リミテッドに強くなろう!
〜コモン・ハイランダー構築による理論と実践〜

吉川祐輔 (yossy)

はじめに

新エキスパンション”ジャッジメント”が発売されました。新しいカードに心躍らせ、構築戦にどう活かそうか早くも考えておられる方もいるかと思います。ですがその前に、限定戦の楽しさを味わうのはいかがでしょうか?

また、日本選手権本選も近づいています。2日目のフォーマットであるブースタードラフトに向けて、日々ドラフトの練習を重ねている方も多いことでしょう。しかし、ドラフトの面子を8人揃えるというのはなかなか難しいことです。

そこで、今回はリミテッドの練習方法として良く知られている「コモン・ハイランダー構築」を例にとり、実際に白青デッキを組み上げていくまでを追いながら、この環境を紐解く手がかりを見つけていこうと思います。

まず、ルールを決める

ある程度のルールを作っておくと、スムーズに練習が進みます。今回は以下のようなルールでデッキを構築していくことにします。

  1. 基本はコモンカードのハイランダー構築。つまり、各カード1枚制限。デッキ総枚数は40枚。色は2色が望ましい。
  2. ドラフトの環境に近づけるため、オデッセイ・トーメント・ジャッジメントの各セットからカードを7〜9枚ずつ使う。
  3. 2と同様の理由により、ファースト・ピックに値するようなカードを入れ過ぎない(要は、強くし過ぎない)。カードのピック基準に関しては、Sideboard Online上にあるGary Wise氏の記事"Limited Review"を参考にすると良いでしょう。また、バランスを崩さない程度の少量のアンコモンカードを加えても構いません。

とりあえず、これだけです。このルールに基づいて、以下で実際にデッキを組んでいきます。

構築の実際〜白青デッキ編〜

1.デッキの基本方針の確認

白青の基本コンセプトは、何と言っても「地上を止めて空で殴る」に尽きます。ここで、白青デッキの長所・短所をまとめてみましょう。

長所
短所

この点を念頭に置き、カード選択を行います。

2.カード選択

この際重要なのは、デッキ内のカードの役割を押さえることです。ドラフトにおける重要性も考慮に入れながら、実際の選択を見ていくことにしましょう。

その1:タフネスの高い「壁」

まずは地上を止めなくては話になりません。この環境においては、パワーが4を越えるクリーチャーはそう多くないので、タフネス3〜4が一つの基準となります。そうすると、

オデッセイ
《天使の壁/Angelic Wall(OD)》《秘教の盲信者/Mystic Zealot(OD)》《夢繰り/Dreamwinder(OD)》
トーメント
《ティーロの信者/Teroh's Faithful(TO)》《アクアミーバ/Aquamoeba(TO)》
ジャッジメント
《鏡の壁/Mirror Wall(JU)》《国境巡回兵/Border Patrol(JU)》

が候補となります。白青の生命線がここですから、最低2〜3枚は欲しいところです。

その2:回避能力つきクリーチャー

地上を止めたら勝負を決めるクリーチャーが必要です。最低でもパワー2は必要ですから、それを念頭に選んでいくと、

オデッセイ
《エイヴンの風読み/Aven Windreader(OD)》《エイヴンの群れ/Aven Flock(OD)》《エイヴンの魚捕り/Aven Fisher(OD)》《雲を追うエイヴン/Aven Cloudchaser(OD)》
トーメント
《空翼のエイヴン/Skywing Aven(TO)》
ジャッジメント
《寄生牙のドレイク/Wormfang Drake(JU)》《歴戦のエイヴン/Battlewise Aven(JU)》《霧に包むエイヴン/Aven Fogbringer(JU)》

ここでマナ域をチェックすると、4マナ域が多く3・5マナ域が少ないことが読み取れます。特に5マナ域はオデッセイにしかなく(アンコモンを含めれば《ハイドロモルフのカモメ/Hydromorph Gull(TO)》や《幻影の群れ/Phantom Flock(JU)》もあるのですが)、そのどちらもが重要な戦力であることを考えると、オデッセイでこれらのカードを優先して取っていく必要があることが読み取れます。こうしてドラフトに知識を活かしていくのです。

