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スタンダードやってる? 第11回

2004/07/13 08:45更新

スタンダードやってる? 第11回

Written by 平林和哉

デッキを調整する、実際に使うデッキを選択する過程において大切なことの一つ――それは仮想敵を定めて一般的なレシピを作るということです。もっともわかりやすく最強のデッキが存在するならば選択の余地はありませんが、そういう環境なら結局過度な対策がされてしまうため、ことは簡単に運びません。

この場合に必要なのは手を広げすぎないこと。当たり運の要素があるとはいえ、主要なデッキに勝つことが至上命題なわけですからね。あとはその仮想敵たるレシピをいかに客観的に作れるか。つまり自分の使うデッキ以外のデッキに関しても充分な理解は必要です。 今年の日本選手権の場合はどうだったかというと、やはり親和、ゴブリン、それ以外を想定していました。

エルフ&ネイル-第 3 勢力

もともと親和とゴブリンに次ぐ勢力としては白コントロール系か、もしくはウルザトロンやノントロンを考えていたのですが、突然現れたデッキがその地位を確立してしまいました。それがドイツ選手権で猛威を振るったエルフ&ネイルです。

MO 上でかなりの人気を見せたこのデッキは、たいていの新しいデッキが見せるようにファンデッキのように見えつつもかなりのデッキパワーを秘めていました。特に《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote》《ウッド・エルフ/Wood Elves》《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》エンジンはともかくとして、《歯と爪/Tooth and Nail》からの選択肢に《クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa》《トリスケリオン/Triskelion》というコンボを追加したのは白眉です。一見すると安直なコンボではありますが、一度に土地 3 枚が取り上げられてしまえば遅めのデッキはたまったものではありません。またある種異常にマナが出るこのデッキにおいては《クローサの拳カマール》単体も恐るべき存在だったりも。マナさえあればおもしろいぐらいにオーバーキルできると同時に、全体除去に対する効果的なプレッシャーなわけですから。

Burning Elf and Nail - Tristan Gally
 4  極楽鳥/Birds of Paradise
 4  ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote
 4  ウッド・エルフ/Wood Elves
 4  ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman
 1  クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa
 3  ぶどう棚/Vine Trellis
 1  映し身人形/Duplicant
 1  ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus

22 Creatures 4 紅蓮地獄/Pyroclasm 4 歯と爪/Tooth and Nail 4 花盛りの春/Vernal Bloom 4 頭蓋骨絞め/Skullclamp
16 Spells 17 森/Forest 1 山/Mountain 4 樹木茂る山麓/Wooded Foothills
22 Land 60 Total Cards
 1  ゴブリンの紅蓮術士/Goblin Pyromancer
 3  ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter
 4  酸化/Oxidize
 4  精神隷属器/Mindslaver
 1  映し身人形/Duplicant
 2  隔離するタイタン/Sundering Titan

15 Sideboard Cards

これはグランプリブリュッセルで初日全勝したレシピです。実はトップ 8 に残ってなかったりするわけですが、最近気になって最終成績を見てみると――二日目怒涛の 6 連敗。……見なかったことに。

さて単純に親和、ゴブリン、エルフ&ネイルと並べてみると、一番自分の好みに合っていたのはエルフ&ネイルだったりします。なにより《極楽鳥/Birds of Paradise》は結構使っていたカードですし、アグロに動けつつコントロールとコンボの両面を併せ持つこのデッキはギミック満載。メタ内のデッキを使うとしたらこれかな?と思って MO で何日か回しました。いちおうは親和>ゴブリン>エルフ&ネイル>親和……という相性差を考えていたので、さすがに親和のほうがゴブリンより多いはずだし、《花盛りの春/Vernal Bloom》さえ引ければゴブリンにも勝てるかなと。

Pyroclasm

しかし現実はそんなに都合がいいものではありませんでした。まずメインの《紅蓮地獄/Pyroclasm》が思ったように機能しない。たしかにゴブリンがとにかく多かったグランプリブリュッセルではいい選択肢だったのかもしれませんが……。

エルフ&ネイル側の《極楽鳥》《ワイアウッドの共生虫》を流してしまう危険性もはらんでいますし、ゴブリン以外のクリーチャーデッキである親和に対しては《紅蓮地獄》の効果はいまいちです。

