OBC徹底研究 〜環境のスタート〜

すれいと

日本選手権も終わり、季節は夏へと移り変わり、ジャッジメント(以下 JU)を加 えて新環境に突入しよう としています。そう。MTGで、夏といえばブロック構築。GP札幌を目指した戦いは既 に始まっています。 今回は、そんな新環境。OBC(オデッセイブロック構築)の土台作りのお話を進めて いこうと思います。

スタート地点

OBCで、過去に開かれた最も大規模なトーナメント。プロツアー大阪。ここで活躍 したデッキタイプがまずは 実験材料になる訳ですが、これは大きく分けて4種類に分類できます。

結果から言うとOD・TO時点での勝ち組は「黒コン」「青緑」でした。つまりは、こ れらのデッキにJUのカードを加 えて強化を図るか、これらのデッキを仮想敵に掲げて対応の出来るデッキを組み上げ るかになる訳です。

実際問題として、「黒コン」がJUで得るべき目立ったカードは現状では見つかって いません。これは「黒コン」に PT大阪からの上積みが無い事を物語っています。果たして、JU環境下でもそのポテン シャルは維持出来るので しょうか。対抗のデッキ次第によっては苦戦が予想されますが、元々のデッキパワー が高いので、環境の中で どのような生き残り策を見出してくるかが注目です。

「黒」の反面、オデッセイブロック3部作で枚数のバランスを保ち続けた「青」。 JUで更に強化された「緑」を得た「青緑」 は、そのデッキパワーを確実に上げています。青緑は「マッドネス重視型」と「フ ラッシュバック重視型」の2種類ありますが、 既にあちこちで噂になっているのは「フラッシュバック重視型」です。《物静かな思 索/Quiet Speculation(JU)》を武器に、 元々の安定性に爆発力が加わった「青緑」。メタの中心はまず「青緑」からスタート という事で考えて良さそうです。

第3のデッキ、サイカトグ。現スタンダード界の最強デッキは、正直上記2つのデッ キに対して苦戦を強いられています。 しかし「天敵」である8エディクトを搭載した「黒コン」に強化が無い事。強力スペ ルのほとんどがソーサリーなOBCにおいて、 JUで《被覆/Envelop(JU)》を得た事により、カウンター体制は確実に強化されていま す。そして、やはりどんなデッキに 対しても《激動/Upheaval(OD)》は充分な脅威です。スタンダードと同じく、環境に 合わせて少しずつ形を変えながらも 生き残ってくるデッキタイプであると考えます。後は、緑系のデッキがどれだけサイ ドボードに《種蒔き時/Seedtime(JU)》 を積んで来るか、でしょうか。

最後にビートダウン系。白緑・赤緑・緑単など種類は多彩ですが、インスタントス ピードでの対処という点で青系のデッキに 対しての不利は否めませんでした。しかし《焚書/Book Burning(JU)》を味方に付 け、青に頼らずにスレッショルドを目指せる デッキを完成させつつある赤系のデッキは、今後が期待出来ます。白緑も《ナン トゥーコの僧院/Nantuko Monastery(JU)》 《金切るときの声/Battle Screech(JU)》を軸に、黒コンや青緑に対して包囲網を張 れるレベルにまで引き上がってきました。 他にも、赤白・赤単など可能性は多彩でJU投入で赤が強化されている事実背景も伺え ます。

メタゲームの形成

基本線としては2色以内。マナ基盤の安定を考えるならば、IBCと比較して土地での 3色調達が厳しいOBCでは「白緑系以外 」での3色デッキはリスクが大きすぎると思いますので、ここでは2色までのデッキで 話を進めたいと思います。

前項でも挙げましたが、起点は「青緑」と考えて良いと思います。「カードを3枚 引く」に等しい《物静かな思索/Quiet Speculation(JU)》を軸に、高速でフラッシュバックを目指すこのデッキの速度に対 応出来る事が、この環境で生き残っていく 最低条件になる訳です。

それを取り巻く、PT大阪からの流れを汲む有力デッキ、JUを加えて巻き返しを図る 「過去の負け組」のデッキ、そして 全く新しい新機軸のデッキ…。叩き台としての推察・構築を主点に、デッキタイプご とにまとめてみようと思います。

青緑

《ワームの咆哮/Roar of the Wurm(OD)》《綿密な分析/Deep Analysis(TO)》を畳 み掛ける「フラッシュバック青緑」は、 JUで《森を護る者/Sylvan Safekeeper(JU)》《不可思議/Wonder(JU)》を加えて、バ ウンス、地上生物に対する強烈な 耐性を付け、サイド後は《一瞬の平和/Moment's Peace(OD)》《天啓の光/Ray of Revelation(JU)》《被覆/Envelop(JU)》 で対応する柔軟性と、元々のシステムである《激動/Upheaval(OD)》を標準装備して います。

ここまででも「青緑」が主勢力たる理由付けとしては充分かと思います。その他、 細かなパーツは日々テストプレイが 繰り返されている段階の現状では未だ、大きな流れは掴み切れていませんので、ひと まずはこのデッキを囲む包囲網に ついて考える事にしましょう。

