GP 宇都宮も終わり、リミテッドに関しては一息ついた感じでしょうか。新スタンダードを迎えるにあたり、もうこの時期にはいくつかデッキのプロトタイプを完成させておかないと、11 月からの大会や 12 月の Finals にはちょっと間に合わないかな?と思ってます。
さて、今週末にはマジック・インビテーショナルが開催されます。ここで登場したデッキは間違いなく次のスタンダード環境に影響を及ぼします。昨年も11月以降流行した《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator(OD)》と《翻弄する魔道士/Meddling Mage(PS)》を使ったフィンキュラと呼ばれるデッキなど、数々の雛形を生み出してきました。
世界のトッププレイヤー達が、オンスロートという世界をどの様に捉えるか、注目です。
ON 環境になって変わる事。それは間違い無く、更にクリーチャーが殴り合う世界になる事です。
前回にも書きましたが、《嘘か真か/Fact or Fiction(IN)》の退場はあらよるパーミッションデッキを弱体化させ、現状それを埋めるカードは見付かっていません。それに伴ってこれまでずっと辛酸を舐めさせられていた赤・白といった色が、オンスロートのメカニズムでもある種族カードによって復活の兆しが見え始めています。
今回は各色の単色系ビートダウンデッキをサンプルレシピを交えて解説していきます。
スーサイドブラックや WW、ストンピィや伝統の赤スライなどが流行していた「ミラージュ=テンペスト」ブロックの時代。カードプールの中には優秀な 1 マナ圏生物を見つける事が出来ました。
しかし最近では本当に優秀と言える 1 マナ生物は少なく、なにより《破滅的な行為/Pernicious Deed(AP)》が低コストの生物の存在を尽く否定していきました。
ところが、この 1 枚のリセットカードの退場によってデッキ選択の幅は大きく広がりました。この夏のオデッセイブロック限定構築(OBC)の中で『パニッシャー』と呼ばれる青白のビートダウンデッキや、亜種の白緑デッキが一時代を築きました。どちらも 1 〜 2 マナ圏からの優秀な生物を連打するデッキです。これがそのままウィニーデッキ復活を示唆する次期スタンダードへのヒントと捉える事が出来ると思います。
つまり、優秀なリセット呪文と呼べるものには《神の怒り/Wrath of God(7E)》《もぎとり/Mutilate(TO)》などに限定され、それらの呪文を擁するデッキタイプは限られてきます。パーミッションデッキが衰退を叫ばれる中での《神の怒り》や、黒コンでしか活路の見えない《もぎとり》を使うのは、現状ではリスクが高い。即ち絶対数は少ないと考えます。従って高速展開するデッキの優位性が、これで説明出来るかと思います。
では早速サンプルデッキを紹介しましょう。
以下に挙げるデッキは、まずは基本的なデッキ構成を取っています。後は各地域で色の付け方は変わってくると思いますので、思い思いにカスタマイズしてみるのも面白いと思いますし、まずはそのままの基本構成で回して感触を確かめるも良いと思います。
まずは基本のゴブリンバーンです。本来ならば《焦熱の火猫/Blistering Firecat(ON)》は 4 枚投入は当然であると考える所なのですが、今回のテーマにもなっている種族、それから単体除去は未だ健在であるという視点とマナカーブの関係でデッキからは抜け落ちました。その代わり《ゴブリンの女看守/Goblin Matron(7E)》によって確実に《ゴブリンの紅蓮術士/Goblin Pyromancer(ON)》を手に入れる事が出来る構成にして、序盤の 4 〜 5 ターンでほぼ形勢を決めてしまう陣容を取っています。
それから火力は 8 本(フラッシュバックで 12 本ですが)と少なめなのは、《火花鍛冶/Sparksmith(ON)》による所が大きいです。普通に展開すれば 3 〜 4 匹のゴブリンはすぐに並びますので、《野生の雑種犬/Wild Mongrel(OD)》でも《尊大なワーム/Arrogant Wurm(TO)》でも薙ぎ払ってゴブリンの行進を進める事が出来ます。
弱点としては、やはり《赤の防御円/Circle of Protection: Red(7E)》《崇拝/Worship(7E)》といった白のエンチャント群と軽いマナコストの全体除去。《地震/Earthquake(7E)》などでしょうか。ゴブリンデッキは明らかに次期スタンダードに入ってくる勢力ですので、逆に言えばスタート時点でメタられている可能性は極めて高いと思われます。
