スタンダードからぜんぜん関係無くなってきたこの連載。トータルするとすでに半分ぐらいエクステンデッドが占めつつありますが、たぶんこのペースだと次はプロツアー神戸の限定構築話になりそうです。次もグランプリ仙台っぽいし。
実に順調です。
MO でエキスパンションが出るのが遅いので、構築をあまりやらなくなってるのも問題なんですけど。まああんまり気にしないで進めましょうか。
今回はエンチャントレス:千葉予選編と、グールの調整過程を紹介していきます。
大阪 2 次予選でエンチャントレスが想像以上に強いデッキだということが分かったので、そのまま千葉予選に持っていくことにしました。幸いベスト 4 で負けてもムーンライトながらに間に合う時間だったので、一貴(加藤一貴)とともに慌てて出発。あと一つ勝てれば今晩ゆっくり寝られたのになーとか考えながらのんびり千葉に向かいました。
一貴もエンチャントレスを使いたいということだったのでほうぼうに連絡したり、改良点が無いか色々考えながらの旅。とりあえず真っ先に変更されたのが《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》をクビにすること。こいつはほんとにサイクリングしかしなかったうえ、たいていのマッチアップでサイドアウトされていたのであまり役に立ってません。これだったら《紛糾/Complicate》、いや《誤算/Miscalculation》でもいいななんて考えていたくらいだったので、全部抜いてしまうことにしました。
逆に強かったのが《崇拝/Worship》で、普通に RDW ( Red Deck Wins )に強いうえ、相手のサイドボードカードである《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》を封じることもできます。いちおう割られるものの、マッドネス相手にも結局サイドインしてましたし。相手側からすると《女魔術師の存在/Enchantress's Presence》や《気流の言葉/Words of Wind》など割りたいものが多いため、意外に場に残ったりするということで。
あとはエンチャントレスマスターである東太陽にいくらか話を聞き、《大あわての捜索/Frantic Search》だったスロットに《調律/Attunement》を使ってみたら結構良かったという話と、《綿密な分析/Deep Analysis》ではなく《水晶のチャイム/Crystal Chimes》でリカバリーを図っているということ。その中で分かりやすい《調律》と、 RDW が思ったよりきつかったので《サーボの網/Tsabo's Web》を入れてみることにしました。
まったくカードが無かった一貴もみんなの協力でなんとかデッキを組めて、無事エンチャントレスでの参加。ただ《セラの聖域/Serra's Sanctum》が 1 枚足らなかったり、何か 1 枚足らなかったので代わりに《水晶のチャイム》を入れちゃうことに。
| Enchantress "Eternal Wind" | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
3 アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress 4 花の壁/Wall of Blossoms |
1 セラの聖域/Serra's Sanctum 3 綿密な分析/Deep Analysis 1 フェアリーの大群/Cloud of Faeries 1 厳格な試験監督/Stern Proctor 1 ワタリガラスの使い魔/Raven Familiar 1 ラクァタス大使/Ambassador Laquatus 2 崇拝/Worship 3 防御の光網/Defense Grid 1 アルゴスの女魔術師/Argothian Enchantress 1 マスティコア/Masticore |
メインに《崇拝》が入っていますが、その理由はたんにサイドボードのスペースが無かったからです。大阪ではまったくエンチャントレスは警戒されてなかったのですが、どうやら千葉では前日にあったグランプリ岡山トライアルでベスト 8 にエンチャントレスが二人入ったらしく、サイドボードに 4 枚の《紅蓮光電の柱》が目立ったので《崇拝》を 3 枚用意したかったのですが、サイドボードに余裕が無かったため思い切ってメインに入れました。サイドボードは《生ける願い/Living Wish》 4 枚の都合上ぎりぎりなのですが、メインは《フェアリーの大群》の尊い犠牲のため結構空いていたので。
| Round 1 | BG Reanimate Control | 2-1 |
| Round 2 | UG Madness | 2-1 |
| Round 3 | Finkula | 1-2 |
| Round 4 | RDW | 2-0 |
| Round 5 | Fiend | 2-1 |
| Round 6 | Malka-Death | 2-1 |
| Round 7 | RG Steroid | 2-0 |
| Quarterfinal | RDW | 2-1 |
| Semifinal | UG Madness | 2-1 |
|
大阪予選ではほとんど 2-0 だったにも関わらず、千葉予選ではほとんどが 2-1 。それも佐野さん(佐野文彦)の Finkula 、荒堀くん(荒堀和明)の Fiend (昨シーズンのデッキで、タッパー含みのレベルエンジン+《翻弄する魔道士/Meddling Mage》と手札破壊、《幽体オオヤマネコ/Spectral Lynx》)には《ハルマゲドン/Armageddon》が入っていてかなりの苦戦を強いられました。最後のマッドネスも実は《恭しき沈黙/Reverent Silence》が入っていたり。自分で思ってるよりもエンチャントレスは意識されていたようです。
ちなみに千葉予選の MVP はメイン 1 枚の《崇拝》でした。 RDW とステロイドに 1 回ずつメインで《崇拝》を引いて、それだけで勝ってしまうというまさに「 So Lucky!」。逆にエンチャントレスで最もダメなカードが《ハルマゲドン》……。
ちなみにこのとき 2 回の《翻弄する魔道士》との対決、そして一貴も佐野さんと当たったおかげで、コンボデッキに対する《翻弄する魔道士》の正確な使い方と対処法を学びました。《願い/Wish》の入っているコンボデッキの場合、大抵はコンボパーツの一部がサイドボードに入っていて、なおかつ緊急時のクリーチャー対策もサイドボードにあります。つまり《翻弄する魔道士》で禁止するカードは最初が《願い/Wish》、次がコンボパーツという順番が効果的なわけです。一貴が言うにはこれを逆手に取り、メインに《俗世の教示者/Worldly Tutor》が入っているんだから《マスティコア/Masticore》をサイドインすべきだと。納得の意見です。
さてこれで私はエンチャントレスを終えたわけですが、この後にも久也さん(田中久也)が仙台予選で権利を取り、小倉(小倉陵)がトライアルで 3 バイを取るなど、使っているプレイヤーの数から比べるとかなりの好成績を出し、グランプリでは思ったより多い人数がエンチャントレスを選択していました。メイン《崇拝》の増量、《パララクスの潮流/Parallax Tide》の採用、などが主だった変更点のようで。
いちおう自分でも色々考えていて、例えば《悟りの教示者/Enlightened Tutor》や《真の木立ち/Sterling Grove》の採用(ちなみに 1 枚だけ入っているエンチャントの多さに、《俗世の教示者》は《悟りの教示者》の間違い?とかよく聞かれました)。《崇拝》は確かにかなり活躍してくれましたが、もともとビートダウンと相性が悪いわけでもないためそこまでしなくても良いかなと。むしろコンボ耐性を上げる必要があると思っていたので(自身でグールを調整していたというのもありますが)、《崇拝》を数入れることはしたくなかったのです。あとはマナベースをいじってサイドボードに《翻弄する魔道士》とかも入れてみたかったですね。ただ何より時間も無かったので、考えただけで終了しました。
