、私は彼の方には魅力を感じなかった。何故か? 彼がクレーマーだったからである。では、ライアン・フューラーはどうだろう。彼も今ひとつな気がする。多分、遙か昔の GP 京都で知人が当たったときの感想をつぶさに語ってくれたせいもあるのだろう。その様はクリス・ベナフェルと似たり寄ったりであった。両者とも強いのは確かだ。だが華が感じられなかったのだ。

クリス・ベナフェル

その男が賢い(狡い)ということについて意見を言うことは出来るが、事実は事実として認めなくてはならない。クリスは生涯獲得賞金額のトップ5に入っている。そのいくらかは、彼の「技能」(訳注:後述)への異常なまでの執着によるものだろう。彼はゲームのためならば、誰よりも-シュヴァルツマンという名前の人間を除けばだが-長距離の旅行も厭わないことからも明らかである。

クリスはわずか3年に満たない期間で、結局のところ、物質的な意味でのトップ5になった。しかし、しかし彼がプロツアーを勝ち取るまで、そのメジャーでの1勝の不足が、彼を本当のトップ5入りはさせないだろう。

Braingeyser / Wise Words - Best of the Best より)

ライアン・フューラー

諸説はあるだろうが、一世を風靡したプレイヤーなのは間違いない。 何と言っても記憶されるべき記録は、史上最高レベルのトーナメントで 30 連勝したことだろう。

GP プラハでは優勝。次にマスターズ東京ゲートウェイ予選を抜けた。次にプロツアー東京(インベイジョンブロック限定構築)に出場、予選ラウンドを 14 連勝。続いてマスターズ東京(チームロチェスター)に優勝した。

その年 DCI に出場停止処分を受ける直前、マスターズを制したのも痛快と言えば痛快な話。

最近こそ話題にはなっていないが、プロツアーの名物男であることは確かだ。

出場停止などについて本人の弁は以下を参照のこと。

Interview with Ryan Fuller : http://members.at.infoseek.co.jp/braingeyser/02/1128b.html


マイク・ロングは一種の美学を持っている。これはもちろん当人に聞いたものでもなければ、風の噂に聞いたものでもない。後の GP 福岡で再び彼をかいま見て、私がその思いを募らせただけだ。マイク・ロングは確かにサマを使う。それは間違いない。だが彼は滅多に捕まらず、DCI の処分に抗議する事もない。いわゆる玄人としての誇りが彼をそうさせるのか。推測するしかないが、そう思ってみたい気がする。

もちろんそれだけのプレイヤーではない。そのことは、プロツアーでの活躍が雄弁に物語っている。まさか本戦をサマだけで勝てるほど甘いと思っている人はいまい。

そう言えば 2001 年の日本選手権、松尾悟郎に優勝デッキを提供したのも、またマイク・ロングだった。


Form of the Dragon

彼のプレイは聞くたびに惚れ惚れする。去年のそれは、リミテッドで今にもプレイされようとしていた《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を引っ込めさせるというものだ。

手札から出され、《ドラゴン変化》がキャストされようとする、まさにその時、ロングはこう言った。

「ちょっと待ってくれ……ターン終了時に君が《炎波の発動者/Flamewave Invoker》を起動するから……云々」

そしてとどめの一言。

「……で?」

対戦相手は《炎波の発動者》をターン終了時に起動することを選択。マイク・ロングはターン終了時に《締めつける綱/Choking Tethers》をキャスト、そのゲームに勝利した。


Kaervek's Spite

スーパープレイはこれだけではない。古くはミラージュ・ブロック時代においても記憶されるべきプレイをやってのけている。

とあるプロツアー、彼は《ケアヴェクの悪意/Kaervek's Spite》を引いた。これが通れば勝ちという状況だ。だが対戦相手は《記憶の欠落/Memory Lapse》をドラフトしている。打っても通らねば負けは確定だ。彼は躊躇せず相手にターンを返し……戻ってきた自ターン、黒 6 マナを出し、ドローにレスポンス(註・当時は 5 版ルール下)して《ケアヴェクの悪意》を打った。詰みだ。そう言わんばかりに。


