リミテッドに強くなろう!〜「第5の色」の考察〜

吉川祐輔

Magic Onlineでもジャッジメントが導入され、皆様もジャッジメント入りのドラフトに慣れてきた頃ではないでしょうか。 ジャッジメントの参入で、オデッセイブロックのドラフトも様変わりした感があります。 オデッセイでの強固な基盤に定評のある緑はさらに強くなりましたし、 弱い弱いと言われつづけてきた白も大幅に強化されました。 また、黒はトーメントにおいて圧倒的な戦力を誇りますし、 青は3セット通じて安定した戦力が期待できる安心感があります。

はて…マジックにはもう1色あったはずですが…?

というわけで、今回は第5の色とも言える「赤」にスポットを当てたいと思います。

ドラフト中の実感より

最近、日本選手権本選も含めてブースタードラフトをする機会に数回恵まれたのですが、そこでの経験則と言うか実感として、よく流れる《癇しゃく/Fiery Temper(TO)》、余りがちな《血たぎるドワーフ/Dwarven Bloodboiler(JU)》というものがありました。 これらのカードは決して弱いカードではありません。むしろ赤使いにとっては喉から手が出るほど欲しい基本戦力なのです。それが残っているという事実は、赤をドラフトするプレイヤーの少なさを示しているのです、

では何故、赤はドラフトされないのでしょうか?

赤が敬遠される理由

1.「組めない(あるいは、組みたくない)色」の存在

従来、赤は緑か黒としか組むことを許されなかった、そんな風潮があります。実際、赤青や赤白は、ほとんど見ることができませんでした。 赤青は地上のクリーチャーサイズで著しく劣る(もしくはブロックに向かない)ため緑の攻勢を止める術を持たず、赤白は全体的にクリーチャーが小粒で攻めきれない。そんな事情が、この組み合わせを半ば「タブー」化してきていたのです。

それでは、メインとしてではなく、2色目、3色目として赤は使えなかったのかというと、それもまた難しい話なのです。

2.色拘束のきつい強力カード群

上記に挙げたカードは、いずれも2つ以上の赤マナシンボルを持つ(《癇しゃく/Fiery Temper(TO)》をマッドネス前提で使用する場合はこの限りではないのですが)、色拘束のきついカードです。この他にも、《降り注ぐ塊炭/Shower of Coals(OD)》《激発/Violent Eruption(TO)》などの例も挙げることができます。もちろん、《炎の稲妻/Firebolt(OD)》などのように色拘束のきつくない強力カードも存在するのですが、他の色に比べると、どうしても重さが目立ってしまいます。

しかし、ジャッジメントの参入で、その状況も変化していくのではないかというのが今回の私の主張です。

ジャッジメントにおける新たな可能性

1.赤青デッキの現実味

《鏡の壁/Mirror Wall(JU)》と《寄生牙のドレイク/Wormfang Drake(JU)》。 今までタフネス4を越える生物がアンコモン以上にしかなかった赤青にとって、この3/4の壁と飛行戦力の参入は非常に大きいものとなりました。これで、一応ながら地上を止めて空の防御網を排して殴る目処が立ったわけで、「赤青フライング・バーン」というアーキタイプも現実のものとなったのです。

赤によりシステムクリーチャーへの対処ができるようになる青は、やはり脅威となるに違いありません。

2.赤白デッキは組めるのか

《秘儀の教示/Arcane Teachings(JU)》は今回の赤のカードの中でも群を抜いて優秀なものですが、とりわけ白の「幻影」クリーチャーとの相性が良いことが挙げられます。もちろん自分の「幻影」クリーチャーとの親和性もさることながら、普通赤では対処しづらい相手の「幻影」クリーチャーへの対策ともなります。

白のウィニークリーチャーの進路を火力で広げながら、白のトリックで打線を繋げる。こんな戦い方が理想となるでしょう。

そして、「敬遠される理由」への解答

前項のような事情を考えると、「組めない(あるいは、組みたくない)色」の存在を軽視することが可能でしょう。組めない色を選り好みしないことで、赤メインのドラフトを進めても困ることが少なくなるのです。そして、赤メインでドラフトを進めれば、色拘束のきついカードも存分に使い回すことが可能になるのです。