さてようやくグールです。このデッキ自体は調整期間が長かったわけでもないのですが、そのぶん集中してやりました。その最初のバージョンはこんな感じ。
| Corpse Ghoul | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
1 冥界のスピリット/Nether Spirit 2 縫合グール/Sutured Ghoul 3 クローサの雲掻き獣/Krosan Cloudscraper |
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Corpse Ghoul というのはまあコードネームみたいなものです。 MWS ( Magic Work Station )に保存する名前に使っていました。
まあ誰しも《生き埋め/Buried Alive》《死体のダンス/Corpse Dance》エンジンを、《隠遁ドルイド/Hermit Druid》亡き後にも使ってみよう−というのは一度考えることで、私も頭の中でこねくり回してうまく組めないなーなんて最初は思っていました。似たようなネタに一貴が考えた《独房監禁/Solitary Confinement》+《ゾンビの横行/Zombie Infestation》があったりします。理論的にはビートダウンは《独房監禁》で完封、サイカトグには《ゾンビの横行》、マルカデスは《激動/Upheaval》《ゾンビの横行》と強いんですけどね、まとまりません。
ところが大阪 2 次予選の前の週、風呂に入っている時に何故か急に組みたくなり、おもむろに MWS で組み始めたわけです。まあデッキの組み始めなんてこんなもんですね。
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たぶん《吸血の教示者/Vampiric Tutor》《神秘の教示者/Mystical Tutor》を目一杯入れてみたりなんてことは結構した人がいるんじゃないかと思いますが、《マナ切り離し/Mana Severance》《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》デッキの青黒バージョンのように《教示者/Tutor》が多いデッキはあまり好きじゃないので、かなり削って他に色々入れてみました。ちょうど 1 年前にプロツアーヴェネチアの権利を取った時のデッキがリアニメイトコントロールで、その《冥界のスピリット/Nether Spirit》《汚染/Contamination》エンジンが結構好きだったので混ざっています。また《直観/Intuition》《陰謀団式療法/Cabal Therapy》《冥界のスピリット》エンジンなんてのも、世界選手権のエクステンデッド用にデザイアを調整している時に試していたもので、やっぱりサイカトグに勝ちやすくしたいというのもあって突っ込んでみました。
しかしこのバージョンは安定しませんでした。確かにサイカトグに対して《直観》を通すだけでハンドをずたぼろにできるのはいいのですが、《直観》と《生き埋め》では似て異なるスペルです。仮に《入念な研究/Careful Study》を入れてみたところで、《クローサの雲掻き獣/Krosan Cloudscraper》を相手に選ばれると墓地の順番がぐちゃぐちゃになってしまいます。そもそも《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《吸血の教示者》とディスアドバンテージする中で《入念な研究》なんて使いたくも無いですし。
そこでひらめいたのが《燃え立つ願い/Burning Wish》です。色を 1 色足すことに抵抗はありますが、《生き埋め》《死体発掘/Exhume》などキーパーツを調達することができます。なによりスタンダードのリアニメイトも《燃え立つ願い》のおかげでかなり安定性を増していた、という事実もあるわけで。
| Corpse Ghoul ver1.2 | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
2 縫合グール/Sutured Ghoul 3 クローサの雲掻き獣/Krosan Cloudscraper |
1 マナ切り離し/Mana Severance 3 綿密な分析/Deep Analysis 1 秘儀の研究室/Arcane Laboratory 1 陰謀団式療法/Cabal Therapy 1 死体発掘/Exhume 1 生き埋め/Buried Alive 1 紅蓮地獄/Pyroclasm 2 金属モックス/Chrome Mox 4 防御の光網/Defense Grid |
これが《燃え立つ願い》を追加して調整していたバージョンです。安定性は格段に変わりました。エンチャントレスもそうですが、私はコンボデッキで最も重要な部分は初手のキープ率にあると思っています。初手に《生き埋め》があることをキープする前提にするならば、《吸血の教示者》 4 枚《神秘の教示者》 2 枚《燃え立つ願い》 4 枚《生き埋め》 3 枚、計 13 枚。またフェッチランドと《渦巻く知識/Brainstorm》があれば、ある程度の手札ならキープするわけで、そう考えると 17 枚。これはデッキによればメインカラーの土地の枚数と同程度なわけで、これくらいなら安心して使えるというものです。
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見てもらえば分かるように現在のバージョンでは入っていない《マナ切り離し》《ゴブリンの放火砲》エンジンがこの段階では入っています。これは大阪 2 次予選でリアニメイトコントロールをデザインした田代くん(田代義明)が使っていた《ゴブリンの放火砲》デッキに触発されたもので(メイン《綿密な分析》《入念な研究》《直観》《冥界のスピリット》《陰謀団式療法/Cabal Therapy》、サイドからリアニメイト戦術と面白いデッキでした)、《燃え立つ願い》があれば《マナ切り離し》もサイドボードに置いておけるし、万が一墓地対策をされたり不測の事態に備えることができるかなと。
思いついたのが木曜の夜で、その日のうちに《燃え立つ願い》投入。《マナ切り離し》《ゴブリンの放火砲》エンジンを考えたのが土曜のながらの中。こんな感じに急ピッチでグールは変わっていきました。 自分の中では速度的に考えてもベストの選択肢になり得ると思っていて、そのために PTQ では温存することにしたわけです。まあそれ以前にその段階では調整が足りてなかったわけですが。ただ想像以上にエンチャントレスが強かったので、グールを使う決意が若干揺らいでいたこともあったりします。
(文中敬称略)
ミラディン−ミラディン−ダークスティール(MMD)なら勝てていたのに、ミラディン−ダークスティール−フィフス・ドーン(MDF)になったとたん勝てなくなったという方はいませんか? そうだとしたら、フィフス・ドーンが入ってから大きく変わった環境に適応できていないのだと思います。
本稿では、環境の変化を追っていきながら、それにともなって評価の変わった代表的なカードを取り上げていきます。
マナマイアと《タリスマン》を擁していたミラディンのパック数が減ったことにともなって、フィフス・ドーンで代替品を得た緑以外の色ではマナ加速の枚数が減りました。
