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スタンダードやってる? 第12回
国内のイベントで言えば《頭蓋骨絞め/Skullclamp》の見納めとなった日本選手権。次週に行われたアメリカ選手権を最後に《頭蓋骨絞め》は禁止となり、その姿を見ることはほとんどなくなりました。とはいえこの《頭蓋骨絞め》、エクステンデッドでは普通に現役。ダークスティール以降がリーガルとなってから、エクステンデッドのプレミアイベントがまだないのでその真価はわかりませんが、ふたたび表舞台に出てくることは間違いないでしょう(11 月に行われるプロツアーコロンバスがエクステンデッド)。
ということで日本選手権編ラスト。もう一月以上前の話になってしまい役に立ちそうもありませんが、ともあれこれで最後です。最終的に使うことに決めた親和と、RDW が選手権での形になっていく過程の 2 本立てでお送りします。
親和−原点回帰
曰く環境最強のデッキ。その強さのあまり、《酸化/Oxidize》《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》を連打されたり、《炉のドラゴン/Furnace Dragon》で一人《抹消》を食らってみたり、はたまた《機械の行進/March of the Machines》でマナロックされてみたり。対策方法も容易なため、目の敵にされるのはトーナメントの前から一目瞭然。どんなデッキを使おうとも避けては通れない相手です。
当初は使うつもりだったわけでもなく、ただ単に環境最強と言われるデッキを知るために調整していたわけなのですが、結局選手権の一週間前には親和を使うことになっていました。それはもちろんいかに対策されようと、親和が最強である、という事実を動かせなかったからです(調整段階での話です。実際に勝ったのはゴブリン−日本選手権、エルフ&ネイル−アメリカ選手権)。
| My Affinity - Gure Pigumon | |
|---|---|
4 大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault 4 電結の働き手/Arcbound Worker 4 電結の荒廃者/Arcbound Ravager 4 金属ガエル/Frogmite 4 マイアの処罰者/Myr Enforcer |
4 厳粛な空護り/Somber Hoverguard 1 爆片破/Shrapnel Blast 3 煮えたぎる歌/Seething Song 3 紅蓮地獄/Pyroclasm 4 炉のドラゴン/Furnace Dragon |
私が親和を選ぶことにした理由はいたってシンプルなものです。いろいろありますが、手っ取り早く言ってしまうと、
「2 ターン目に《金属ガエル/Frogmite》 2 体出されると、どのデッキを使っててもげんなりする」
ということになります。しかもこの条件は思ったより簡単ですよね。他のデッキを使っていてちょっとでも遅いスタートを切ってしまうと、常にこの手の展開を恐れずにはいられません。ましてや親和のトップスピードは言い出したらきりがないほどパターンも豊富。
- 1 ターン目《電結の働き手/Arcbound Worker》、2 ターン目《頭蓋骨絞め》《金属ガエル》、《電結の働き手》に《頭蓋骨絞め》装備
- 1 ターン目 1 マナアーティファクト、2 ターン目《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》《金属ガエル》《金属ガエル》
|
たかだか 2 ターン目までの展開でこれだけの動きをされてしまうと、手札次第ではほとんど勝ち目がなくなってしまいます。こういう高速展開を防ぐためには最初の段階で土地を潰すのが一番よいのですが、対親和の除去デッキといっても常に除去があふれているわけでもなく悩ましいときも多々あるわけで。土地に撃って展開を遅くするにせよ、重要なアーティファクトを狙い撃ちにするにせよ、徹底させなければ意味がなく、土地に撃てば《頭蓋骨絞め》が残ってしまったり、マナを無視したら手に負えない高速展開をされてしまったり。どちらの選択肢にも裏目が存在するところも困りものです。
他の理由としては、最悪のカード《頭蓋骨絞め》をもっとも効率良く使えるデッキであるということ――これによりコントロールデッキを使う、という選択肢が私の中でなくなりました。(《減衰のマトリックス/Damping Matrix》でもって《頭蓋骨絞め》対策とする、というのが不利な選択肢だということは以前説明したと思うので省略。《減衰のマトリックス》に関しては若干後述)それでもサイクリングはいくつかの可能性を考えたんですけどね。これはお約束。
つまるところ、エルフ&ネイルは安定して親和に勝ち越せなくてあきらめ(+ゴブリンに弱い)、ゴブリンと RDW は親和の高速展開についていけないことがあって断念。こうして親和を使うことに決まりました。
デッキの内容はいたってシンプルなものです。むしろシンプルすぎるという話もあります。前のバージョンから変わったのは、
《空僻地/Glimmervoid》が 3 枚、代わりに《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》が 3 枚
これはグランプリブリュッセルで Kai Budde が使った親和を参考にしたもの。《彩色の宝球/Chromatic Sphere》 4 枚なら《空僻地》 3 枚でも回るみたいです。というより親和しない展開はダメダメなんで、極力アーティファクトランドを入れるという意味で。
