リミテッド・脱初心者講座
第4回「序盤で優位に立つために」

吉川祐輔

誰しも、トーナメントにおけるゲームで初手の 7 枚のカードを見る時は緊張感を覚えるものです。

そうして見た手札に、土地があり、クリーチャーがあれば、とりあえず一安心といったところですが、この後の展開の仕方によっては、大きな差が出てしまうことも少なくありません。序盤のセットランドひとつが、勝敗を決めてしまうことさえあるのです。

そこで今回は、リミテッドのゲームの中でも特に序盤の数ターンにスポットを当ててみようと思います。

生物こそがリミテッドの基本〜クリーチャー編

基本は、マナカーブに沿った動きが最善となります。

1 ターン目の 1 マナクリーチャー、2 ターン目の 2 マナクリーチャー…と、綺麗に展開したときは大抵、大きな優位が得られているものです。ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder(ON)などの 1 マナゴブリン→火花鍛冶/Sparksmith(ON)スカークの猛士/Skirk Commando(ON)詮索好きなゴブリン/Nosy Goblin(ON)と展開したときの赤は、その最たるものでしょう。

ただしそうとも言いきれない時があります。その例外について考察してみましょう。

例外 1 1 マナクリーチャー

基本的に 2/2 の戦いである現環境のリミテッドにおいて、2/2 に抵抗できない 1 マナクリーチャーは有効度が低いものです。例外はただれたゴブリン/Festering Goblin(ON)ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder(ON)などの「単体で 2/2 と戦えるか、他に干渉できる能力」を持つものであり、そうでない樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ON)のようなクリーチャーを焦って 1 ターン目に出すのは良い結果につながらないことの方が多いのです。これは「表の方が弱い」変異クリーチャー全般について言えることで、よっぽど 3 ターン目以降の展開が予約されているので無い限り、1 マナ 1/1 や 2 マナ 1/2 よりも 3 マナ 2/2 の方が強いものです。

常にマナを使い切れるのが理想ですが、だが決して焦ってダンプしろというわけではありません。そこに注意したいところです。これは構築・ドラフトの段階でも言えることですね。

例外 2 他にやることがある場合

とは言っても 2 ターン目までにスペルを使うことはほとんど無いでしょうから、これは、特にサイクリングについてのお話です。

例え 2 マナクリーチャーがあったとしても、その後の展開を考えて「現在の手札では上手くいかない」と思ったときには、場の展開よりもサイクリングを優先すべきと考えます。これは、後述する「変異の出し合い後のマナのアドバンテージ」に繋がるからです。敵意の信奉者/Disciple of Malice(ON)流水の長魚/Slipstream Eel(ON)といった 2 マナのサイクリングは、デッキをなめらかに動かす上で想像以上に重要な働きをするものです。これは、先のグランプリ宇都宮を制した橋本玲氏の参戦レポートでも言及されています。未読の方には、ご一読をお勧めします。

また、これに関連して、サイクリング土地については、基本的にそれが 4 枚目なら(3 枚までの土地が保証されているのなら)サイクリングすべき、そうでなければ 1 ターン目にタップ状態でセットすべきと考えます。

第 3 ターンはよっぽどのことが無い限り、変異クリーチャーの出し合いとなります。そうして考えた場合、先に第 4 ターンを迎えられる先手が非常に有利なのは明白でしょう。(実際のところ、私は GP 宇都宮が終わって指摘されるまで気づかなかったのですが…)

その第 4 ターンを考えてみます。

基本的には 4 マナあるはずですから、うなるアンドラック/Snarling Undorak(ON)急降下爆撃兵/Dive Bomber(ON)などの 4 マナクリーチャーがあればそれで良し、3 ターン目に出したクリーチャーの変異コストが 4 マナならそれに使うことになります。ダールの槍騎兵/Daru Lancer(ON)などが該当しますね。

さて、そうではない場合、他にマナを使う場合(特に変異コスト)はどうなるのでしょうか?

パターン 1 3+1 マナ(スカークの猛士/Skirk Commando(ON)など)

変異に 3 マナを使った場合、1 マナの行動は基本的に少ないので土地は立てておくしかありません。この期に及んで 1 マナクリーチャーを出しても無駄なことの方が多いのです。その時、「相手が脅威を感じるように」マナを立てておくことが重要となります。この環境の 1 マナインスタントを考えれば、その答えは自ずから分かるはずです。

パターン 2 2+2 マナ(憑依された死者/Haunted Cadaver(ON)など)

前述の通り、2 マナは結構やることが多いものです。2 ターン目には出しづらいエルフの戦士/Elvish Warrior(ON)もここでなら出しやすいはずですから、改めて展開を整えられればベストでしょう。そうでない場合は、やはり相手から見たときの選択肢が多くなるように土地を立てておきます。こういう細かい心配りがノータイムでできるようになれば、戦いにも随分余裕が持てるのではないかと思います。