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ダークスティールが加わったときにも同様の現象は起こり、MMD 環境はマナ加速の点数が上昇しました。しかし、フィフス・ドーンが入ってミラディンが 1 パックになってしまったために、マナ加速の枚数は絶対的に不足するようになってしまったのです。以前までとちがい、安定して枚数のそろわない環境ではマナ加速に依存するのは危険です。そのため、MMD までは数枚のマナ加速とそれを前提にしたデッキの構築というのが基本だったのに対し、MDF ではマナ加速を必要としないデッキの構築が重要になるわけです。
このことは、ダークスティールが加わったときとは真逆にマナ加速の価値の減少を引き起こしました。マナ加速を前提としないデッキを構築するのならば、必然的にマナ加速の必要性は低下するのです。加えて、フィフス・ドーンでマナマイアを手軽に除去できる《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》や《希望の喪失/Lose Hope》が加わったことも価値の低下に一役買っています。
環境の高速化もあいなって、緑以外の色では高コスト(5 マナ以降)のクリーチャーは軒並み点数が下降しています。同じような理由で装備コストの高い装備の点数も下降気味です。
高コストクリーチャーの具体的な例としては《鏡のゴーレム/Mirror Golem》が挙げられます。《鏡のゴーレム》は、ミラディン 3 パックの環境では初手でピックしてもおかしくはないといった印象でした。しかし、マナ加速を安定して確保できない MDF 環境では 6 マナは重すぎるのです。唯一安定したマナ加速を擁する緑には、フィフス・ドーンで優秀な 6 マナ(《ティラナックス/Tyrranax》や烈日時の《鋸歯の尾長獣/Sawtooth Thresher》)が加わったことも点数が下降した一因です。
また 2 マナから 4 マナへ加速することが減ったため(5 マナ以降ほど顕著ではないですが)、基本的に 3 マナクリーチャーの価値は上昇し、4 マナクリーチャーの価値は低下しています。ただ、逆に価値の上がった《モリオックのゴミあさり/Moriok Scavenger》等もあるため注意は必要です。
烈日を考えない場合、フィフス・ドーンはミラディンに比べてアーティファクト・クリーチャーの数が減少しています。このことにより、接合の価値の低下や畏怖の価値の上昇がおこりました。
また、アーティファクトのマナ加速、アーティファクト土地が減ったため、デッキ内のアーティファクトの枚数も減少しました。これによりアーティファクトに依存するカードはその点数を大きく下げています。特に《浴びせかけ/Irradiate》や《屍賊の金切り魔/Nim Shrieker》はデッキに入れたくないレベルにまで点数が下がってしまいました。
フィフス・ドーンのコモンには《停滞の繭/Stasis Cocoon》、《ヴァルショクの魔術師》や《希望の喪失》といった限定的な除去しかありません。このことにより、直接的には除去の点数が上昇しましたし、間接的には MMD 環境でいったん下降した装備品や装備品依存クリーチャーの点数が上昇しました。
点数の上下に関わるおおまかな環境の変化は以上です。ほかにも細かなところではカウンター関連のカードの点数が上昇してたりするのですが、さほど重要ではありませんしね。
そうそう。神河物語のプレリリース目前にしてこの記事を読んでくれている方は、Magic Online をやっている方だと思うのでアドバイスを一つ。たとえ 8−4 でも、ほかに何があっても、3 チケット以上のカードはレア取りすることをお勧めします。
それでは、次に会うときまでにあなたのパックが増えていますように。
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]]>デッキを調整する、実際に使うデッキを選択する過程において大切なことの一つ――それは仮想敵を定めて一般的なレシピを作るということです。もっともわかりやすく最強のデッキが存在するならば選択の余地はありませんが、そういう環境なら結局過度な対策がされてしまうため、ことは簡単に運びません。
この場合に必要なのは手を広げすぎないこと。当たり運の要素があるとはいえ、主要なデッキに勝つことが至上命題なわけですからね。あとはその仮想敵たるレシピをいかに客観的に作れるか。つまり自分の使うデッキ以外のデッキに関しても充分な理解は必要です。 今年の日本選手権の場合はどうだったかというと、やはり親和、ゴブリン、それ以外を想定していました。
もともと親和とゴブリンに次ぐ勢力としては白コントロール系か、もしくはウルザトロンやノントロンを考えていたのですが、突然現れたデッキがその地位を確立してしまいました。それがドイツ選手権で猛威を振るったエルフ&ネイルです。
MO 上でかなりの人気を見せたこのデッキは、たいていの新しいデッキが見せるようにファンデッキのように見えつつもかなりのデッキパワーを秘めていました。特に《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote》−《ウッド・エルフ/Wood Elves》《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》エンジンはともかくとして、《歯と爪/Tooth and Nail》からの選択肢に《クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa》《トリスケリオン/Triskelion》というコンボを追加したのは白眉です。一見すると安直なコンボではありますが、一度に土地 3 枚が取り上げられてしまえば遅めのデッキはたまったものではありません。またある種異常にマナが出るこのデッキにおいては《クローサの拳カマール》単体も恐るべき存在だったりも。マナさえあればおもしろいぐらいにオーバーキルできると同時に、全体除去に対する効果的なプレッシャーなわけですから。
| Burning Elf and Nail - Tristan Gally | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
4 極楽鳥/Birds of Paradise 4 ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote 4 ウッド・エルフ/Wood Elves 4 ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman 1 クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa 3 ぶどう棚/Vine Trellis 1 映し身人形/Duplicant 1 ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus |
1 ゴブリンの紅蓮術士/Goblin Pyromancer 3 ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter 4 酸化/Oxidize 4 精神隷属器/Mindslaver 1 映し身人形/Duplicant 2 隔離するタイタン/Sundering Titan |
これはグランプリブリュッセルで初日全勝したレシピです。実はトップ 8 に残ってなかったりするわけですが、最近気になって最終成績を見てみると――二日目怒涛の 6 連敗。……見なかったことに。