その3:ダメージ軽減能力を持つクリーチャー

いわゆる「ヒーラー」です。数少ない飛行クリーチャーを守るためにも、ここは必須の戦力といえるでしょう。

オデッセイ
《尊い癒し手/Hallowed Healer(OD)》
トーメント
《戦闘的な修道士/Militant Monk(TO)》
ジャッジメント
《防衛魔道士の代言者/Shieldmage Advocate(JU)》

特に《防衛魔道士の代言者/Shieldmage Advocate(JU)》は自身が1/3と堅く、墓地も操作できることもあり、群を抜いて強力です。

その4:バウンス

ジャッジメントの参入で、よりエンチャント(クリーチャー)が強力になったことを考えると、デッキに1枚は欲しいのですが…。

オデッセイ
《霊気の噴出/AEther Burst(OD)》《追い返し/Repel(OD)》《非物質化/Dematerialize(OD)》
トーメント
《逆巻く渦/Churning Eddy(TO)》《かそけき翼/Ghostly Wings(TO)》
ジャッジメント
なし

なんとジャッジメントには該当スペルが存在しません。前半で1枚でも確保していくことが必要ですが、競争がより厳しくなることが予想されます。

その5:相手の能力つきクリーチャーへの対策

いわゆる「システム・クリーチャー」への対策です。もともと相手のクリーチャーに触れにくい白青ですから、たった1枚の《陰謀団の拷問者/Cabal Torturer(TO)》や《投鎖獣/Chainflinger(OD)》に完封されないためにも、対策は必須です。

オデッセイ
《霊力/Psionic Gift(OD)》
トーメント
なし
ジャッジメント
《ぼんやり/Lost in Thought(JU)》

その4で挙げたカードも含めて、貴重品であることが分かります。この項では触れませんが、色を伸ばして黒の除去や赤の火力を加えることも必要でしょう。

その6:戦闘を優位に進めるためのスペル

ジャッジメントの参入により白が強化され、このカテゴリのカードも増えました。

オデッセイ
《考え直し/Second Thoughts(OD)》《励まし/Embolden(OD)》《カーターの願望/Kirtar's Desire(OD)》
トーメント
《ほとばしる魂/Spirit Flare(TO)》《無視/Pay No Heed(TO)》
ジャッジメント
《狙い撃ち/Guided Strike(JU)》《虹色の断片/Prismatic Strands(JU)》

軽減系のスペルは白のお家芸です。何もないときでも、白マナを立てている相手に突っ込んでいくのはなかなか勇気がいるものです。このカテゴリのカードを有効活用できれば、勝利は見えてくるでしょう。

その7:「カードを引く」カード

実際にカードを引き増してアドバンテージを得るものと、墓地を増やしてスレッショルドに到達しやすくするものがあります。盤面に直接の影響を及ぼすことはありませんが、長期的な目で見るとあるとないとでは差がはっきりしてしまいます。

オデッセイ
《セファリッドの物あさり/Cephalid Looter(OD)》《セファリッドの斥候/Cephalid Scout(OD)》《のぞき見/Peek(OD)》
トーメント
《綿密な分析/Deep Analysis(TO)》《強迫的な捜索/Obsessive Search(TO)》
ジャッジメント
《見張り番/Keep Watch(JU)》《留意/Mental Note(JU)》

こちらは青のお家芸ですね。いずれも貴重品となった感がありますが、特にパーマネントの《セファリッドの物あさり/Cephalid Looter(OD)》は重視したいところです。

その8:カウンター呪文

コモンデッキ同士の戦いではそうでもありませんが、パワーゲームとなってしまった感のあるオデッセイ・ブロックの限定戦では、相手の強力スペルをカウンターできることは安心感にもつながります。「あって安心」といったところでしょうか。

オデッセイ
《中略/Syncopate(OD)》《拒絶の儀式/Rites of Refusal(OD)》《避難/Shelter(OD)》
トーメント
《液化/Liquify(TO)》
ジャッジメント
《忘却の掌握/Grip of Amnesia(JU)》《被覆/Envelop(JU)》