その為、サイドボードには《終末の大砲/Doom Cannon(ON)》などの無色のダメージ源や、虚を突く《ドワーフの爆風掘り/Dwarven Blastminer(ON)》《権利争い/Custody Battle(ON)》などを使って、かつての『Sped Red』の様に時間稼ぎの為の土地破壊要素を組み込む方法も考えられると思います。
次も定番のブレイズ型黒ビートダウンです。ゾンビデッキが戦えそうな気もしたのですが、今ひとつゾンビである事の有用性を生かせるカードが見当たらなかった為、種族に関係無く構築をしました。しかしここではオンスロートのもう一つのテーマである変異を生かしてあります。
まず、基本的な構成は OBC や前スタンダードと大差ありませんが、《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager(AP)》の抜けた穴は《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator(ON)》というアドヴァンテージカードがそのまま埋まります。そして 3 マナ圏が薄いというブレイズデッキの隙間を変異で埋める事が出来る訳ですが、ここでギミックを使おうというワケです。
変異カードは、黒ならば《にやにや笑いの悪魔/Grinning Demon(ON)》というカードが嫌でもちらつきます。つまり変異に対して即座に除去呪文を撃ってくるか、さもなくばクリーチャーでのブロックを避けてくるという行動がシュミレート出来ます。そこで《憑依された死者/Haunted Cadaver(ON)》が出て来ると相手の意表を突くだけでなく、大きなアドヴァンテージを得る事が出来ます。そしてこのデッキはブレイズデッキです。序盤で 3 枚のアドヴァンテージを取れればほぼ勝負ありでしょう。
しかし、デッキスピードとしてはクリーチャーデッキでありながらも低速です。4 マナ目を順調に引く為の構成要素が必要なのも、課題としては残っています。《ミリキン人形/Millikin(OD)》などがその候補でしょうか。またエンチャントに全く対応出来ないのは赤単と同じなので、ライフ損失を促す《腐敗を導く者/Shepherd of Rot(ON)》などを用意しておくと良いと思います。
なんにせよ、リミテッド同様に対戦相手には変異で大いに悩んで頂くとしましょうw。
2 マナあれば回る超高速展開デッキです。かつて『8 クルセイド』と呼ばれた白ウィニーの流れを汲む、新たな《十字軍/Crusade(6E)》である《共同の功績/Shared Triumph(ON)》を投入した兵士ビートダウンです。
デッキ中、兵士のカードは実に 23 体+《動員令/Mobilization(ON)》が 2 枚という布陣で、最序盤から一気に相手のライフを削り出します。《雨ざらしの旅人/Weathered Wayfarer(ON)》がマナ供給とデッキ圧縮を担当し、起動で失った 1 マナを 1 枚の土地を手に入れる事で負担を無くし、さらに展開して行きます。ここで 16 体の生物が 1 マナである事が生きてきます。邪魔なブロッカーは《鞭縄使い/Whipcorder(ON)》や《カタパルト兵団/Catapult Squad(ON)》で除去していきましょう。《動員令》が出てしまえば兵士は攻撃時にタップしなくなりますので、彼らの性能も飛躍的に上がります。
序盤と中盤があるデッキなのでそうそう息切れはしないのですが、どうしても不安のある方は《奉納/Oblation(ON)》などを投入した上で土地枚数を若干増やすとデッキは丸くなります。また《共同の功績》に拘らないのであれば、各種共鳴者を投入して《栄光/Glory(JU)》《金切るときの声/Battle Screech(JU)》で固めるデッキにも出来ます。
サイドボードではエンチャント対策も出来ますし大きな穴はありませんが、こちらからコントロールを仕掛けたり直接火力があったりする訳でも無いので、最後のツメが甘い点がいつの時代も白単の宿命です。《アクローマの祝福/Akroma's Blessing(ON)》や《復仇/Reprisal(7E)》などのアクティブなカードをサイドには用意したい所です。
今回は筆者の大好きな超速攻デッキの紹介でした。どのぐらい大好きなのかというと、去年の日本選手権本戦にスーサイドブラックで突撃したぐらい大好きですw。しばらくの間「1 ターン目からスゴイ勢いで並べて殴る」デッキを使っていないストレスが溜まっていたので ON では目一杯楽しもうと思ってます。
さて、では次回はちょっと複雑なデッキをいくつか紹介したいと思います。これもインビテーショナルの前までには……って、今週 2 本になりますねw。
それでは。