さて単純に親和、ゴブリン、エルフ&ネイルと並べてみると、一番自分の好みに合っていたのはエルフ&ネイルだったりします。なにより《極楽鳥/Birds of Paradise》は結構使っていたカードですし、アグロに動けつつコントロールとコンボの両面を併せ持つこのデッキはギミック満載。メタ内のデッキを使うとしたらこれかな?と思って MO で何日か回しました。いちおうは親和>ゴブリン>エルフ&ネイル>親和……という相性差を考えていたので、さすがに親和のほうがゴブリンより多いはずだし、《花盛りの春/Vernal Bloom》さえ引ければゴブリンにも勝てるかなと。
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しかし現実はそんなに都合がいいものではありませんでした。まずメインの《紅蓮地獄/Pyroclasm》が思ったように機能しない。たしかにゴブリンがとにかく多かったグランプリブリュッセルではいい選択肢だったのかもしれませんが……。
エルフ&ネイル側の《極楽鳥》《ワイアウッドの共生虫》を流してしまう危険性もはらんでいますし、ゴブリン以外のクリーチャーデッキである親和に対しては《紅蓮地獄》の効果はいまいちです。
リセット系スペルと言えばパーミッションの《神の怒り/Wrath of God》のように、自身がリスクを負わない形が一般的な使われ方です。例外的なものといえばマルカデスの《破滅的な行為/Pernicious Deed》がありますが、これは《花の壁/Wall of Blossoms》《ヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elder》があるため実質的なデメリットは《極楽鳥》ぐらい。その《極楽鳥》も今なら《陰謀団式療法/Cabal Therapy》の餌にすることもできる。だからこそクリーチャーを展開しながらリセットする、という矛盾が成立しています。
エルフ&ネイルにとっては《頭蓋骨絞め/Skullclamp》。たしかにこれがあれば《紅蓮地獄》がもたらすディスアドバンテージの可能性なんて気になりません。しかしその前に《頭蓋骨絞め》が効率良く回せているなら、《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》などが登場する前に《頭蓋骨絞め》が活用できているなら、《紅蓮地獄》云々を抜きにしてそうとう有利になっているはずです。また《破滅的な行為》と違って《紅蓮地獄》は汎用性が低いカードですから、これまた《頭蓋骨絞め》を使っていないかぎりは単純なカードカウントで損をしてしまうことも。
と《紅蓮地獄》関連で話が長くなりました。結論としては《紅蓮地獄》メインはないかなと思ったわけです。じゃあ普通のバージョンだったら?と言うことになりますが、結局親和に対してそんなに勝率を残せない点から諦めました。そもそも調整当初から高桑にエルフ&ネイルと親和は《酸化/Oxidize》入れないと結構いい勝負だよと言われてましたし、また《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》というサイドボードカードが親和に出てきてしまっては。それに肝心の親和に勝ちきれないのに、ゴブリンにはやっぱり不利というのも困ります。ゴブリンが《火花鍛冶/Sparksmith》《ゴブリンの名手》フル搭載なのも大問題。
まあ一番ダメだと思った理由は、《頭蓋骨絞め》に高度に依存していることなんですけどね。他のデッキに比べると、《頭蓋骨絞め》を引いているときの展開と引いていないときの展開が違いすぎます。それに《減衰のマトリックス/Damping Matrix》を割ることはできますが、環境的に《酸化》が溢れてて《頭蓋骨絞め》は狙い撃たれやすい。《頭蓋骨絞め》が無くなってしまえば、他にドローカードがないわけですから苦しいのも当たり前ですが。
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ただエルフ&ネイルはそれでも結果を残しました。今年のアメリカ選手権を制したのはエルフ&ネイルです。勝因はメタられにくさだったのかなと。メイン《機械の行進/March of the Machines》、《銀騎士/Silver Knight》《清純な天使/Pristine Angel》《崇拝/Worship》など、親和とゴブリンをテロる方法はありふれてますが、エルフ&ネイルをピンポイントに殺すカードを使えるデッキはゴブリンぐらい。また《トリスケリオン》を多めに使っているというのも特筆すべき点。厄介者の《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》、それにサイドから入れられる《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》、マナさえある程度あれば天敵《ゴブリンの名手》も処理できる《トリスケリオン》、実はエルフ&ネイルの MVP だったのかもしれません。
さて若干時間軸が戻ります。ゴブリンは親和に次ぐ 2 番目の勢力として認知されていました。しかし親和の勢いに押されていた時期も長く、自分で使おうとはあまり思っていませんでした。そもそもゴブリンのようなビートダウンはあまり得意じゃないってこともあります。選り好みは良くないんですけどね。あ、ゴブバンテージは例外ということで。あれは単純なビートダウンデッキじゃないですから。
ともあれ当時はゴブリンと言えば《頭蓋骨絞め》で絞めて《総帥の召集/Patriarch's Bidding》、なんて感じだったわけで、それがどうにもテンポ悪い感じで手になじみません。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》でチャンプしつつ《総帥の召集》。親和に対する作戦としては悪くないのですが、なんだかなあと。
ところが「ゴブリンって結構いいデッキじゃん!」と感じさせてくれたデッキがありました。
| Mono Red Goblin - Anton Jonsson | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
4 ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder 4 スカークの探鉱者/Skirk Prospector 2 火花鍛冶/Sparksmith 4 ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver 4 ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter 3 宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator 4 ゴブリンの戦長/Goblin Warchief 3 つつき這い虫/Clickslither 4 包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander |
2 静電気の稲妻/Electrostatic Bolt 3 粉砕/Shatter 4 溶鉄の雨/Molten Rain 2 火花鍛冶/Sparksmith 1 宝石の手の焼却者/Gempalm Incinerator 3 炉のドラゴン/Furnace Dragon |
スウェーデン選手権 2 位となった Anton Jonsson のゴブリンです。いや、実に普通のゴブリンですよ。ただその普通が良かったんです。親和には《総帥の召集》しないと勝てないもんだと思ってたら、あんまり見なくなったと思ってた《つつき這い虫/Clickslither》が結構やり手でびっくり。というより親和に対しては《頭蓋骨絞め》で引きまくることにこだわるよりも、攻めたほうがいいことも多いなと。そりゃそうですよね。1 マナゴブリンを引かないとどうしたって《頭蓋骨絞め》を回す効率が悪いわけですから。