もちろんイカサマは重罪である。《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》を折る、ジャッジに虚偽申告する、トーナメントを偽造する、マッチの買収……すべてこのゲームの根幹を揺るがすことである。本来あっていいことでは、ない。

だが、全て紳士が行うこのゲームよりは、マイク・ロングの様なプレイヤーも居続けるゲームであって欲しい。ジャッジの目をくぐり抜け、かつサマに溺れないプレイヤーに居続けて欲しい。それは取りも直さず、このゲームの包容力をも示すことになるだろうから。

Fact or Fiction

第一ほんとにイカサマを無くしたいなら、紙でゲームをやる必要はまったくない。

例えば将棋。故小池重明*1、「東海の鬼」こと故花村元司九段*2、故升田幸三*3、先崎学八段*4……イカサマとは違うが、異色の人物は見ていて断然、面白い。もちろん好みの問題もあるだろうが。

ある意味一匹狼のような役目を、マイク・ロングなら背負っていけるのではないだろうか。

少なくとも私はそう思っている。チーム間での競争が当り前となった今、これは貴重なことではないか。

Tags: Casual

*1 新宿の殺し屋との異名を取った棋士。団鬼六著「真剣師小池重明」などに詳しい。真剣師とは賭け将棋を生業とする者のことで、八十年代まで実在したとされる。

*2 元真剣師。特例で奨励会を飛ばし、五段からのスタートとなった異色棋士。東海の鬼と言えば彼のことを指す。ずいぶん前に亡くなったが、今でも慕うファンは数多い。

*3 名人への「ゴミ」発言、日本刀を持っての対局場乗り込み、対局拒否など、その人生は型破りなものだった。東公平「升田幸三物語」に詳しい。彼もまた根強い人気を誇る棋士である。

*4 破天荒の言葉がよく似合う棋士。著書に「先崎学の浮いたり沈んだり」「小博打のススメ」などがある。現在週刊文春でもコラムを担当。ちなみに氏の揮毫は天衣無縫とか。いかにも。

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記事へのツッコミ(5) [ツッコミを入れる]
_ 奈々氏 2004/01/13 20:25

蓄積した知識のマークドで処分をもらったのは<br>マイクロングではなくてデイビッドウイリアムズだったと思うのですが。

_ akazuki 2004/01/14 00:07

蓄積した知識のマークドをロングがやったとは<br>どこにも書かれていない。<br>ただこれまでのイカサマを挙げてみただけだと思う。

_ タイ屋 2004/01/14 12:37

ただし、この書き方ではロングがやったと受け止められても仕方がないと思う。>イカサマ例<br>なお、マイク・ロングは紛れもなく今日のチーム時代の礎を築いた人物の一人ではある。PCLが文字通りの伝説だとするならば、トンゴ・ネイションとデッドガイの抗争が歴史の始まりになる。トンゴのチーム内役割分担やスポンサー契約や「グレイヴィ組の背後にPTには出場してない無数のテストプレイヤーが控えている」が後世に与えた影響は計り知れない。<br>それから、「ほんとにイカサマを無くしたいなら、紙でゲームをやる必要はまったくない」=イカサマを存在させるために紙でゲームをやっている、などと書くのは止めてもらいたい、ジャッジとしては。少なくとも、「怪しげな伝聞情報は採用しておりません」と前置きした文章で書いていいとは思えない(それとも本当にDCIはイカサマを存続させるために紙でマジックやっているという確実な情報を持っているのだろうか)。<br>あと、引用されてる部分は自分が訳した文章だが、(Braingeyserに掲載されている分には平気なので変な話だけれども)今見直すと訳が下手すぎて読むのは拷問に近いので何とかしてほしい。

_ ヴィルトゥ 2004/01/14 12:48

将棋指しとしては、彼らをマイクロングと比較して欲しくない。彼らは将棋に関してはすごく誠実です。むしろベビーフェイス系。マイクロングはマジックに対して誠実さが感じられない。

_ 2004/01/15 11:14

ヤツとマネドラしたけど面白いヤツだったよ。<br>「お前のデッキに決勝でやられたんだ」って言ったら喜んでた


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