例として、手前味噌ではありますが、私が本年度日本選手権第2ドラフトでプレイしたデッキを挙げておきます。赤メインの赤緑で、赤を濃くすることでドラフトが上手くいき、3勝0敗の成績を挙げることが出来ました。

2002日本選手権 2ndドラフトデッキ / 吉川祐輔
Main Deck Sideboard
1 蛮族の恐喝者/Barbarian Bully(JU)
1 血たぎるドワーフ/Dwarven Bloodboiler(JU)
1 ドワーフ打撃部隊/Dwarven Strike Force(OD)
1 矛槍兵/Halberdier(OD)
2 開放されたドワーフ/Liberated Dwarf(JU)
1 狂犬/Mad Dog(OD)
1 パーディック山の火猫/Pardic Firecat(OD)
1 パーディック山の長槍使い/Pardic Lancer(TO)
1 松脂岩の壁/Pitchstone Wall(TO)
1 日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla(TO)
1 鋼胴の甲虫/Ironshell Beetle(JU)
1 クローサの射手/Krosan Archer(OD)
1 幻影の虎/Phantom Tiger(JU)

1 リスのお喋り/Chatter of the Squirrel(OD)
1 象の待ち伏せ/Elephant Ambush(OD)
1 容認される損失/Acceptable Losses(OD)
1 秘儀の教示/Arcane Teachings(JU)
1 癇しゃく/Fiery Temper(TO)
1 溶岩の投げ矢/Lava Dart(JU)
1 放火狂/Pyromania(TO)
1 炎熱の突風/Thermal Blast(OD)
1 突然の力/Sudden Strength(JU)

7 森/Forest
9 山/Mountain
1 荒らされた高地/Ravaged Highlands(OD)
1 色あせた城塞/Tarnished Citadel(OD)
1 森林地の廃墟/Timberland Ruins(OD)
1 ティーロの信者/Teroh's Faithful(TO)
1 セファリッドの賢者/Cephalid Sage(TO)
1 セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress(TO)
1 焼き焦がすドワーフ/Dwarven Scorcher(JU)
1 呪文喰らいの蛮族/Spellgorger Barbarian(JU)
1 ケンタウルスの古参兵/Centaur Veteran(TO)
1 森林地帯のドルイド/Woodland Druid(OD)
1 物静かな思索/Quiet Speculation(JU)
1 蝶番はずし/Unhinge(TO)
1 抵抗の誇示/Flash of Defiance(TO)
1 焦熱の飛弾/Scorching Missile(OD)
1 はるかなる放浪/Far Wanderings(TO)
1 毒ヅタ/Venomous Vines(JU)
1 被覆/Envelop(JU)
1 陰謀団の儀式/Cabal Ritual(TO)
1 病的な霞/Psychotic Haze(TO)
1 民間療法/Folk Medicine(JU)
1 珊瑚の網/Coral Net(TO)
1 蒸気のつる/Steam Vines(OD)

これからの方針と気をつけたいこと

ここまでジャッジメント参入による赤の立場の変化を論じてきたわけですが、赤自体の戦力が高まったわけではないことを強く理解する必要があります。むしろ、オデッセイを1パック失ったことを重視する必要もあります。赤は「第5の色」のポジションにとどまっているのです。

ですが、こうして赤の変化を知ることで、より柔軟なドラフトへの足がかりを得ることは必ずアドバンテージとなると思います。

今後、オデッセイブロックのリミテッドでのプレミアイベントは世界選手権しか予定されていません。しかし、こうしてリミテッドを考えていくことは、必ず自分の実力になっていくと考えます。何より、マジック:ザ・ギャザリングは「考えることを楽しむ」知的スポーツなのですから。

今回は極端な視点でドラフトにおける赤を考察してみました。論理的にも、技術的にも穴の多い文章かと思います。「こういう考え方もある」と捉えていただけると幸いです。そして、もし宜しければ、この文章に対する反論・意見等をまとめてこのPeak Magicに投稿して頂ければ、議論の活性化につながると思います。是非皆様の意見を聞かせてください。基本的な文法と論理さえあれば大丈夫です。お待ちしております。

文責:吉川祐輔(2002年日本選手権66位)
yossy54@lycos.jp
http://may4.virtualave.net/