ゴブリンで親和に勝つには《総帥の召集》がないほうが良さそうだ。そう考えていました。それでも親和には相性がいいとは言えないものの、ゴブリンはメタ上に存在するデッキに対してはほとんど有利なデッキです。親和以外には。だからゴブリンの存在意義は充分すぎますが、それでも仮にゴブリンを選択するとなるととにかく親和が問題になります。このゴブリンのように《炉のドラゴン/Furnace Dragon》をサイドに入れてあったりもするものの、とても安定はしていない。アーティファクトの量が少ないのは仕方のないことだし、かといって《煮えたぎる歌/Seething Song》を入れるとメインが不安定になってしまう。サイドに入れるとしても、《減衰のマトリックス》対策まで考えればアーティファクト破壊も必要だし。
|
と思ったらグランプリブリュッセルでわかりやすいゴブリンが登場してきました。《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》に加えて《酸化》を標準装備したタッチ緑。サイドボードからは《帰化/Naturalize》も投入と親和を目の敵にしたチューンです。さらにはメインから《頭蓋骨絞め》を抜く!? 今にしてみればメインは《頭蓋骨絞め》抜き、サイドボードから《頭蓋骨絞め》という戦略は知られているわけですが、当時はクリーチャーデッキ=《頭蓋骨絞め》。《頭蓋骨絞め》の入っていないデッキはヘビーコントロール以外にはいないと言っても良かった状況だけに目新しいものでした。結局《頭蓋骨絞め》の入っていないゴブリンはトップ 8 で討ち死に、決勝は親和のミラーマッチとなったわけですが……この結果はゴブリンに大きな影響を与えました。
もちろん私が仮想敵として用意したゴブリンもこの赤緑ゴブリン。ただ最初は《酸化》はサイドでしたけどね。これは MO でなかよくなったイタリア人(本人曰くプロツアーにも何回か出ているらしい。いちおう選手権のカバレージではフィーチャーされてた模様)にたしなめられてメインに戻しました。そのころは親和を中心に調整を進めていたとはいえ親和を使うと決めきっていたわけではなかったのですが、親和づいてたイタリア人が「こんなに強い親和なんだからみんなきちっと対策してくるだろ!」とおっしゃるのでなるほどと。というより《酸化》が無駄になるマッチアップがほとんどなくなっていたというのがほんとのところですが。結局ウルザトロンは生き残れませんでしたし。
あと「《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》はサイドで間違いない!」とも断言されました。親和とゴブリン相手にサイドアウトするカードなら、マッチアップのかなりの割合でサイドアウトするわけだから、だったら最初からサイドボードにしておけと。《ゴブリンの群衆追い》抜きにクロックが機能するかが不安だったのですが、まあこれも結局《つつき這い虫》のおかげでなんとかなったみたいです。
(文中敬称略)
レギオンはクリーチャーだけのセット。ということで今回は火力解説ができません。しかし最近好調のエルフが充実しているセットなので、今回はエルフを中心に、エルフ使い独特の癖のある解説をしていこうとおもいます。
青緑が猛威を振るい、マッドネス生物、《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》《野生の雑種犬/Wild Mongrel》を中心とした今までにない緑中心の高速のデッキが各自大暴れしている頃から、《エルフのチャンピオン/Elvish Champion》を起点としたエルフデッキが考えられてきました。
軽いエルフの展開力と、《不可思議/Wonder》の飛行なんか目ではない完全なブロック回避能力「森渡り」。そしてタフネス 1 行進が軽微な大量除去スペルにも絶えられない脆さを持っています。
一月の始め、小さい大会ではありますが優勝したデッキをサンプルとしてあげておきます。一部煮詰まっていない所が残っていますが、当時のデッキそのままということでおいてあります。
| Elvish Overrun - 破滅を導く者バーニィ / Local: 3-1 | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
4 ラノワールのエルフ/Llanowar Elves 4 エルフの開拓者/Elvish Pioneer 4 エルフの抒情詩人/Elvish Lyrist 4 エルフの射手/Elvish Archers 4 幸運を祈る者/Wellwisher 4 エルフの戦士/Elvish Warrior 4 エルフのチャンピオン/Elvish Champion |
4 エルフの潰し屋/Elvish Scrapper 2 旗印/Coat of Arms 3 懐古/Dwell on the Past 4 たい肥/Compost 2 頓着無き者/Heedless One |
ここからレギオンのエルフについてエルフデッキ的な評価をつけていきます。
エルフデッキのタフネスを低さを解消するべく、削りたいくらいの 1 マナ域。展開速度を上げる《エルフの開拓者/Elvish Pioneer》《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers》、あると助かる《エルフの抒情詩人/Elvish Lyrist》に比べるとトランプルは物足りないものがあります。同じくレギオン組の《森林守りのエルフ/Timberwatch Elf》との組み合わせは夢ではあるものの……。
展開速度が何より重要なエルフデッキに、変異誘発を期待していれることは難しい。エルフを救うためには《巨大化/Giant Growth》などを握り締めておくほうが良い。
2 マナで 2/2。"灰色熊"なエルフの時点で援軍として十分。戦線が硬直した時や、マナブースト系に組んだ時など、発動の可能性は高い。
毎ターン使える《ワイアウッドの誇り/Wirewood Pride》。サイズ問題も一応 1/2 ということで合格。デッキがエルフなのでかける相手と自分で最低でも +2/+2 は保証されるものの、同じ 3 マナ域に途切れることなく +3/+3 でき、おまけがついてすぐ使える《象の導き/Elephant Guide》があるので悩み所な 1 枚。
"灰色熊"なエルフの時点で(以下略)。アンコモンだけあって付属の能力は《岩石樹の発動者/Stonewood Invoker》より使いやすい&パワフル。自身がサイズ底上げに貢献する上に、サイクリングのエルフパンプアップで除去からの救助、ガチンコ戦闘での敵殲滅、フィニッシュにと活躍したうえにカードが引ける。まさに援軍中の援軍。
エルフデッキなので却下。サイズの大きいエルフを採用する必要が出たとしても《エルフの騎手/Elven Riders》他強敵は多く、またビーストデッキ相手には一体あたり 3 点では焼け石に水。
大量のマナが必要なエルフを構築するなら活躍するかも知れない。しかし、その場合でもすぐ使えて壊れにくい《エルフの案内/Elvish Guidance》があり、色マナを増やしたい場合でも《樺の知識のレインジャー》が立ちふさがる。
エルフを展開するだけでトークンがサービスでついてくるのは魅力。しかし《エルフのチャンピオン》の恩恵を受けないただの緑の 1/1 が役に立つとは思えない。敵は飛んでいたりプロテクションをつけて襲ってくる。
インスタント召喚できる 2/2 のエルフ。そして大量虐殺が起きた時出せば虐殺をほぼなかったことにしてくれる。大量除去が飛んでくるデッキを考えると「森渡り」が有効な可能性は少ないので、熊になっても戦力的にはトントン。まずはサイドにしこむことから始まりそう。
除去対策エルフその 2。パワフルなサイズと自分ごと回収できるのが強みだが、ドローが伴わないと戦線の再構築は難しいので《たい肥/Compost》と組み合わせて黒との決戦に使うくらいか?