リセット系スペルと言えばパーミッションの《神の怒り/Wrath of God》のように、自身がリスクを負わない形が一般的な使われ方です。例外的なものといえばマルカデスの《破滅的な行為/Pernicious Deed》がありますが、これは《花の壁/Wall of Blossoms》《ヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elder》があるため実質的なデメリットは《極楽鳥》ぐらい。その《極楽鳥》も今なら《陰謀団式療法/Cabal Therapy》の餌にすることもできる。だからこそクリーチャーを展開しながらリセットする、という矛盾が成立しています。

エルフ&ネイルにとっては《頭蓋骨絞め/Skullclamp》。たしかにこれがあれば《紅蓮地獄》がもたらすディスアドバンテージの可能性なんて気になりません。しかしその前に《頭蓋骨絞め》が効率良く回せているなら、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》などが登場する前に《頭蓋骨絞め》が活用できているなら、《紅蓮地獄》云々を抜きにしてそうとう有利になっているはずです。また《破滅的な行為》と違って《紅蓮地獄》は汎用性が低いカードですから、これまた《頭蓋骨絞め》を使っていないかぎりは単純なカードカウントで損をしてしまうことも。

《紅蓮地獄》関連で話が長くなりました。結論としては《紅蓮地獄》メインはないかなと思ったわけです。じゃあ普通のバージョンだったら?と言うことになりますが、結局親和に対してそんなに勝率を残せない点から諦めました。そもそも調整当初から高桑にエルフ&ネイルと親和は《酸化/Oxidize》入れないと結構いい勝負だよと言われてましたし、また《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》というサイドボードカードが親和に出てきてしまっては。それに肝心の親和に勝ちきれないのに、ゴブリンにはやっぱり不利というのも困ります。ゴブリンが《火花鍛冶/Sparksmith》《ゴブリンの名手》フル搭載なのも大問題。

まあ一番ダメだと思った理由は、《頭蓋骨絞め》に高度に依存していることなんですけどね。他のデッキに比べると、《頭蓋骨絞め》を引いているときの展開と引いていないときの展開が違いすぎます。それに《減衰のマトリックス/Damping Matrix》を割ることはできますが、環境的に《酸化》が溢れてて《頭蓋骨絞め》は狙い撃たれやすい。《頭蓋骨絞め》が無くなってしまえば、他にドローカードがないわけですから苦しいのも当たり前ですが。

Triskelion

ただエルフ&ネイルはそれでも結果を残しました。今年のアメリカ選手権を制したのはエルフ&ネイルです。勝因はメタられにくさだったのかなと。メイン《機械の行進/March of the Machines》《銀騎士/Silver Knight》《清純な天使/Pristine Angel》《崇拝/Worship》など、親和とゴブリンをテロる方法はありふれてますが、エルフ&ネイルをピンポイントに殺すカードを使えるデッキはゴブリンぐらい。また《トリスケリオン》を多めに使っているというのも特筆すべき点。厄介者の《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》、それにサイドから入れられる《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》、マナさえある程度あれば天敵《ゴブリンの名手》も処理できる《トリスケリオン》、実はエルフ&ネイルの MVP だったのかもしれません。

ゴブリン-絞めを外すという選択

さて若干時間軸が戻ります。ゴブリンは親和に次ぐ 2 番目の勢力として認知されていました。しかし親和の勢いに押されていた時期も長く、自分で使おうとはあまり思っていませんでした。そもそもゴブリンのようなビートダウンはあまり得意じゃないってこともあります。選り好みは良くないんですけどね。あ、ゴブバンテージは例外ということで。あれは単純なビートダウンデッキじゃないですから。

ともあれ当時はゴブリンと言えば《頭蓋骨絞め》で絞めて《総帥の召集/Patriarch's Bidding》、なんて感じだったわけで、それがどうにもテンポ悪い感じで手になじみません。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》でチャンプしつつ《総帥の召集》。親和に対する作戦としては悪くないのですが、なんだかなあと。