《爆片破/Shrapnel Blast》が 3 枚になり、《粉砕/Shatter》は《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》に変更
これまた Budde ……でもなく、これは前から何度か試していたものです。《爆片破》の強さは認めるところですが、《空僻地》と並んでマリガンの理由になるカード。積極的にマリガンするつもりはありませんが、それでもデッキの全体を均一化しておくことは安定化のため大事なことです。《黄鉄の呪文爆弾》のスロットは《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》をテストしていました。でも結局親和しない展開はダメだ、ということで却下に。くだんのイタリア人が強硬に主張したということもあります。実はメタ内のデッキに対しては《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》の方が有効だったりも。でも親和〜以下略や、諸々の理由から《黄鉄の呪文爆弾》が選択されました。
ということでメインはあっさり決定。ただサイドボードはやや難航していました。まずしばらく抜いていた《煮えたぎる歌/Seething Song》《炉のドラゴン》の復活。これは単純に調整するほどに親和の強さを実感した、というのが一番の理由。Budde のように《炉のドラゴン》を使わなければサイドボードにスロットの余裕ができるのですが、相手が使ってるのにこっちだけないのは不利すぎます。《煮えたぎる歌》は単独の物体さが光るとはいえ、《煮えたぎる歌》抜きで《炉のドラゴン》がほとんど出せてないことを指摘されて投了。
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あとは《爆破/Detonate》をあきらめたこと。親和対親和で重宝するのはもとより、サイドボードも含めてアーティファクト対策がないのは《減衰のマトリックス》に対して無防備すぎるきらいがあります。それでもコントロールは環境にほとんどいないだろうという話になり……ついにアーティファクト除去 0 になってしまいました。それでいて《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》は必要だという結論。というよりエルフ&ネイルに対して一番効果的だったのが《厳粛な空護り》でした。《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote》がいるだけで地上のクリーチャーはほとんど止まってしまうため、そうなってしまえば《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》や《爆片破》で本体を狙うしかありません。そこまでのつなぎ、あわよくばそのまま、というプランを成立させてくれるのが《厳粛な空護り》です。枚数入れなければ効果が薄いのが若干の難点。
これで親和ができました。では選手権での話の前に、多色化していく RDW をどうぞ。
Rats Deck Wins → Death Note
上記の通り、2 ターン目《金属ガエル》 2 体に怯える私は RDW の調整をほぼ放棄しました。しかしながらあきらめてない人がいたわけです。そんな高桑が送ってきたレシピがこれ。
| 3 color Rats Deck Wins - Takakuwa Akihiro | |
|---|---|
4 ただれたゴブリン/Festering Goblin 4 貪欲なるネズミ/Ravenous Rats 4 包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander 4 ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman 4 真面目な身代わり/Solemn Simulacrum |
3 迫害/Persecute 4 宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator 4 酸化/Oxidize 4 帰化/Naturalize |
本人曰く「マナてきとー」。つまりその辺を調整してくれと。そう言って送られてきたデッキです。ただ安直と言えば安直な構成ながら、デッキの意図するところはわかりやすい。《粉砕》が物足りないなら《酸化》でいいと。エルフ&ネイルに一番効くのは《帰化/Naturalize》だからそれも入れてしまえと。実に正直な構築です。ということでこれを調整してみることにしました。
まずマナバランスから。難しいところとして赤中心のランドを使い切ることができないこと。赤メインならともかくとして、フェッチランドを入れまくってもサーチしてくるランドがないという事態が起こってしまいます。とはいえ《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》などという都合のよいランドはない。結局はどうせもともとタップイン入ってたし、ということで《大闘技場/Grand Coliseum》の力を借りて強引なマナバランスの完成。いちおう色マナの必要枚数は足りていたつもりです。そういうことにしておいてください。