構築戦で裏向きクリーチャーが盛んに、大量に見られるようになるまで出番はない。そして多分そんな時は来ない。
変異経由で使えばプチ《踏み荒らし/Overrun》。裏向きにしておけば《宝石の手の徘徊者/Gempalm Strider》より安価に除去から守ることもできる。裏向きで出し、次のターンに変異誘発させつつアタックさせると《踏み荒らし》とのひとつあたりの 1 点の差も、自身の 3 点分(チャンピオンがいれば 4 点)で案外なんとかなる可能性もあり。そしてその真価は《踏み荒らし》が使えない時に発揮される。
レギオンで他のデッキがどの様になって行くかはまだわからない。しかし軽く、多彩な能力を有するエルフの一団を持ってすれば、必ず対応できる。
もはや我々は除去に負けることはないのだから。
最後に現時点でのレギオン導入後のエルフデッキの見本を。
あなたとエルフデッキの幸運を祈りつつ。
| Elvish Overrun 2003 | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
4 ラノワールのエルフ/Llanowar Elves 4 エルフの抒情詩人/Elvish Lyrist 4 エルフの開拓者/Elvish Pioneer 4 エルフの射手/Elvish Archers 4 幸運を祈る者/Wellwisher 4 エルフの戦士/Elvish Warrior 4 宝石の手の徘徊者/Gempalm Strider 4 エルフのチャンピオン/Elvish Champion |
3 エルフの潰し屋/Elvish Scrapper 2 鉤爪の統率者/Caller of the Claw 4 たい肥/Compost 3 魂を養うエルフ/Elvish Soultiller 3 梢のかぎ爪/Canopy Claws |
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]]>リリース間近の「コア・セット」。再録されることになった「彼女」の過去、そして未来。
大予言のことも忘れ去られようとしていた、2000 年初頭に発売されたエキスパンション「ネメシス」。メルカディアン・マスクス・ブロックの 2 番手として登場したこのエキスパンションには、「消散」という新ルールや、「印章」エンチャント・シリーズなどの実戦的なカードが収録されていた。その中の 1 枚のレアとして登場したのが《まばゆい天使/Blinding Angel》である。
|
クリーチャー - 天使 (2/4)
飛行
まばゆい天使がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは自分の次の戦闘フェイズを飛ばす。
「戦闘フェイズを飛ばす」……これは強力だ。勝ち手段がクリーチャーしか無いデッキならば、これは必殺のカードとなる。さすがレア。この強さならば……と、スタンダードでの活躍が期待された1枚だった。
だが、当時の情勢と、同時にネメシスに収録されたカード達によって、「彼女」の活躍は阻まれた。
《補充/Replenish》デッキ……ネメシスを得たことによって一気に当時のメタゲームの中心に駆け上がったコンボデッキである。《パララクスの潮流/Parallax Tide》《パララクスの波/Parallax Wave》《退去の印章/Seal of Removal》などによって場をコントロールしつつも、墓地に落ちたそれらを再利用して勝つ……生半可なデッキでは対抗できなかったと記憶している。
その《補充》に対抗して生まれたのが、「青茶単」を中心としたパーミッションデッキに、《すき込み/Plow Under》によって相手の行動を妨害しながら場を構築する緑単色デッキ、いわゆる「トリニティ」など。以上の 3 デッキが当時のメタゲームの中心として認識されていた。
そのような時代に、「彼女」の活躍できるフィールドは存在しなかった。クリーチャーデッキの活躍できる状態ではない上、クリーチャーの天敵《マスティコア/Masticore》《不実/Treachery》が使用できる環境だ。マスクス・ブロック3番目のエキスパンション「プロフェシー」が登場し、この時期に新たに考案された《水位の上昇/Rising Waters》デッキに対しても、「彼女」の持つ力は何の意味も為さなかった。
……こうして、「彼女」は「どうでもいいレア」に位置づけられることになった。
時は流れ、極悪エキスパンションと呼ばれたウルザ・ブロックがスタンダード・シーンから退場し、新たに「インヴェイジョン」が登場。すると、マスクス・ブロックを中心とした「ライジング・ウォーター」「レベル」に加え、《ヤヴィマヤの火/Fires of Yavimaya》を用いた赤緑「Fires」などが台頭。前年の情勢とうってかわって、クリーチャー・デッキがシーンに躍り出ることとなった。特に「Fires」は、その圧倒的な攻撃力を背景に、あっという間にスタンダード・シーンの中心となった。
そして、遂に「彼女」の出番がやって来た。「彼女」こそが、「Fires」に対する回答だったのだ。
「青白パーミッション」……「彼女」に加え、《神の怒り/Wrath of God》《物語の円/Story Circle》を採用し、優秀なドロー呪文《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》《嘘か真か/Fact or Fiction》に支えられたこのデッキタイプは、優秀なアンチ「Fires」と認識され、多くのプレイヤーに愛用された。このデッキでは、「彼女」はクリーチャーの抑止力としてだけでなく、フィニッシャーとしても十分な力を発揮した。あの悪名高き《ブラストダーム/Blastoderm》ですら、「彼女」の前では無力と化した。
……この時期こそが、「彼女」が最も「幸福」な時期だった。
「彼女」が誕生して 1 年、新たなエキスパンション「プレーンシフト」が登場した。ドミナリアの危機に際して増殖していた「カヴー」たちの中に、新たな新種が見つかった。
その馬鹿げた能力は、「Fires」にとってはまさに救世主。「《火炎舌》を 1 枚引くごとに勝率が 20%アップする」……そのように私が勝手に認識するほど、そのカードは強すぎた。あらゆるクリーチャーが《火炎舌》の餌食となり、……「彼女」も例外では無かった。
加えて、プレーンシフトには《終止/Terminate》などという絶対除去呪文すら収録された。「マシーンヘッド」「《虚空/Void》」などの赤黒を用い、《終止》を用いるデッキが考案され、台頭していった。《ブラストダーム》以外のあらゆる生物は……もちろん「彼女」も……次々とその標的となっていった。
……そして、「彼女」は再び姿を消した。わずか約4ヶ月の活躍だった。ちなみに、「彼女」が姿を消してからも「青白パーミッション」は無くならず、そのフィニッシャーが《石臼/Millstone》となっただけだった(いわゆる「Mill-Story」)。
そして時は過ぎ。
いよいよ、基本セット第8版、通称「コア・セット」が登場する。その中には「彼女」の姿がある。もはやあの憎き4/2クリーチャーは存在せず、今は「ステロイド」「白緑」など、クリーチャーデッキが幅を利かせている世の中だ。今度こそ、今度こそ「彼女」がその威光を世に知らしめる時が来た……!