《避難/Shelter(OD)》は主に除去への対応で使われることが多いので、こちらに含めました。安心は買えますが、条件のつくものが多いので過信は禁物です。

その9:その他安定戦力

やはり2/2はデッキに数枚欲しいところです。

オデッセイ
《巡視犬/Patrol Hound(OD)》《オーラ術師/Auramancer(OD)》《正義の巡礼者/Pilgrim of Justice(OD)》《美徳の巡礼者/Pilgrim of Virtue(OD)》《公証人/Scrivener(OD)》
トーメント
《ハイドロモルフの守護者/Hydromorph Guardian(TO)》《セファリッドの貴族/Cephalid Aristocrat(TO)》
ジャッジメント
《心優しきボディガード/Benevolent Bodyguard(JU)》《幻影の遊牧の民/Phantom Nomad(JU)》《用心深い歩哨/Vigilant Sentry(JU)》

以上で挙げたようなカードを中心にデッキを構築していきます。その際に実際のドラフトの流れを考え、ピックの順序などを想定するとなお良いでしょう。

以下に一例を挙げておきます。

UW Sample Deck
Main Deck
8 《平地/Plains》
8 《島/Island》
《見捨てられた前哨地/Abandoned Outpost(OD)》

《心優しきボディガード/Benevolent Bodyguard(JU)》
《天使の壁/Angelic Wall(OD)》
《アクアミーバ/Aquamoeba(TO)》
《幻影の遊牧の民/Phantom Nomad(JU)》
《セファリッドの物あさり/Cephalid Looter(OD)》
《ハイドロモルフの守護者/Hydromorph Guardian(TO)》
《防衛魔道士の代言者/Shieldmage Advocate(JU)》
《空翼のエイヴン/Skywing Aven(TO)》
《寄生牙のドレイク/Wormfang Drake(JU)》
《雲を追うエイヴン/Aven Cloudchaser(OD)》
《ティーロの信者/Teroh's Faithful(TO)》
《歴戦のエイヴン/Battlewise Aven(JU)》
《鏡の壁/Mirror Wall(JU)》
《エイヴンの風読み/Aven Windreader(OD)》
《エイヴンの群れ/Aven Flock(OD)》

《狙い撃ち/Guided Strike(JU)》
《霊力/Psionic Gift(OD)》
《ぼんやり/Lost in Thought(JU)》
《かそけき翼/Ghostly Wings(TO)》
《励まし/Embolden(OD)》
《逆巻く渦/Churning Eddy(TO)》
《綿密な分析/Deep Analysis(TO)》
《考え直し/Second Thoughts(OD)》

このデッキは実際のドラフトの流れを強く意識して作ったものなので、いろいろと弱めのカードも入っています。私自身リミテッドに関してはまだまだ未熟なので、この他にも様々な組み方があると思います。

デッキを組んだらデュエルで試す

この手順でデッキをいくつか組み、対戦をしていきます。これならば2人しかいなくとも費用をかけずにリミテッドの練習ができるのです。

この際、机上の理論では分からなかったカードの相互作用や相性などを確認していくと良いでしょう。サイドボードカードの選定も合わせてやってみるとなお良いと思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか? 日本選手権出場を控えた方はもちろんのこと、普段リミテッドをやり慣れない方もぜひ挑戦していただきたい練習です。やはり、マジックの基本は戦闘であり限定戦なのですから、こうして限定戦の技術を磨くことも決して無駄にはならないはずです。

おまけ

「タワーマジック」をご存知でしょうか? 上と同じように、コモンカードだけでできる手軽な遊びです。暇なときにはこんなのもいいですよ。

  1. コモンカード(別にレアが入っていようと構わないのですが)をたくさん用意します。よく切って一つの山にします。土地は入れません。
  2. そのまま、ライブラリを共有してゲームをします。ただし、土地が入っていないので、「全てのカードはその色のマナが出る基本地形として場に出しても良い」というルールがあります。また、ライブラリが共通なのでライブラリを直接操作するスペルは禁止にしておく(引いても土地としてしか使えない)方が良いでしょう。

普段使わないような弱いスペルを使う、また違ったゲームが楽しめますよ。

貴重な時間を割いてお読みいただき、ありがとうございました。 意見・反論等、Peak Magic掲示板もしくは私のWebサイト"yossy's room"(http://may4.virtualave.net/)まで頂けると幸いです。