あとは《ヴィリジアンのシャーマン》がいまいちだったということなので、代わりになにを入れるか。これはそうとう悩みました。とりあえずクリーチャーであることが条件。3 マナ域が理想です。《生命を破滅させるもの/Bane of the Living》が入ったりもしましたがこれまたいまいち。《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》《騒がしいネズミ/Chittering Rats》という前に試したものから、《沈黙の死霊/Silent Specter》《ゾンビの殺し屋/Zombie Cutthroat》……などとすでに変異であることに意味があるものと話が逸れていったりも。まあ茶番なんですけどね。《死神頭のノスリ/Death's-Head Buzzard》なんてのも話題になってました。
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次の日の朝、なぜか話題に上っていなかった《ナントゥーコ自警団/Nantuko Vigilante》を思いつき、それがそのまま本採用。《ヴィリジアンのシャーマン》の方がよいのでは?と思うかもしれませんが、自分の《タリスマン》を割っていくことがとにかく多かったので《ナントゥーコ自警団》で。親和ならともかく、他のデッキがアーティファクトを出すまで手札に待機していたのでは手札があふれてしまいます。ただでさえ《静電気の稲妻》《酸化》と相手次第では無駄カードのオンパレードですし。
結局のところ Rats Deck Wins が行き着いたのは徹底的な除去デッキでした。本来のコンセプトはアドバンテージを取れるだけ取ってから《死の雲/Death Cloud》というデッキだったのですが。これも環境に適応させようとした結果なのでしょう。
最後の方はほとんど高桑が調整していて、サイドプランやバランスだけ話し合うという形で進みました。《ネクラタル/Nekrataal》《恐怖/Terror》も高桑の案です。そういう意味ではもうほとんど高桑のデッキですね。若干時間が足りなくて中途半端な枚数になってしまったカードがあったかもしれませんが、それでもこうして RDW が表舞台に出てきたことは嬉しく思っています。
実はコガモ団のメンバー(加藤一貴、志岐和政、津村健志)にも人気があったデッキだったり。……使う前までですが。レシピだけ見ると斬新さが目立つため、かなり興味を示してくれました。
日本選手権本戦
たいしたことを書くつもりもないので箇条書き風に。
オープン予選を見ていてゴブリンが少なく感じた。そのため親和を倒すだけならノントロンも悪くないのかも?とオープン会場でひそかに悩んでいたんです。ノントロンで出ることに決めていた一貴と話し合う。ただノントロンも結局安定しないことがあるのと、やはり苦手なマッチアップが気にかかるためあきらめ。
津村くんがオープンでの経験から《厳粛な空護り》を増やしたいという話を。そのため《紅蓮地獄/Pyroclasm》と枚数を入れ替え。実際問題《紅蓮地獄》は手札で腐ることもあるから問題なし。むしろいろいろなマッチアップで《厳粛な空護り》大活躍。某狂った 26 歳にも結構効いた。
自分の予選ラウンドは省略。ドラフト 0−3 してドロップして情報収集+観戦モードになっていた身としては、津村くんが逢坂のブリュッセル型白青(《清純な天使/Pristine Angel》タイプ)、しかもメイン《機械の行進》のテロ仕様に当たったりして結構見てられなかった。そのときは 1 本目落としてたし。
高桑はスタンダード 5−1−1。親和、ゴブリン、エルフ&ネイルとメタ内全部に勝ったと喜んでた。でも最後の最後で苦手の赤コン。ダメージクロックが弱く、土地から勝手にダメージを食らうと不利な要素祭り。《死の雲》の余裕があるか、《迫害/Persecute》ないと話にならない。そして順当にゲームは終わる。
津村くんがベスト 8 緒戦で狂った 26 歳と遭遇と聞きお通夜モード。しかし二日目夜、三日目朝とテストプレイした結果、負け越した感じはなかった。《機械の行進》は致命的なものの、いつも引けるわけでもない。これは赤コンの《炉のドラゴン》も同様。ドロー操作をしないのなら、1 スロットのカードを引かないことは良くある。
白青が 3−0 でベスト 4 に進んだこともあり、決勝には白青が来ると勝手に予想。そしてテストプレイをするが阿鼻叫喚。《減衰のマトリックス》が実にまずい。正直《機械の行進》よりやばいんじゃないかと思った。ある意味伏兵。あれだけ対コントロールシフトしてある白青でも、こっちには盲点となるデッキなので非常に厳しい。と思ったらローリーさんが 2−0 で勝っている、というのを聞いてあわててデッキを変更。勝てないと思っていた白青がいなくなったんで勝った気でいたけど大きな間違いでした。
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ローリーさんはおそらく《ゴブリンの名手》まで抜いていた。親和の《紅蓮地獄》を意識したサイドボーディング。また《ゴブリンのうすのろ/Goblin Goon》にはびっくり。しばらく忘れていたゴブリンだけど、メインは砲台でコントロールしてからすみやかな勝ち手段、サイド後は《紅蓮地獄》で死なないサイズかつ除去でコントロールしてから以下略。《紅蓮地獄》はサイドインしないのかなと最初は思ったのにテストプレイしたら結局要るような気がしてしまった。その辺が勝敗を分けたのかも。津村くんも 3 本目は《紅蓮地獄》抜いてたし。ともあれゴブリン対親和の練りこみの差を感じました。つくづくローリーさんには感服します。
こうして一緒に調整した中では津村くんが準優勝という結果に終わりました。ただ私自身は 2−4 ドロップときわめてがっちりな成績。これは情けない。次なるグランプリ名古屋、そして世界選手権ではチームは元より自分自身でも結果を出していけるようがんばりたいところです。
(文中敬称略)