と思いきや。彼女の眼前にいるのは、何故か空を飛ぶ巨大なワーム達。
やはり「彼女」は活躍できないのか? いや、《不可思議/Wonder》が退場すれば、今度こそ、今度こそ、今度こそ「彼女」がフィニッシャーとして再認識されるときが来るに違いない……! わずか 2 ヶ月ほどの辛抱だ……早く来い来い「ミラディン」……そう念じつつ、「彼女」はコア・セットのリリースを待っている。
……しかし「彼女」は、4 ターン目に降臨する 4/5 の「後輩」の存在を知らない……。
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]]>8 月 22 日〜 24 日にパシフィコ横浜で行われた GP 横浜に参加してきました。
僕にとっては初めての GP だったので。妙な期待と不安から、眠りについたのは 22 日の 4 時頃でした。
デッキは白赤スライドを選択しました。
| Slide - Fujihira Taro / Grand Prix Yokohama | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
4 銀騎士/Silver Knight 4 賛美されし天使/Exalted Angel 4 永遠のドラゴン/Eternal Dragon 2 怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath |
3 拭い去り/Wipe Clean 3 窯口のドラゴン/Kilnmouth Dragon 1 滅殺の命令/Decree of Annihilation 4 炭化/Carbonize 4 ショック/Shock |
前日の調整会ではゾンビ召集に対する勝率が 3 割以下、さらに楽勝と思っていたゴブリンに意外と勝てず。 《賛美されし天使/Exalted Angel》と《炭化/Carbonize》と《ショック/Shock》を 4 枚ずつに増やしました。
ゾンビに対して《賛美されし天使》を 3 ターン目に変異で出し、4 ターン目に表になれるかなれないかで勝率がだいぶ変わってきます。 早いゴブリンには軽い火力で序盤をしのげば勝てると判断しました。
Bye
《銀騎士/Silver Knight》が必ず 2 ターン目に出て相手の勢いを止めるのに成功。
2-0
一本目は《稲妻の裂け目/Lightning Rift》と《賛美されし天使》で勝てたものの、二、三本目は《頭脳いじり/Head Games》を 5 ターン目にうたれてそのまま引きたいものが引けず。
2-1
クリーチャーが《生命を破滅させるもの/Bane of the Living》か《沈黙の死霊/Silent Specter》のみなのか、それしか見ない。
《翼の破片/Wing Shards》、《星の嵐/Starstorm》で除去。《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》でフィニッシュ。
3-1
二本目からの土地破壊がどうにもできず。
3-2
一本目、《滅殺の命令/Decree of Annihilation》で全てをリムーブ。引き勝負へ。
《平地/Plains》、《山/Mountain》、《山》、《賛美されし天使》、《平地》とドロー。 神が味方をしてくれたような素晴らしい引きで逆転勝利!!
4-2
《霊体の地滑り/Astral Slide》の力で相手の除去を無力化して勝利。
5-2
|
1-1 で迎えた三本目。
僕の場には《霊体の地滑り》とこのターンリムーブした《窯口のドラゴン/Kilnmouth Dragon》。 ハンドには《永遠のドラゴン/Eternal Dragon》× 2 《隔離されたステップ/Secluded Steppe》× 1。 相手の場には、《永遠のドラゴン》 2 体のみ。 動かないところをみるとハンドは《翼の破片》だろうか。
そしてターン終了時、僕は不安だったのでジャッジに 「《霊体の地滑り》で場に戻った《窯口のドラゴン》は増幅できますか?」 と質問した。答えは「できません。Comes into play です」だった。
3 ターンが経過し僕のハンドは《炭化》が増えただけ。相手は 3 ターンなにもしてこなかった。 次のターンのドローは《翼の破片》。そしてターンを終了しようとすると、《正義の命令/Decree of Justice》から兵士が 12 体。ライフは 7 だったので、そのまま負け。
5-3
その後友人やギャラリーが、「《窯口のドラゴン》の増幅はできたよね。」と口をそろえて言う。 僕は、まさかと思い他のジャッジに聞いてみると、なんと「その場合の増幅はできます」と答えた。僕はその瞬間、激しい怒りと後悔で頭がいっぱいになった。 気づけなかった自分が悪いのだ。と言い聞かしても。その夜は怒りが抑えられませんでした。
一日目通過 5-3 199 位
6-3
一本目は勝てましたが、二本目からはカウンターで重要なスペルがとおらず。 最後は時間切れで引き分け。
後 1 ターンあったら負けていたので、内心ほっとしていました。
6-3-1
今度はメインからカウンターの嵐。相手の隙をみて場に送り出した《霊体の地滑り》と《賛美されし天使》が勝負を決めてくれました。
7-3-1
両方とも一本目をとられて、きつい展開になりましたが。 サイドボードインした《ショック》と《翼の破片》のコンビが僕を勝利へと導いてくれました。
相手の《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》に助けられもしましたが……。
9-3-1
とうとう身内の人とあたってしまいました。 あきらかに僕より強い人なので、「負けるかも」と緊張していました。 そんな時「そんなに硬くなるなよ」と言われて、いつもの感じに近づけたような気がしました。
デッキの差は《霊体の地滑り》だけ。しかしこの差が勝負の決め手になりました。
10-3-1
最後に「勝てよ」と言われ、うれしかったのですが。プレッシャーでもありました。
相手の《永遠のドラゴン》に《ドラゴンの鱗/Dragon Scales》がついてからは、防戦一方でした。 《アクローマの復讐/Akroma's Vengeance》で場をリセットすると、そのエンドに《正義の命令》から大量の兵士が場に現れ、僕のライフを一気に 0 にしました。
10-4-1
最後の相手も白単コントロール。しかも外人さんです。 緊張せず、がんばろうと思ったのですが。引いても引いてもくるのは全て土地。さすがに勝負になりませんでした。
10-5-1
最終順位は 66 位でした。
悔しかったです。いままで一番くやしかったです。 自分の勉強不足とはわかってはいるのですが。 8round でのジャッジを許せません。 あの時ヘッドジャッジを呼んでいたら。あの時ジャッジに聞かず《窯口のドラゴン》を増幅させていたら。もっと僕がルールを勉強していれば。もっと僕が練習してこの問題に気づいていたら……。
僕はこの GP 横浜でいろいろ勉強しました。 そしてその分強くなれたと思います。
