Dear Players

宮坂たけし

親愛なるプレイヤーのみなさんへ。

トーナメントに参加しているプレイヤーに、どうやったらより楽しく、より正しく Magic してもらえるんだろう。 プレミアイベントなどでジャッジをしていると、そんな考えが頭をよぎります。 自分の考えを広く伝えることができれば少しは役に立てるのではないか。そう思ってこのコラムを書きました。

プロツアー大阪

青緑 vs 黒コン。Ken Ho vs Olivier Ruel。 青緑ビートダウンの Ken が Olivier を倒して大阪のチャンピオンになったのは、わりと記憶に新しいところです。 金曜はともかく土曜は、それこそ辺り一面《島/Island》《森/Forest》《沼/Swamp》《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers(TO)》だらけでした。

その青緑デッキ同士の対決で見かけたシーン。

場にズラリと並んだ《野生の雑種犬/Wild Mongrel(OD)》《尊大なワーム/Arrogant Wurm(TO)》《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TO)》。 殴りに行こうにも、微妙に 1:1 交換ができそうになく、なかなかどうしてイヤらしい状況。 これは困った、どうしよう。

ふと墓地を見れば、中には《ワームの咆哮/Roar of the Wurm(OD)》が埋まっていた。そういえばさっきブロックして死んだヤツだっけ。 …お! コイツがいたら場が変わるジャン。 ぜんぜんオッケー、問題なし。

というわけで、墓地から場に戻ってきた《ワームの咆哮》 ……あれ?

「それってさっき墓地から使ったじゃんよ! 3 回も使うなよ」
「墓地にあったんだから 2 回目だよ、間違いないって!」

プロツアーの、それも土曜日にこんなシチュエーションをけっこう見かけることになるとは思ってませんでした。 正直頭が痛くなるよーな気もしてました。 このウソみたいなホントの話は、土曜日だけでなく金曜日もそこらじゅうで見かけました。

仮にもプロツアーに参加して、それも金曜日のカットオフを突破したプロプレイヤーのみなさんには一番根底にあるルール部分は守ってほしいなあと、いちジャッジとしては思うのでした。

関東地区選手権

850 人ものプレイヤーが参加した過去最大規模の地区選手権。 これだけの規模になると突破するのにも一苦労。 なにしろキップは 20 枚しかないくせにライバルは 800 人以上いるんだから、そりゃデッキの選択も必死ですよね。 9 ラウンドという長丁場に自分の運命を託すには、それなりのパワーを秘めたデッキで行こうという解が待っていても不思議じゃありません。

そんな思考を経たかどうかはさておき、結果としては会場のあちこちで犬と象と《サイカトグ/Psychatog(OD)》が乱舞してました。それに《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu(PS)》ちゃん。 勝っているゾーンを見ても、負けているゾーンを見ても、金太郎あめを切っているかのように同じような戦いを見ることができたのは、850 人という膨大な参加者数ゆえなのかもしれませんが。

このビッグイベントでジャッジをやらせてもらってたんですが、つい 2 週間前にあったプロツアーとおんなじネタを堪能させてもらいました。

その対戦はステロイド対決で、お互いに《火炎舌のカヴー》で露払いしながら殴り合っていたと思いねえ。 同系対決の場合、より効率的なリソース交換をした側が勝つわけで、そういうカードの使い方には一番敏感になってしかるべき。 しかるべきなんですが。

同じカードを 2 回もフラッシュバックするのはどうかと。

対戦していた二人とも、1 回目の《獣群の呼び声/Call of the Herd(OD)》にはトークンカードを出し、2 回目は墓地から直接《獣群の呼び声》のカードを取り出して場に展開していました。 両者が納得していたから問題ない、と対戦していた二人は申しているのですが。

だったらなんでジャッジを呼ばなきゃいけないようなシチュエーションになってるんですか。

つまり、ブロックして死んだ象はトークン代わりに使っていた本物のカードだったので、クリーチャーカードと勘違いしたのかそのまま墓地に。 そして、ふと墓地にフラッシュバックカードが落ちていることに気づいたプレイヤーは、ふたたびそれをフラッシュバックした…というわけです。

正しくプレイするよう指導する意味で警告を与え、トークンは現在使っているカード以外のものを使うことを、この状況を交えながらお伝えしておきました。

はっと我に返ってあたりを巡回してみれば、いるわいるわ。 トークンがわりに墓地のカードをそのまま使う人、サイドボードのカードを裏返しに使う人、はてはそのカードを墓地に入れてしまってわからなくなってしまった人など……。 ルールを正しく理解することと、それを実践できることはイコールで結べていないようです。

正しいプレイを目指して

トークンについては以下のようなルールが定められています。

37. ゲームのマーカー
プレイヤーのデッキがスリーブに入っていない場合、プレイヤーのデッキに入っているカードの裏と同じ模様のカードをトークンやゲームのあらゆる効果を表すマーカーとして使うことができない。デッキはスリーブに入っている場合、マーカーをデッキに使われているスリーブと同じスリーブに入れることができない。

《ワームの咆哮》や《獣群の呼び声》といったフラッシュバック呪文は、ワームトークンや象トークンを産み出すのであって、クリーチャー呪文ではないのです。 これらの呪文を使うときには、セットでワームや象のためにトークンを用意して使う必要があるんですね。 どうせ用意するのなら、見た目でワームだ象だビーストだってわかるトークンの方が、判りやすい上にウケも取れちゃったりするかもしれません。 カードだったらパワー・タフネス入りでそれとわかるイラスト付きにしてみるとか、フィギュアだったらまんま象やワームを持参したら注目度アップ!かもしれません。

ちょっとした準備をして注意を怠らないようにするだけで、たいていのトラブルは回避できることができます。 大会中に一番多い警告はデッキ登録ミスによるものですが、これだってあわてず落ち着いてリストをチェックすれば未然に防ぐことができるんです。 今回警告を受けたプレイヤーたちだってそうです。 自分でトークンを持ってきていたのだから、面倒がらずにそれを使っていれば、そもそもジャッジを呼ぶような事態にさえ陥らなかったハズです。

トークンクリーチャーを呼び出す呪文を使うなら、合わせてトークンになるカードやアイテムを用意する。 トーナメントに参加するプレイヤーとしては、デッキを準備するついでにトークンも準備する心構えでいてほしいと、ボクは切に願っています。もちろんライフカウンターもね。

お互いルールを守って、正しいプレイを心がける。 そして願わくば気持ちのいい対戦ができるよう努めてみる。 より楽しく、より正しい Magic のために、できるところからはじめてみませんか?