パターン 3 戦闘に関与しない場合

ここまでは戦闘フェイズに変異することを前提として話を進めてきました。しかし、この環境にはダールの癒し手/Daru Healer(ON)撹乱するピット魔道士/Disruptive Pitmage(ON)のような「守備的な」変異クリーチャーも多く存在します。また、変異コストは重いが強力なクリーチャー、極端な例を挙げれば水銀のドラゴン/Quicksilver Dragon(ON)のようなものも、相手に 2/2 がいる場合戦闘に参加しないことになるでしょう。その場合、出来るだけ変異の可能性を残してターンを渡すことになりますが、ここでもやはり、「相手に脅威を感じさせる」ことが重要となります。変異クリーチャーと青マナが立っているところに重要なスペルをフルタップで撃ちこむのは勇気が要りますし、変異が《癒し手》である可能性を考慮すると戦闘のプランが難しくなります。やりすぎは禁物ですが、非公開情報の多いこの環境においてブラフは重要な役割を果たすことになるでしょう。

第 5 ターン以降は手札の状況により対応が大きく異なってくるのでここでは言及しませんが、再三申し上げている通り、たとえ自分の手札が土地だけでも「何かできるように」土地を立てておくことで心理的な優位が得られます。もちろん、実際に取り得る選択肢があるのにそれを使えない、なんていうのは言語道断です。

クリーチャーを生かすも殺すも〜スペル編

もう 2 年以上前の話になりますが、私が初めてグランプリに出場したのが 2000 年のグランプリ札幌でした。デッキ構築には非常に難ありだったのですが、様々な幸運に恵まれ、最終戦勝てば 2 日目進出というところまでこぎつけました。そして、その最終戦の相手は Peak Magic にも寄稿頂いている岡本尋氏でした。

当時の私には勢いだけはあったので、戦闘飛翔艇隊/Battle Squadron(MM)で 1 本目を押し切り、直後の 2 本目。鼻を鳴らすガア/Snorting Gahr(MM)を除去された後、白メインとおぼしき岡本氏の場に石膏の壁/Alabaster Wall(MM)が現れました。対するこちらにはキマイラ像/Chimeric Idol(PR)のみ。膠着が予感されました。

しかし、好調だった私の手には血の復讐/Vendetta(MM)が。功を焦ったか、ここで攻撃の手を緩めてはいけないと思い即座に《石膏の壁》に向けてこれをキャスト。攻撃を通しにかかったのです。

しかしその返しのターン…除去を使い切った私の目の前に降臨したのはまばゆい天使/Blinding Angel(NE)。他に対空戦力も引けずただクリーチャーを並べるだけの私を、淡々と《まばゆい天使》だけが封じ込め、結果手が届きかけていた 2 日目を逃すこととなったのです。

長い前振りとなりましたが、要は「あなたの除去には限りがある!」ということです。 だから、除去はマナカーブには沿うものにはなりません。前々回の記事にあったように、変異クリーチャーに強迫観念を持って除去を考えもせずに連打するなどあってはならないことです。戦闘の最中、エンチャント(クリーチャー)を付けようとした時、タップアウトの瞬間…落ち着いて見渡せば、あなたの数少ない除去がもっと輝く時があるはずです。

ただし、そうは言っても、ダメージレースになりそうな場合は先手先手を打っていったほうが良い場合もあります。ライフのアドバンテージを取ることで、結果戦闘を有利に運べることもあるのです。また、デッキにもよりますが、「テンポ」、言い換えると「マナのイニシアチブ(主導権)」を得ることが重視されることもあります。自他のライフを勘案して、陽光の突風/Solar Blast(ON)を本体に撃ちこむタイミングなどを考えるべきときもあるでしょう。

それで、結局

「やらなきゃ分からない!」というのが一つの結論です。

元も子もないようですが、こればかりはプレイングにより実感しなければ分かっていかないこともマジックには多くあります。

繰り返しになりますが、リミテッドはもっと気軽にプレイされて然るべきものです。そうした積み重ねが、プロツアー予選などの大きな舞台で活かされるのだと思います。機会が無いのか、プレミアイベントがリミテッド初体験というのでは、少し残念な気がしてしまいますし、折角の大舞台を楽しめないのではと邪推してしまいます。

今日買ったフレッシュパック。それをコレクションに加えてしまう前に、ドラフトやシールドで楽しんでみませんか?そうして思ったこと、感じた疑問を、簡単にまとめて Peak Magic に投稿頂ければ、きっと意見の交流や新たな発見があるものと思います。ここ Peak Magic で、お互いもっとステップアップしてみませんか?

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