次の GP は静岡なので千葉に住んでいる僕にとっては少し遠いのですが。 フォーマットがわかり次第練習をして。いい結果が出せるようがんばりたいと思います。
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]]>みなさま、ご無沙汰しておりました。
Peakmagic.com リニューアル記念ということで、私のプロツアー参戦経験から印象深い思い出を紹介したいと思います。ちょうど次なるビッグイベント・日本選手権も近いですしね。
短いお話ですが、楽しんでいただけると幸いです。
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初めて参加したプロツアー。意気込みが功を奏したか 2 連勝を果たし、意気揚々と迎えた第 3 ラウンド。自分はトリーヴァカラー(白青緑)のデッキを使用していた。
相手は William Jensen のチーム、自分の対戦相手は怪しげなアジア系プレイヤー。アジア系のプレイヤーがいつも怪しげというわけではなく、初出場の緊張とそこで起こった出来事がそう見せているだけなのだろうが。
緑タッパーこと《荊景学院の弟子/Thornscape Apprentice》で場をコントロールしていると、第 3 ターンに相手から《加撃》が飛んでくる。ノっていた私には対抗手段があり、解決前に《俊足の豹/Fleetfoot Panther》をプレイし、開門能力で《弟子》を救う。が、なぜか相手にドローされる。対象が不適正になっているにもかかわらず、だ。
そこで指摘してジャッジを呼べばよかったのだが、なぜかその時の私はそうできなかった。もちろん、チームメイトもそのことに気づくことはなかった。対応できぬ弱さ。多分それを見透かされ、なめられていたのだろう。
ただの言いがかりではいけないが、正しいルールを知り、自分の正当性を主張することがなにより必要だと思い知らされた瞬間だった。知らないのは弱さだ。それがジャッジを目指す原点になったのも事実だと思う。
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初の個人戦、ものすごいメンツに囲まれながら 2 連勝 2 連敗の 1st ドラフト後、崖っぷちで迎えた第 2 ドラフト。かなり自信のある赤青デッキを構築し、1 勝して迎えた第 6 ラウンドは大接戦に。第 3 ゲームも一進一退の攻防で、時間は刻一刻と迫るなか、なかなか楽にならない。しかし、手には《焼けつく肉体》が。そしてついに 7 枚目の土地を引き当て、気合いとともに "Seven to you!" とプレイした瞬間、勝利が決定。。続く第 7 ラウンドも(ID できるはずだったのだが)勝利し、5-2 で 2 日目進出を果たしたのだった。
結局この大会は 8-6 に終わったのだが、余韻も消えかけていた数ヶ月後、見知らぬアドレスからメールが来ていた。それは第 6 ラウンドの対戦相手からで、曰く、「あの週末で 1、2 を争うおもしろい試合だった。キミはすばらしい対戦相手で、またいつかプレイしたい。」 スコットランドの人だそうで、プロツアー経験はそう多くないらしい。
はるばる日本まで来て初日落ち。それでも、少しの手応えと楽しみを得て帰ってくれたと分かって、なんだか嬉しかった。
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大阪で行われた予選において、シールドラウンドで 2 枚、決勝ドラフトでも 2 枚の《空狩人の巡回兵》を使って権利を得たこの大会。本大会の第 1 ドラフトでも、卓上の白を Antoine Ruel と二人で寡占することに成功し、何と 4 枚(!)もの《空狩人の巡回兵》が手に。最終的にできあがったのは、強力としか言いようのない白赤デッキだった。
予想通りと言うか、2 連勝で Antoine と当たり、こちら 1 枚あちら 2 枚の《まばゆい光線/Blinding Beam》引き合いをなぜか制し 3 連勝。Antione 曰く、「3 勝するのは俺かお前だと思ってたけど、負けるとはね。」
続く第 2 ドラフトでも白をやるチャンスがあった。しかし、ここで《レオニンの居衛/Leonin Den-Guard》を見送ったのが運の尽きだったらしい。見事に上家に色を被せられ、結局私は 1 勝もできぬまま 3 戦を終えてしまうことになる。

延べ 8 枚もの《空狩人の巡回兵》を使い倒して登りつめた全勝卓。そこで白を見切った瞬間、遠のいた勝ち。ミラディンのパックが 3 から 1 に減った今となっては、これほど《空狩人の巡回兵》を使えることはもうないと思うのだが、今度は果たしてどうなるだろうか。
もうすぐ日本選手権がやってくる。私を含め、出場するプレイヤー全てに様々なドラマが待ち受けていることだろう。大阪の地で、いったいどんな思い出が作られていくのか、楽しみだ。
(了)
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]]>初めまして。奥元と言います。
ここにいらっしゃる皆様方なら、去る PT ニューオリンズの結果をご存じと思います。3 ターンまでに終わる可能性が実に 4 割 5 分の《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》デッキ、1 ターンキルさえ可能にする《精神の願望/Mind's Desire》デッキ、2 ターン目に速攻で《鉄のゴーレム、ボッシュ/Bosh, Iron Golem》が殴りかかってくるデッキ……。この環境、正直言って意味が分かりません。はっきり言って 12 月末に終わるであろうこのエクステンデット、恐らく MoMa の冬並に記憶されることでしょう。
そこで今回、この狂った世界の住人達に敬意を表して、歴代の名(冥)コンボデッキと比較した上で、禁止カードを推薦してみることに致しました。時間と心に余裕がある方はお付き合い下さい。
では早速ですが、デッキリストをご覧下さい。いやはや、壮観ですね。
| Burning Desire v2.0 | |
|---|---|
| Main Deck | Sideboard |
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1 先細りの収益/Diminishing Returns 1 Primitive Justice 1 苦悶の触手/Tendrils of Agony 1 ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will 1 蒸気の連鎖/Chain of Vapor 3 紅蓮破/Pyroblast 3 浄化の印章/Seal of Cleansing 4 ザンティッドの大群/Xantid Swarm |
まずはお疲れさまでした。
皆さんは最近クラシックの世界トーナメントが開催されたのをご存じでしょうか? StarCityGames.com でライブ中継もされ、それなりに盛り上がっていました。その優勝デッキがこれです(ちなみに Koen van der Hulst は生粋のクラシックプ