しかしながら、同系対決に《触媒石/Catalyst Stone(OD)》が持ち込まれる日は、 そう遠くはない気がします。

黒コン

JUでのカードプールの補充がほとんど無かった「黒」。デッキタイプとしての「黒 コン」に可能性を残すカードとしては、 《毒の臭い/Toxic Stench(JU)》《悲惨な結末/Grave Consequences(JU)》《陰謀団式 療法/Cabal Therapy(JU)》 《罪を与えるもの/Guiltfeeder(JU)》ぐらいでしょうか。しかしTOでの黒の強さは群 を抜いていました。ここはバランスが 取れたと前向きに解釈すべきかも知れません。

そこで、カードプールはそのままにデッキ内の構成に注目する事にしましょう。

これまで《消えないこだま/Haunting Echoes(OD)》はメインに0〜1枚という事が多 かったですが、各種インカーネーション 、《物静かな思索/Quiet Speculation(JU)》《焚書/Book Burning(JU)》の存在。こ れらを考えると、思い切ってメイン2枚の 構成が狙えると思います。

そして、天敵である《リスの巣/Squirrel Nest(OD)》に加えて《ナントゥーコの僧 院/Nantuko Monastery(JU)》が新たな 脅威として圧し掛かってきます。《動かぬ生/Still Life(OD)》もそうですが、ソー サリータイミングで対処出来ない存在に 弱点がありますので、いよいよメインに《腐臭の地/Rancid Earth(TO)》4枚標準装備 という時期に来たという印象を受けま す。サイドには《恐ろしい死/Ghastly Demise(OD)》《毒の臭い/Toxic Stench(JU)》 などを用意したい所です。

「白緑系」が、今後どれだけ伸びてくるか。メタ次第でTOまでのカードプールを入 れ替えるしかない状況ではありますが、 ビートダウン系に対する強さは健在。「幻影」シリーズも黒に対してはさしたる脅威 になるとは考えづらい訳ですし、主力と して今後も活躍が期待出来そうです。

サイカトグ

バウンスあり、カウンターあり、リセットボタンあり。バランス的にはかなり好位 置に付けてる「サイカトグ」ですが、目下の 課題はドローサポート。ソーサリータイミングでの《集中/Concentrate(OD)》《綿密 な分析/Deep Analysis(TO)》、マナ拘束 が厳しい《強制/Compulsion(TO)》で、JUで高速化した流れにどれだけ対応し切れる かにかかってきます。

スタンダードにならって《セファリッドの物あさり/Cephalid Looter(OD)》を投入 するのか、《被覆/Envelop(JU)》のメイン投入 でカウンターを強化するのか、バウンス・除去を強化するのか。環境によって自由に 変化が利くのはスタンダードと同様ですが 、別の勝ち手段として《切除するもの/Scalpelexis(JU)》の投入を考えるという手も あります。

とはいえ、現時点では苦戦必至といった状況でしょうか。8エディクト・ターボフ ラッシュバックに対して、早い段階での対策が 必要でしょう。

具体策としては《ゾンビの横行/Zombie Infestation(OD)》《被覆/Envelop(JU)》 の投入が、現状では有効でしょうか。

白緑

ビートダウンデッキは数ありますが、JUの色濃い白緑に注目してみましょう。

ジャッジメントで強化された2つの色の組み合わせ。《藪跳ねアヌーリッド/Anurid Brushhopper(JU)》《ナントゥーコの 僧院/Nantuko Monastery(JU)》など、強力なカードが加わりました。デッキタイプと しては「殴る」以外の選択肢は無い色の 組み合わせですが、純粋に引き上がったカードパワーが「青緑」相手にも引けを取ら ない構成に仕上げています。

課題はこれまで通りスレッショルドしない事に他ならない訳ですが、《起源 /Genesis(JU)》《栄光/Glory(JU)》の登場や、 《ワームの咆哮/Roar of the Wurm(OD)》の活用を考えると《春の儀式/Rites of Spring(OD)》の投入が考えられます。

これによって《裂け岩の扉/Riftstone Portal(JU)》を落とす事も出来ます。

他にも《懲罰/Chastise(JU)》《避難/Shelter(OD)》《天啓の光/Ray of Revelation(JU)》など、メタによっては活躍の期待出来る カードが次々控えています。

デッキの形としては、《象の導き/Elephant Guide(JU)》などで「幻影シリーズ」 を無敵化し、バウンス呪文からは《呪文散らし のケンタウルス/Spellbane Centaur(OD)》や《森を護る者/Sylvan Safekeeper(JU)》 でかわし、《栄光/Glory(JU)》で固める タイプや、《金切るときの声/Battle Screech(JU)》や白の「幻影」を《聖餐式 /Divine Sacrament(OD)》で強化する、白メインの ビートダウンなどが、概ね良い回りを見せています。

環境下での活躍は未知数ですが、調整を進める上で無視出来ないデッキタイプの一 つであると考えます。

最後に

駆け足で解説をしていきましたが、まだまだスタート地点です。

現状で「強い」と思うデッキ同士をぶつけていって、生き残ったデッキが最初に注 目されるデッキなのではないかと思います。 メタゲームすら明確では無い状況下では、今後どのように変化してくるかはわかりま せんが、より多くのデッキを作ってより多く 調整・練習をするしか無いと思います。

各自が鍛え上げられたデッキを持ち寄る環境のスタート地点こそが、MTGの構築戦 で最も面白い環境であると思います。

OBCを楽しんで、良いデッキを作り上げたいと思います。

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