ところが「ゴブリンって結構いいデッキじゃん!」と感じさせてくれたデッキがありました。

Mono Red Goblin - Anton Jonsson
 4  ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder
 4  スカークの探鉱者/Skirk Prospector
 2  火花鍛冶/Sparksmith
 4  ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver
 4  ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter
 3  宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator
 4  ゴブリンの戦長/Goblin Warchief
 3  つつき這い虫/Clickslither
 4  包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander

32 Creatures 4 金属モックス/Chrome Mox 4 頭蓋骨絞め/Skullclamp
8 Spells 12 山/Mountain 4 大焼炉/Great Furnace 4 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus
20 Land 60 Total Cards
 2  静電気の稲妻/Electrostatic Bolt
 3  粉砕/Shatter
 4  溶鉄の雨/Molten Rain
 2  火花鍛冶/Sparksmith
 1  宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator
 3  炉のドラゴン/Furnace Dragon

15 Sideboard Cards

スウェーデン選手権 2 位となった Anton Jonsson のゴブリンです。いや、実に普通のゴブリンですよ。ただその普通が良かったんです。親和には《総帥の召集》しないと勝てないもんだと思ってたら、あんまり見なくなったと思ってた《つつき這い虫/Clickslither》が結構やり手でびっくり。というより親和に対しては《頭蓋骨絞め》で引きまくることにこだわるよりも、攻めたほうがいいことも多いなと。そりゃそうですよね。1 マナゴブリンを引かないとどうしたって《頭蓋骨絞め》を回す効率が悪いわけですから。

ゴブリンで親和に勝つには《総帥の召集》がないほうが良さそうだ。そう考えていました。それでも親和には相性がいいとは言えないものの、ゴブリンはメタ上に存在するデッキに対してはほとんど有利なデッキです。親和以外には。だからゴブリンの存在意義は充分すぎますが、それでも仮にゴブリンを選択するとなるととにかく親和が問題になります。このゴブリンのように《炉のドラゴン/Furnace Dragon》をサイドに入れてあったりもするものの、とても安定はしていない。アーティファクトの量が少ないのは仕方のないことだし、かといって《煮えたぎる歌/Seething Song》を入れるとメインが不安定になってしまう。サイドに入れるとしても、《減衰のマトリックス》対策まで考えればアーティファクト破壊も必要だし。

Clickslither

と思ったらグランプリブリュッセルでわかりやすいゴブリンが登場してきました。《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》に加えて《酸化》を標準装備したタッチ緑。サイドボードからは《帰化/Naturalize》も投入と親和を目の敵にしたチューンです。さらにはメインから《頭蓋骨絞め》を抜く!? 今にしてみればメインは《頭蓋骨絞め》抜き、サイドボードから《頭蓋骨絞め》という戦略は知られているわけですが、当時はクリーチャーデッキ=《頭蓋骨絞め》《頭蓋骨絞め》の入っていないデッキはヘビーコントロール以外にはいないと言っても良かった状況だけに目新しいものでした。結局《頭蓋骨絞め》の入っていないゴブリンはトップ 8 で討ち死に、決勝は親和のミラーマッチとなったわけですが……この結果はゴブリンに大きな影響を与えました。

もちろん私が仮想敵として用意したゴブリンもこの赤緑ゴブリン。ただ最初は《酸化》はサイドでしたけどね。これは MO でなかよくなったイタリア人(本人曰くプロツアーにも何回か出ているらしい。いちおう選手権のカバレージではフィーチャーされてた模様)にたしなめられてメインに戻しました。そのころは親和を中心に調整を進めていたとはいえ親和を使うと決めきっていたわけではなかったのですが、親和づいてたイタリア人が「こんなに強い親和なんだからみんなきちっと対策してくるだろ!」とおっしゃるのでなるほどと。というより《酸化》が無駄になるマッチアップがほとんどなくなっていたというのがほんとのところですが。結局ウルザトロンは生き残れませんでしたし。

あと「《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》はサイドで間違いない!」とも断言されました。親和とゴブリン相手にサイドアウトするカードなら、マッチアップのかなりの割合でサイドアウトするわけだから、だったら最初からサイドボードにしておけと。《ゴブリンの群衆追い》抜きにクロックが機能するかが不安だったのですが、まあこれも結局《つつき這い虫》のおかげでなんとかなったみたいです。

(文中敬称略)

Tags: Strategy
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